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大場六夫's Art Random 僕の美術教育論

想像と論理、感覚と感情が同時に働く療育的活動

2026.01.07 14:50

知育パズル型ビー玉転がしタワーに夢中になる体験は、単なる「遊び」ではなく、想像と論理、感覚と感情が同時に働く療育的活動として高い価値を持ちます。

以下、想像的・思考的・観ること(知覚)という三つの軸から、特に発達に課題のある子どもの療育的意義を整理して解説します。

① 「観ること」から始まる療育 ― 知覚と思考の起点

ビー玉転がしタワーの最大の特徴は、

「まず観る → 次に考える → そして試す」という自然な認知プロセスを引き出す点にあります。

● 知覚統合の視点

• ビー玉の動き・速度・落下方向

• パーツの形・角度・高さ

• 音や転がるリズム

これらを同時に観察することで、

視覚・触覚・聴覚・固有感覚が統合されていきます。

▶︎発達に課題のある子どもにとって

「観ること」は受動的ではなく、思考の入り口です。

言語化が苦手でも、目で理解し、身体で納得することが可能になります。

② 想像的思考 ― 「まだ起きていない未来」を描く力

ビー玉転がしタワーでは、組み立てる前に必ず

「こう転がるだろう」

「ここに置いたらどうなるだろう」

という仮説的想像が生まれます。

● 想像の質

これは空想ではなく、

• 現実に基づいた予測的想像

• 結果を伴う因果的想像

です。

▶︎発達支援の観点では

「想像できる=行動をコントロールできる」という関係があります。

• 衝動的に動く前に考える

• 結果を想像し、行動を調整する。

これは『自己調整力(セルフレギュレーション)』の育ちにつながります。

③ 思考する楽しさ ― 失敗が「学び」に変わる構造

ビー玉が思った通りに転がらないことは、

この玩具において失敗ではありません。

● 行動心理・学習理論的視点

• 試す

• 失敗する

• 修正する

• 成功する

この循環は、内発的動機づけを強く刺激します。

特に発達に課題のある子どもにとって、

• 正解・不正解で評価されない

• 他者と比較されない

• 自分のペースで考えられる

という環境は、安心して思考を深められる場になります。

▶︎「楽しいから考える」

▶︎「考えるから続けられる」

この循環こそが、療育として非常に重要です。

④ アート活動との違いと共通点

ご指摘の通り、ビー玉転がしタワーは

一般的な創作活動(描画・造形)とは異なる側面を持ちます。