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イタリア文学館

デレッダの生家で

2026.01.12 00:55

 【 ヌーオロ 】


岩の窪みに水がたまるように

山の窪みに町ができていて

ぼくたちのバスは

のろのろと、ヌーオロの町に降りてゆく


町の真ん中に駅があって

それは巨きなおもちゃのような駅で

ぼくたちはそこで下ろされて、今度は

高台のホテルへと

スーツケースを押しつつめざす


   デレッダの生家の

   中庭でひろった、みどりの団栗

   図書館でもらった

   名も知らぬ詩人の詩集

   町はずれで仰いだ

   老人の横顔のように淋しい山塊

   夕空に散った

   塒へといそぐ野鳥の群れ


いつか、残りの人生のどこかで

これらの象徴する意味を

解くことがあるだろうか


いま、ここに在るために

捨ててきた多くのものどものことを

顧みる日が来るだろうか