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「ほんの数センチのズレ」で生き残った神村学園

2026.01.11 15:31

国立競技場の冬空の下、数万の観衆が息を呑んで見守る中、決着の瞬間を告げたのは歓喜の咆哮ではなく、乾いた金属音だった。第104回全国高校サッカー選手権準決勝、神村学園と尚志の一戦は、1-1のまま決着がつかず、10人目までもつれ込む壮絶なPK戦へと突入した。互いに一歩も譲らぬ極限状態において、最後に勝敗を分かつ境界線となったのは、わずか数センチの「ズレ」だった。尚志の10人目、主将の西村が放った渾身のシュートがクロスバーに弾かれたその瞬間、神村学園は地獄の淵から生還し、選手権初の決勝進出を掴み取った。


「ほんの数センチのズレ」の世界を生き抜いた神村学園の強さは、単なる幸運に留まるものではない。試合はこの日18歳の誕生日を迎えた守護神・寺田健太郎が、尚志の1人目のキックを鮮やかにセーブしたことで幕を開けた。両校のキッカーたちがクロスバーのキワを狙うような精密なキックを成功させ続け、均衡を保ち続け、まさに死線を彷徨うような緊張感の中で、最後にクロスバーが味方をしたのは、彼らが自分たちのリズムを手放さなかったからに他ならない。

神村学園は今、史上6校目となるインターハイと選手権の「夏冬2冠」という偉業に王手をかけている。1月12日の決勝で相まみえるのは、かつての完敗を糧に這い上がってきた鹿島学園だ。ほんの数センチのズレに救われ、そしてそのズレを埋めるために戦い続ける王者が、聖地・国立の決勝でどのような真価を見せるのか。運命に愛された王者か、泥臭く成長を遂げた挑戦者か。1月12日14時05分、それぞれの物語が交差し、新たな歴史が刻まれる。 


取材:HiroshigeSuzuki / SprotsPressJP

text by TLM / SportsPressJP