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忙しさと稽古の折り合い —— 村島弘之/剣道歴20年

2026.01.16 06:13


仕事が立て込むと、稽古の時間は簡単に削られてしまう。

「今日は無理だな」と思いながら、道場の灯りを思い浮かべる夜も多い。

社会人剣士にとって、忙しさは言い訳であり、現実でもある。

稽古を優先できない自分に、どこか後ろめたさを感じることもある。

だが、剣道は量だけで測れるものではなかった。

稽古に行ける日は、限られている。

だからこそ、一振りが軽くならない。

一本一本に、迷いも、覚悟も、すべてを込める。

忙しい時期ほど、基本に立ち返る。

大きく構え、呼吸を整え、間合いを詰める。

派手な技より、崩れない姿勢を大切にする。

稽古に行けない日も、剣道は途切れない。

歩きながら姿勢を正す。

仕事の場で、一拍待つ。

感情を抑え、相手をよく見る。

それらもまた、稽古の延長線上にある。

若い頃は「稽古時間=強さ」だと信じていた。

しかし今は違う。

剣道は、生活の中に染み込ませていくものだと感じている。

忙しさと稽古は、敵対関係ではない。

どちらかを捨てる必要もない。

折り合いをつけながら、剣道を手放さないこと。

それが、社会人剣士の覚悟なのだと思う。

今日も稽古には行けなかった。

それでも、剣道から離れたわけではない。

次に竹刀を握るその瞬間まで、

心は、すでに稽古をしている。