令和7年11月 今月のことば
皆さんには、心に残っている「おさづけ」はありますか。
11月2日、第5回目の「ようぼく一斉活動日」が開催されました。
今回が最終回で、内容は「おさづけの取次の確認」でした。
プログラムの中で「心に残るおさづけはありますか」という問いがあり、
これまでのようぼく人生を振り返ってみました。
特別に「この一回が忘れられない」というものはありませんが、
おさづけの取次を通して印象に残っている出来事があります。
それは、天理教校学園高等学校の男子寮で幹事をしていた時のことです。
当時は教祖130年祭の翌年で、私は幹事2年目でした。
その年、全体のスローガンが「おさづけ取次一万回」だったことを受け、
私は個人的に「おさづけ取次1,000回」を目標に掲げました。
1年365日なので単純に1日3回ですが、寮生は長期休みがあるため、
実際には1日5~6回を目安に取次いでいかなければなりません。
日中は学校に行っているので、取次の時間は主に夜の自習時間でした。
寮は2階から6階までが生活フロアです。私は3階を担当していましたが、
担当の階だけではいけないと思い、バスケ部の担当でもあったため、
6階に住む怪我しがちなY君のもとにも毎日通いました。
寮生にとって自習時間は、勉強の時間というよりも「自分の癒しの時間」なので、
「毎日ですか?」と面倒くさがられました。
それでもお願いして、なんとか毎日おさづけを取次ぐことができるようになりました。
Y君は2年生でした。1部屋には1年生から3年生までが混ざって
4人で生活しており、部屋の中に明確な仕切りはありません。
上級生・下級生が同じ空間で生活するので、私が入っていくと
3年生が少し面倒くさそうな表情をします。「えっ、この人毎日来るの?」
と顔に書いてあるようでした。Y君も先輩に気を使いながら少しモジモジしています。
そんな気まずい空気のまま1週間ほどが経った頃、
部屋にバスケ部の3年生が遊びに来ていて、「僕もおさづけしてほしいです」
と言ってくれました。それをきっかけに、同室の3年生も
「それなら僕も添い願いします」と言い、1年生もつられて添い願いしてくれました。
その日から毎日、添い願いしてくれるようになり、
ときには他の寮生も取次がれに来てくれるようになりました。
環境が変わったことも嬉しかったですが、それ以上にY君との関係が変わっていきました。
彼は部活では真面目でしたが、寮では反発心の強いタイプで、
気に入らないことがあると態度に出すような子でした。
そんな彼が、おさづけを受けてくれるだけでもありがたかったのですが、
毎日通ううちに、他愛もない会話が増えました。
また、毎日おさづけを取次いでくれること、添い願いしてくれる事に感謝し、
表情が柔らかくなっていきました。
その後、彼の生活態度が劇的に変わったわけではありません。
でも、それで良いのです。彼の行動を変えるために取次いでいたのではありませんから。
Y君がおさづけの温かさを感じ、いつか誰かにその温かさを分けてくれたら、それで十分です。
このY君との日々を通して、私は改めておさづけのありがたさを感じました。
おさづけはあくまで、身上に対して取次ぐもの。
私ができるのは「取次ぐこと」までです。身上と心に向き合うのは相手であり、
御守護をお与えくださるのは親神様です。しかし、そこに込める真実や、
声の掛け方次第で、病む人の心に「向き合う力」を
少しでも分けることができるのではないかと思っています。
ちなみに、目標の1,000回にはあと20回ほど足りませんでした。
それも今では良かったなと思っています。足りなかったからこそ、
あの時、怖気づかずにもう少し声をかけていたらと反省することが出来たからです。
声をかけることは勇気のいることです。一歩踏み出して声をかけたんだからと、
真剣に取次げるのだと思います。
おさづけは、ようぼくだけに許されたものです。
せっかく頂いたのなら使わずにいるのでは宝の持ち腐れです。
恥ずかしかったり、「私なんかが」という気持ちもあると思いますが、
たすかりは親神様が引き受けて下さいます。
神様にもたれる心で取次げば、させて頂いた分は必ず受け取ってくださいます。
取次いで初めて有難さがわかるものです。一歩踏み出し、取次いでみて下さい。