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花より桜餅

干し梅飴を噛み砕く【1:1:2】

2026.01.19 15:00

あなたに与えられる不幸なら、他の幸福よりずっと価値がある

 

「干し梅飴を噛み砕く」

 

【読み方】

「ファーメイタンをかみくだく」

 

【あらすじ】

クラブに入り浸る鼓動な高校生、真紘。彼にはただ1人、ずっと追い求める存在がいた。口に含んでいた飴を、その思いとともに、噛み砕く

 

ジャンル:依存×ヒューマンドラマ

出演人数:4人(男1女1性別不問2)

時間:30分(推定)

 

配役

◆真紘(まひろ)・・・【性別不問】 本名「石上真紘」 18歳の高校生。人間関係に疲れて学校では一人でいることが多い。謎に満ち溢れている青に対して依存傾向にある

◆青(あお)・・・【性別不問】 本名「北野青」 名前と大学生であること以外は謎に包まれている。

◆玲奈・・・【女】真紘と同じ高校に通うクラスメイト。真紘が孤独になり青に執着するようになった原因

◆マスター・・・【男】真紘と青が出会ったクラブのバーテンダー。なぜか客に「マスター」と呼ばせている

 

本文は両方とも男性的に描いていますが、真紘ならびに青の一人称変更可能です

 

口調だけを変えた男女版、男女逆転版、百合版はこちらから↓

男女版

男女逆転版

百合版


 

 

* * *

0:(以下、本文)

真紘:(M)あの空と海の境界が曖昧になった黒い世界を、水面に揺れる白い月を、突き刺さるような水の冷たさを、肌に触れた君の体温を、僕は一生忘れることが出来ないだろう。

真紘:(M)この一夜の出来事が、単なる君の気まぐれだったとしても。

 

青:真紘

 

真紘:(M)その声と一緒に、溶けて消えることができたなら

 

0:(飴を噛み砕く音)

真紘:(タイトルコール)「*干し梅飴《ファーメイタン》を噛み砕く」

0:

0:

マスター:可愛い顔して野蛮だねぇ。飴は噛むもんじゃないよ?

 

真紘:マスター……ジムビーム、ロックで

 

マスター:未成年に飲ませる酒はありません。おじさんクビになりたくないわけ。分かる?

 

真紘:けち

 

マスター:なんとでも言いなさい。ていうか、真紘くん別にお酒が飲みたくてここに来てる訳じゃないでしょ?

マスター:というか、クラブに来てる目的がクラブじゃないよね?

 

真紘:………………

 

マスター:悪いことは言わないからクラブなんか来るのやめときなさい。ココ、健全な若者の育成には不向きだからね

 

真紘:マスターは悪い大人なの?

 

マスター:そりゃもう。不健全な大人だよ

 

真紘:でもかっこいいよ

 

マスター:そりゃそのためにバーテンなったもん。かっこいいって思われるのは必然よ

マスター:クラブで働くことになるとは思わんかったがね

 

真紘:……あ、だからマスター?

 

マスター:そーよ。バーで客と一対一で*厳《おごそ》かに〜ってのが理想だったのにさぁ?今じゃクラブでテキーラショット祭りしかしねぇ。酔っぱらいは散れ散れ、しっしっ。

マスター:あ、吐いたら出禁ね

 

真紘:お酒でも飲まない限りそんなことないって 

 

マスター:そー。だから真紘くんはいてもらって構わないんだけど、ここには来ないように

 

真紘:矛盾してる……

 

マスター:俺が言うのもなんだけどさぁ、クラブで出会ったやつにマトモな人なんていないからね?

 

真紘:……………………

 

0:

玲奈:(回想)……石上ってさ、マトモでいようとしてるだけじゃん?

 

マスター:真紘くん?

 

真紘:っ………………

真紘:まぁ、それはそうなんですけどね……

 

マスター:花の高校生活も最後なんだし、学校で青春し尽くしたら?もう冬だよ?終わっちゃうよ?

 

0:

玲奈:(回想)アタシらの事なんて、ハナから興味ないくせに。

玲奈:(回想)そういう自己満のために友達とか、やってられないから

 

 

真紘:……………………

真紘:…………もう、あんまり行っても意味ないんで

 

マスター:そ。まっ、みんな受験勉強中か。

 

真紘:……………………

0:(真紘、新しい飴を取り出す)

 

青:(遠くから)…………じゃん、いっしょ飲む?

 

真紘:っ!!

 

マスター:うげ。めんどいの来た

 

0:靴音

青:めんどいのって何。心外だなぁ

 

マスター:酔っ払い*侍《はべ》らせて心外とは喧嘩売ってるな?買わんぞ

 

青:テキーラショット8人分。よろしく

 

マスター:ぜっっったいに嫌だね!!!!!!吐く気しかねぇじゃねぇか!

 

青:仕事放棄じゃん。こんな大人になっちゃだめだよ〜みんな

 

マスター:こんなんに騙されたらだめだぞ*若人《わこうど》!!!

 

青:ね、真紘もそう思うでしょ

 

真紘:え

 

青:なに。気づいてないと思ってた?俺が真紘に気づかないわけないでしょ

 

真紘:そ、そうなんだ

真紘:青くんは……相変わらず、だね。今日もいっぱいだ

 

青:可愛い子相手に何もしないのは大人が廃るってもんでしょ?

青:真紘もなんか飲む?

 

真紘:じゃあ、ジンジャーエール……

 

青:ふっ

青:……ジムビームじゃなくていいの?

 

真紘:なっ……!?

 

青:飲みたくなったらいいなよ。奢ってあげる

 

真紘:いや、えっと…………

 

0:(ショットグラスを雑に置く音)

マスター:はいよテキーラショット。飲むなら向こうでな。ここで吐かれちゃ困る

マスター:お前は未成年に悪いこと教えんなっての

 

青:残念。いいとこだったのに

青:怖いマスターに叱られちゃう前に行こうか。じゃね

 

真紘:あ………………

0:

0:

マスター:ったく…………アイツ相手にするの毎度イライラするわ

マスター:ほら真紘くん。ジンジャーエール。アイツから料金は貰ってるから

マスター:皆、あんな遊び人のどこがいいんだかなぁ

 

真紘:………………

0:(開けていた飴を舐め始める)

0:

0:ー(回想)

玲奈:あのさ、ずっと言いたかったことあるんだけど

 

真紘:な、なに……

 

玲奈:石上、別にアタシらと友達になりたい訳じゃないんでしょ?

 

真紘:っ

 

玲奈:なんて言うか、「友達がいる」っていうことに重きを置いてるっていうか、「友達」って肩書きがあれば別に誰でもよかったんでしょ?

玲奈:だって、石上アタシらと趣味も違うし好きな物も違うじゃん。なのに友達でいるとかなんか、おかしいでしょ。友達ってさ、そんな堅苦しくも無理してなるもんでもないのに

玲奈:なんか、「友達」って存在をアクセサリーにしてる感じ?ガワだけ見ててあとはどうでもいいっていうの、透けて見えてんだよ

 

真紘:そ、れは…………

 

玲奈:アタシのことぞんざいに扱う人なんていらない

玲奈:相手は人間なの。無機物じゃないから

 

真紘:………………

真紘:……だって、だってそうでもしなきゃ、

0:

真紘:(M)だってそうでもしなきゃ、僕は皆と馴染めない

真紘:(M)「友達がいる」って言うのは、人間社会においてごくごく当たり前のことで

真紘:(M)生きていくために必要なことだから、社会に溶け込むのに必要なことだから、だから必死に取り繕って輪に入ろうとしてるのに

0:

真紘:(M)それを見ようともしないで捨てるなんて、そっちの方が酷いと思わないか

真紘:(M)どうせみんな、自分が1番可愛いのに

0:

0:(飴を噛み砕く音)

0:

 

 

真紘:…あ、れ

真紘:……そうだ。さっきぶつかってきた人がいて、そのまま……

 

青:まーひろ

 

真紘:あ、、おくん

 

青:酔っ払いに吐かれたんだって?災難だったね

 

真紘:いや……マスターが怒ってくれたからそんなに

 

青:服は?

 

真紘:とりあえず洗った

 

青:でもまだ匂い付いてるよね?濡れた状態ってのも気持ち悪いでしょ

 

真紘:………まぁ

0:

0:

青:海行こうよ

 

真紘:え?

 

青:海。行こ

 

真紘:今真冬だよ?寒いに決まって……

 

青:いーじゃん。合法的に濡れてても許される場所なんだし

青:酔っ払いに吐かれて濡らした服で風邪ひくよりも、真冬の海に入って風邪ひいたほうが面白いよ

 

真紘:……………………

 

青:どうする?行く?行かない?

青:俺は別にどっちでもいいよ

 

真紘:……………………行く

 

青:言うと思った

青:ほら、早くしないと置いてくよ

0:

真紘:(M)自分の都合が1番で、相手に合わせてもらうのを前提としている

真紘:(M)この感覚が、これをなんとも思ってないように行動するこの人が

真紘:(M)北野青という存在が、僕を掴んで離そうとしない。

真紘:(M)いや、

真紘:(M)僕が掴んで、離そうとしない

0:

0:

0:* * *

0:

0:

0:(海辺。波の音が響く)

真紘:さむ……………

 

青:寒いねー。

青:ん

 

真紘:な、なに……?

 

青:手、繋ご

 

真紘:っ……!!?な、な………っ!?何(言って)

 

青:(遮る)真紘子ども体温だからさぁー、カイロ替わり

 

真紘:………………ゃ、ぇ、、と……

 

青:はい獲ったー

 

真紘:っ……!

0:(自分のポケットに繋いだ手を入れ込む)

 

青:いやー、あったかいあったかい

青:真紘カイロ様々だね

 

真紘:……………青くんが冷たすぎるんだよ

真紘:身体、あんまり冷やしちゃだめだよ

 

青:毎晩クラブで酒飲んでたら身体も冷えるか。ははっ

 

真紘:またそう言って………

 

青:でも真紘があっためてくれんでしょ?

 

真紘:………………………

 

青:でもいいわー。この寒さだと酔い覚める

0:

0:

真紘:……僕ね、海好きなんだ

 

青:へぇ

 

真紘:海って、なんにもしてくれないから。なんにもしてくれないけど、そこに居てくれるから。

真紘:良いよとも、ダメだよとも言ってくれない。

真紘:でもそれがいいんだ。どんな僕でも迎え入れてくれる感じがするから。

真紘:でも、ひとりで来るものじゃないね。波の音聞いてたら寂しくなっちゃう。

 

青:一人で来たことあんだ?

 

真紘:変な気持ちになってすぐ帰った。だから青くんが誘ってくれて嬉しかったよ。ありがとう

 

青:……どーいたしまして

 

真紘:波の音って赤ちゃんの時にいたお腹の中の音に似てるって言うから、そのせいなのかも

真紘:ほんと、人間関係に悩まされない子どもの時に戻りたいなぁ………っ!?

 

0:(青が片手で真紘の頬を掴み引き寄せる)

真紘:………っ

 

青:俺といるんだから他に意識向けてんな

 

真紘:ご、ごめん………

 

青:あーあ、俺は真紘に都合よく使われたってわけかー。かなしー

 

真紘:そ、そうじゃないよ…!青くんが言ってくれたことだったし、僕が一緒にいたかったから…

 

青:ふーん?

 

真紘:青くんの言うことならなんでもするよ…!!

 

青:…………言ったな?

青:……っしゃ!そんじゃ行くかー

0:(真紘の手を引き海に向かって歩き出す)

 

真紘:え?……………えちょっと待って、青くん!?

0:

0:水しぶきの音

 

青:………っはは!!つっめた!

 

真紘:さ、寒………!!!

 

青:真紘足つく?

 

真紘:そこまで低くない!

 

青:俺よりチビだからもしかしてって

 

真紘:赤ちゃんかなんかだと思ってる!?

 

青:赤ちゃん体温だとは思ってる

青:でも、飛び込んだから流石に冷えてんね

 

真紘:当たり前だよ

真紘:青くんまで飛び込まなくても良かったのに………。元々濡れてたのは僕だけなんだから

 

青:やりたくなったから。そう決めたら止まんないよ、俺は

 

真紘:風邪ひくよ?

 

青:お揃いになるじゃん

 

真紘:……じゃなくて!青くんまで風邪ひく必要なんかないのに……

 

青:んじゃ、

青:今あっためてくれたらいいよ。そしたら風邪なんかひかないでしょ

 

真紘:っ…………………………

 

青:お、照れた照れた。これであったかくなる?

 

真紘:ならない!

 

青:ふは、知ってる

 

真紘:でも、ありがと…

真紘:……あの、さ。また誘ってもいい?今度は昼の海に(一緒に行こう)

 

青:(なにか話そうとするところを遮る)

青:っはー、上がろ上がろ。さすがにこれ以上浸かってると死ぬ

 

真紘:あっ……うん…………………

 

青:うわやっば、上がってからの方が寒いわこれ

青:凍える凍える。入んなきゃ良かったw

 

真紘:だから言ったのに………

 

青:だってやりたかったから。理由なんてそれだけでいーの。難しく考えないでさ

青:真紘、いっつも難しく考えてばっかだから

 

真紘:………………青くんみたいには、なれないよ

 

青:俺みたいなのにはならない方がいいよ

青:俺だからできてる事だし

 

真紘:それはそう

 

青:でしょ?

青:う〜さむさむ、その辺であったかい飲み物なんか売ってね?

 

真紘:何も無いよ。閑散期なんだから

 

青:それもそっか。使えねー

青:あー、なんか腹減ってきたわ。なんか持ってる?

 

真紘:え?え……と

真紘:……あ、飴ならあるよ

 

青:ちょーだい

0:(口を開ける)

 

真紘:え

 

青:ん、はやく

 

真紘:う、うん………

0:(飴を青の口の中に入れる)

 

青:あんがと

青:ん………………?んぅぇ、すっぱ

青:なにこれ?

 

真紘:干し梅味の飴

 

青:あぁー、この前いらないからって俺が真紘にあげたやつ

青:こんなまずいのよく食えるね?

 

真紘:……………………………ま、ね。たまたま気に入って

 

青:でも俺これ嫌いだから、真紘にあーげる

青:ん、ぁい

 

真紘:え

0:(口移しで飴を受け取る)

真紘:……………いきなりはびっくりする

 

青:それ好きなんでしょ?じゃいーじゃん

 

真紘:……………うん

真紘:青くんも食べかけあげるとかあるんだ

 

青:んー?別に普段はやんないよ。真紘ならまいっかって思っただけ

青:食べかけでも食べてくれそうだったから。好きでしょそれ

 

真紘:まぁ……………

0:

0:

0:

青:あ、そだ

青:真紘さ、俺の連絡先持ってないよね

 

真紘:っ、持ってない!

 

青:そーかそーか、どおりでLINE漁っても出てこないわけだ。

青:はいこれ俺のLINE。あげる。

 

真紘:いいの!?

 

青:別に減るもんでもないし。あー、あんま見ないから返信は遅れるかも。送ってこられても気付かなかったらそーゆーことで

 

真紘:その時は会って話すよ。いつもクラブにいるじゃん

 

青:まーね、でも真紘はいない時ある

 

真紘:さすがにテスト前は行かないよ

 

青:俺に会えなくて寂しくないんだ

 

真紘:もちろん寂しいけど………、2週間そこらだよ。それに、あんまり行き過ぎるとお金も無くなるし………

 

青:早くおっきくなってよ。それかバイト

 

真紘:……………できたら褒めてくれる?

 

青:褒める褒める

 

真紘:なら、考えてみる……

 

青:てか、真紘と俺めっちゃ会ってるはずなのに連絡先持ってなかったとかウケんね

 

真紘:いや、僕も言ってなかったから。貰えるとも思ってなかったし……。ありがとう。嬉しい…!

 

青:たかが連絡先くらいで大袈裟だなぁ………っくしゅ!!ん、あー………さっぶ。

青:帰ろ帰ろ

0:

0:

真紘:(M)真っ暗な海に、真っ白な月が浮かんでいる。曖昧な水平線の境目に、月光に反射される青がいる。

真紘:(M)憎たらしいくらいに、君はいつまで経っても、どこまで行っても、輝きのど真ん中にたっている

真紘:(M)それが当たり前と言わんばかりに、それが当然であると疑わないように、

真紘:(M)ああでも、だからこそ

真紘:(M)自分をどう思ってるかなんてどうでもいい君といると、僕が肯定されている気分になるから

 

0:

玲奈:(回想)「アタシらの事なんて、ハナから興味無いくせに」

0:

 

真紘:(M)そうでいて良いよって、言われてるような気分になるから

真紘:(M)だからもっと、ずっと、

0:(飴を噛み砕く音)

0:

0:

0:* * *

0:

0:

0:ー学校ー

真紘:……………っくしゅ!やっぱ風邪ひいた……

 

玲奈:石上

 

真紘:っ………

 

玲奈:この後ちょっと時間ある?

 

真紘:な、なに………………

 

玲奈:友達からさ、こないだ石上がクラブに入ってくとこ見たって言ってたの。あーゆーとこって高校生が入っちゃいけないんじゃないの?お酒の提供もあるみたいだし、なんかしてたら捕まるよ

 

真紘:……………

 

玲奈:なんか言いなよ。図星だから答えらんないの?

 

真紘:…っは

真紘:誰が誰に説教してんの。

 

玲奈:説教って…………純粋に心配してるだけじゃん。

 

真紘:心配?友達でもないのに?

 

玲奈:なにそれ

玲奈:クラスメイトを心配しちゃいけないの?クラブって危ない大人とか入ってるんでしょ。逮捕されるとかやめてよね。なんかあったら高校のイメージ下がって進路に響くんだから

 

真紘:……ほら、それが本音なんじゃん。

真紘:結局自分の進路が大事なんでしょ!?だから問題児の僕を心配するフリして自分の印象も良くしようとしてる!!

 

玲奈:は?そんな回りくどいことしないし

 

真紘:友達じゃないって言った相手によくそんなこと言えるよね

真紘:これだから友達って面倒

 

玲奈:………萎えた。もう言わない

玲奈:石上、言ってくれることをありがたいと思わなきゃだめだよ

0:

0:

真紘:……………………なにそれ。今更だよ、もう

真紘:むかつく

 

0:

真紘:(M)自分からはしごを外しておいて今更正義者のつもり?

真紘:(M)「クラスメイトを心配して何が悪い?」

真紘:(M)悪いよ。そんなこと簡単に言っちゃう人のことなんか、悪いと思うし悪くないと思いたくもない

0:

 

真紘:「クラブって悪い大人とか入ってるんでしょ」ね……………

真紘:ガワしか見てないのはどっちだよ……………

0:(携帯を見る)

真紘:(こぼすように)

真紘:………青くんに会いたい

真紘:会いたい、青くんに会いたい。…そうだLINE!

真紘:………!!青くんに連絡しよう…!そうしたら

0:

真紘:(M)きっと「どーでもいーね」って、笑い飛ばしてくれるはず。

0:

真紘:今どこにいるんだろう。夜クラブに行ったらいるかな。

真紘:…………………早く会いたいな

0:

0:

0:

0:(夕方、クラブ店前)

0:真紘が走ってやってくる

 

真紘:(息切れ)

真紘:既読は………………付いてないか

 

0:青が大勢に囲まれながらやってくる

 

真紘:っ、あおく

 

青:…………くしゅっ、

青:ん?いや、ちょっと風邪気味なんだよね。まぁ海に飛び込んだんだけどwそりゃ風邪もひくよ

青:っあ〜、くしゃみ止まらねぇ〜

 

真紘:っ…………………

真紘:そっ、か……今は他の人といるから。そりゃLINE見る時間も無いよね…………

 

青:ん?なんか通知来てる

 

真紘:っ!

 

青:……………………

 

真紘:…………あ

真紘:……きどく、付、、、、(いて)

 

青:(遮る)んーんなんでもない。てか、店開くのもまだだしどっか入ろうよ。俺腹減ってんだけど

青:え?あー、、LINE見えた?いや別にいいよ。

青:今優先することじゃ無いしね。てか、気分じゃない

 

真紘:……………………………

 

青:おいコラ、可哀想とか言うなってのwwいーのいーの。どうせクラブ来るだろうしそん時でいいや。酔っ払って忘れてるかもだけどww

青:ほらいこーよ。俺もう腹減って倒れそう

 

0:青たちが大通りに消えていく

 

真紘:……………………………

真紘:……………はは。確かに。青くんはそういう人だもんね

真紘:最初っから分かってたじゃん。青くんがそういう人っていうのは

真紘:だから一緒にいたんじゃんか………………

真紘:……………………………

0:

0:(飴を噛み砕く音)

0:

0:(夜、クラブ内)

マスター:お、やっほー真紘くん…………うわひっどい顔。どうしたの

 

真紘:……………僕そんなに酷い顔してますか?

 

マスター:うん。なんかもうやばいね。

マスター:どうしたの?おじさん話聞こうか?

 

真紘:………いえ、なんでもないですよ

 

マスター:そうには、、見えないけどね

 

真紘:本当になんでもないんです。僕が勝手に勘違いしてたって言うか……ほんと、大丈夫なんで

 

マスター:そう、か……………じゃあ触れないでおくけど、いつでも話聞くからね?

 

真紘:はい…………

 

マスター:なんか飲む?

 

真紘:ジム…………

真紘:………いや、ジンジャーエールで

 

マスター:了解

マスター:そういえばさ、飴を舐めずに噛んじゃう人って、ストレスが溜まってる人らしいんだよね

マスター:あんま抱え込んでも良いことないよ?まだまだ若いんだから、もっと自分勝手に生きなきゃ

 

真紘:はは……………そうかもですね

 

マスター:はいジンジャーエール。おじさんの奢りだ

マスター:好きなだけ悩めばいいさ。*若人《わこうど》は悩むのが仕事だからねぇ

マスター:大人になると長いものに巻かれるのに慣れちゃうから

 

真紘:…………それでもマスターには、僕よりストレスが無さそうだよ

 

マスター:どした?

 

真紘:いえ、なんでもないです

 

真紘:(M)僕も大人になれば、こんなことで悩まないんだろうか

真紘:(M)青くんを忘れることが出来れば、こんなに悩まないのだろうか。

真紘:(M)だったら、いっそここに来るのをやめてしまえば…………

 

青:真紘。やっぱここにいた

 

真紘:あおく、

 

青:またどーでもいーことで悩んでるんだ?そんな顔してた

 

真紘:あ……うん、まぁ

 

青:そしたら俺が気分な時はまた海いこーよ。

青:今度はあったかいもん持っていけな?

 

真紘:わかった

 

青:決まりー。あ、マスターショット7〜

 

マスター:またかよ!?出禁にするぞお前ら!!!

 

青:マスターおこじゃんやばぁ〜、真紘逃げるよ

 

真紘:え、ちょっと………………!?

 

青:なに、行かないの?

 

真紘:いや………行こ

 

青:だと思った。

青:そういや真紘からのメッセ今見たんだけどさぁ、なんかあった?

 

真紘:…………………

真紘:ううん。青くん見たらどうでも良くなった

 

青:そ、ならいいや。はい、マスターから逃げろ逃げろ〜!

0:

0:

真紘:(M)青くんの事で傷ついたのに、それを癒すのも青くんなんて、馬鹿らしすぎる。

真紘:(M)どうせ僕はずっと、青くんにいいように使われて、病んで救われてを繰り返して行くんだろう。それを嫌だとも、やめてとも言えずに。

真紘:(M)噛まずに舐め切ることも出来ない僕は、いつまで経っても子供のままだ

 

0:(飴を噛み砕く音)