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偉人『南方熊楠』

2026.01.16 00:00

「南方熊楠(みなかた くまぐす)」という名前を聞いたことがあるだろうか。和歌山の人であれば「あぁ、熊楠ね」と分かる人もいるだろう。また中国革命の指導者で中華民国の建国の父と言われる孫文との交流で熊楠を思い出す人や柳田國男から彼の名前を想像する人もいるのではないだろうか。初めて彼の名前を聞いたという人のために、一言で彼の功績を言うならば熊楠は「自然と人間文化を丸ごと研究した世界的な博物学者」であり、日本の可能性の限界を探求し究明した人物である。そしてそんな才に長けた人ではあるが、驚くなかれ対人関係では目も当てられない行動に出ていた人物である。例えばイギリス留学中に大英帝国博物館の館長に激怒しその館長目掛けて2階から小水をかけたり、激論を交わし許せないと感じたら自分の吐瀉物を相手に掛け、相手が怯んだすきに殴って倒すという暴力に出たり、最も迷惑をかけたのは弟の常楠で30年以上もニートの兄のために資金援助をしたなど目を覆いたくなる所業が多く残されている。そのため彼は変人扱いされたりいかれた人物だと揶揄する人も少なくなかった。それでも現代人が彼の生き様に心惹かれ何かしら学びたいと考えているのは、今のような情報社会ではない時代に、自分の足で行動を起こし情報を集め、物事を観察しそれを真摯に受け止め、現実から逃避せずに真正面から向き合うということを強くやり通した骨太精神があるからであろう。今回彼の飛んでしまっている人生から、親として何を実践しなければならないのかを端的に述べていく。

1867年和歌山市の裕福な商家の家に生まれた熊楠は、子どもの頃から非常に驚異的な記憶力を持っており、学術書を両親にねだるがあまりの高額な値段に父親は反対し買い与えることはなかった。しかしどうしてもその学術書を読みたかった熊楠は蔵書家の家に通い、借りてきては読みそして書き写すことを100冊以上行い記憶したと言われている。また語学にも精通しており18〜22ヶ国語の言葉を理解していたともされている。この熊楠の記憶力が非常に優れていた理由は、先天的な才能(ギフテッド)だけでなく、生活環境・学習法・思考習慣が組み合わさった結果だと考えられており、現代の研究者の中では単なるギフテッドの他に発達的特性を抱えていた可能性が大きいとの見解もある。私も熊楠の社会的関わりや多くの特性からすると発達的課題があったとみている。

熊楠の幼少期からの異常な読書量と多言語環境は百科事典・仏典・漢籍・西洋書などを大量に読んで和漢洋の書物を同時並行で読むことによる英語・中国語・ラテン語など複数言語を習得に至ったと考える。私たち日本人は外国語の習得が下手だと言われてはいるが、2ヶ国語を習得した後の3ヶ国語めの習得は案外容易に習得ができる。そこに熊楠の場合は記憶のギフテッドが存在しているため2桁以上の外国語の習得が容易であったと推測する。

ここで忘れてはならない熊楠の学び方の特性である。異なる言語と分野を結びつけることが記憶の定着と連想力を極端に高めたのだ。つまり書籍で情報を集めること以外に、得た情報と情報を結び繋げて物事を考えるという、点と点を線で結びつけ思考へ観察へを繰り返し大人顔負けの能力を幼少期にすでに獲得できた。私が何度も折に触れて点と点を関連づけさせるためには思考すべきだと伝えていることを熊楠は幼少期にできているのである。現代は大人でも指摘されたことを一つの切り口でしか判断できない大人も多い中、教室の生徒さんの中には一つのことを別の事柄と関連づけ思考する子供達も存在することから、幼い頃からの思考力を磨くことの重要性と脅威的能力の爆発開花の要因となている。熊楠の人生から見てもそのような生徒さんたちの情報獲得能力とその情報や知識を使い新たなことを思考する力、そしてその力を使ってさらに観察や実験を行い思考する成長に間違いはないと確信を持っている。

熊楠はその情報を集めて関連づけさせることができ、物事を連想や構造した記憶法で学ぶということは単純に「丸暗記」するのではなく、あらゆることを結びつけて理解することを容易にやっていたからこそ植物・民俗・宗教・文学を網の目状に関連付け、一つの知識から複数の分野を即座に引き出すことを「体系」として頭に保存することができていたのである。もう少しわかりやすく説明すると現代のSNSなどのネットワークで情報を単に集めて、理解したかのようなまやかしの理解ではなく、しっかりとした根拠を持って物事を理解するということを適切に毎回行っていたはずだ。知識を頭だけに留めるだけで満足するのではなく、行動を起こして初めて結果が出るのだ。この行動というものがアウトプットであり、良い結果へと導くすべだと確信している。

熊楠の場合アウトプットも 圧倒的な量であった。熊楠は記憶した内容をすぐにノートに書き写し、書簡を学者に送ったり、論考としてまとめるという習慣が身に付いていた。つまりインプットよりも重要なアウトプットを難なく楽しんで行っていたのである。熊楠の行動は記憶 → 再構成 → 表現を繰り返すことで長期記憶が強化されたと考えて間違いない。それ以上に熊楠が大きな力を発揮できたのは強烈な好奇心と情動記憶である。熊楠は興味のある対象には異常なほど没頭し感情を伴った学習(驚き・怒り・喜び)を発動して学んでいたのである。感情を伴う記憶は脳科学的に非常に残りやすいことがエビデンスで証明されており、熊楠は彼がとことん学び昭和天皇に講進した粘菌や民俗、神話などに対する執念は凄まじい研究として今もまお語られている。この執念は日本を100年以上進歩させたと言われているほどである。

冒頭でも説明したが熊楠の生まれつきの脳特性(サヴァン的側面)については研究者の間では、ASD(自閉スペクトラム)的特性やサヴァン症候群に近い記憶特性を持っていた可能性も指摘されている。熊楠の脳力は天才的素質 × 圧倒的読書量 × 連想型記憶 × 強烈な情動 × 徹底したアウトプットの結果で得たものである。

単なる「記憶力の良さや能力高さ」ではなく、知識を巨大な体系として保存・運用できる能力こそが熊楠の本質であろう。現代のようなSNSなどで情報を容易に入手できないからこそ自分自身で考え情報を集め、しつこいほど観察し、観察した情報から逃げずとことん行動するからこそ結果が生まれることを実践した先駆者である。

私がこの記事で伝えたいことは子供達の未来のために溢れている情報を集め、頭でわかって理解するだけでは大きな身を結実させることは難しく、しつこいほど子供を観察し、子供の弱点から目を逸らさず逃げず、自ら得たこれだと思う知識を道具として使い、子供の未来を先読みする人になってほしいと切に願う。