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経済産業省講演にみる繊維産業政策の最新動向

2026.01.16 01:44

令和8年1月15日に開催された日本繊維産業連盟総会おいて、経済産業省 製造産業局 生活製品課渡邉課長による講演会がありました。

主に以下の5点について、国の最新の政策動向と支援策が示されています。


― 取引適正化・省力化投資・産地強化・人材確保・サステナビリティ ―

1.取引適正化と価格転嫁の定着

繊維産業は、価格交渉の実施状況において他業種と比べて依然として低位にあり、原材料費や労務費の上昇分が十分に価格へ反映されていない実態が指摘されている。政府は、下請法・取引適正化法の周知徹底、商慣習の見直し、自主行動計画やパートナーシップ構築宣言の推進などを通じて、サプライチェーン全体での価格転嫁を促す姿勢を強めている。賃上げを継続的に実現するためには、適正な取引環境の構築が不可欠であり、業界全体での取組が求められている。

2.省力化投資・DXを後押しする補助金施策

深刻化する人手不足への対応として、省力化・自動化・デジタル化への投資支援が強化されている。中小企業省力化投資補助金では、裁断機や編み機など繊維関連設備もカタログ登録され、比較的簡易な手続きで導入可能な「カタログ注文型」に加え、より柔軟な設備導入を支援する「一般型」も新設された。さらに、ものづくり補助金やデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)なども活用することで、生産性向上と業務効率化を同時に進めることが可能となっている。

3.繊維産地のサプライチェーン強靱化

産地においては、後継者不足、担い手不足、設備老朽化、工程の欠落(いわゆるチョークポイント)など、事業継続に関わる課題が顕在化している。これに対し、産地内外の企業連携、事業承継の多様化、共同投資による認証取得やブランド化、オープンファクトリーによる関係人口の創出など、産地全体で持続性を高める取組が各地で進められている。特に、産地を牽引する中核企業の存在が、産地再生の鍵を握るとされている。

4.外国人材の活用と適正な制度運用

国内人材の確保に加え、特定技能制度などを活用した外国人材の受入れも、現場の人手不足を補う重要な手段として位置付けられている。特定技能2号への移行が可能となることで、長期就労や家族帯同も視野に入った人材定着が期待される一方、適正な賃金支払い、労働環境の整備、技能向上支援など、受入れ企業側の体制整備がより一層重要となっている。

5.サステナビリティと成長志向経営の促進

環境配慮型生産、海外認証取得、最終製品の輸出促進などを通じた高付加価値化は、今後の競争力確保に不可欠とされている。また、売上高100億円を目指す企業の成長戦略を後押しする「100億宣言」や成長加速化補助金など、意欲ある中小企業の大胆な投資を支援する施策も打ち出されており、産地・企業が連携して外需獲得やブランド力向上に取り組むことが期待されている。

まとめ

今回の講演では、繊維産業の課題に対して「取引の是正」「省力化投資」「産地連携」「人材確保」「高付加価値化」という複数の政策を組み合わせ、産業全体の持続的成長を図るという国の方針が明確に示された。各事業者においても、補助金制度の活用や他企業との連携を通じて、自社の強みを生かした将来戦略を検討していくことが、今後ますます重要になるものと考えられる。