剣先が迷うときに起きていること —— 村島弘之/剣道歴20年
2026.01.16 06:25
構えた瞬間、
自分でもはっきりわかる。
剣先が、定まっていない。
上下に揺れる。
相手の剣先を追いすぎる。
中心に置いたつもりが、
いつの間にか外れている。
剣先が迷うとき、
原因は手先にあるように見える。
だが本当は、
心が先に揺れている。
打つべきか、待つべきか。
先か、後か。
その判断が固まっていないとき、
剣先は正直に迷いを映す。
剣先は、
心の延長線上にある。
「打ちたい」という気持ちと、
「打たれるかもしれない」という不安。
その二つが同時に存在すると、
剣先は居場所を失う。
剣先を安定させようとして、
力を入れる。
抑えようとする。
だがそれは、
迷いを隠しているだけだ。
必要なのは、
選ぶことである。
今は攻めるのか。
今は待つのか。
どちらでもいい。
ただし、決める。
一度決めたら、
剣先は自然と落ち着く。
中心に居続ける理由が、
身体に通るからだ。
審査で剣先が迷っているとき、
それは
「剣道が決まっていない」状態でもある。
打つ準備が整っていないのではなく、
心の覚悟が定まっていない。
剣先を直そうとする前に、
自分に問いかけてみる。
——いま、何を選んでいるか。
その答えが明確になった瞬間、
剣先は、
迷わなくなる。
剣先は、
技術を語らない。
だが、
心の状態だけは、
決して隠さない。