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「宇田川源流」【大河ドラマ 豊臣兄弟】 たとえ負けると分かっていても、命を懸けて戦わねばならぬことがある

2026.01.20 22:00

「宇田川源流」【大河ドラマ 豊臣兄弟】 たとえ負けると分かっていても、命を懸けて戦わねばならぬことがある


 毎週水曜日はNHK大河ドラマ「豊臣兄弟」について、好き勝手に書かせていただいている。今回のドラマも、非常に面白いし、まあたあ伏線もしっかりとなっており、歴史的な出来事に結びついて様々な話になっているのだ。ある意味で「よく知ったエピソード」が、うまく使われているところに制作陣の工夫が見て取れるところが面白い。その辺を書く前に、まずはその「歴史的な出来事」を見てみよう。

 今回は今川義元と桶狭間ということで、今川義元についてみてみよう。

今川義元は、戦国時代の駿河・遠江・三河を支配した大名で、名門・今川家の当主でした。義元は幼少期、出家して僧侶になる予定でしたが、兄の急死により還俗し、家督を継ぎます。この時点で義元は、武力だけでなく教養にも秀でた人物として知られ、京の公家文化にも通じていました。彼は室町幕府との関係を重視し、将軍家との婚姻を通じて権威を高め、駿河・遠江・三河を安定させることに成功します。

義元の政治手腕は卓越しており、分国法を整備し、領国経営を近代化しました。さらに、外交面では甲斐の武田氏や相模の北条氏と婚姻同盟を結び、東海地方で圧倒的な勢力を築きます。この時期、義元は「海道一の弓取り」と称されるほどの名声を得ていました。

では、なぜ桶狭間へ向かったのか――。義元の目標は、天下統一への第一歩として京への進軍でした。室町幕府の権威が失墜する中、義元は将軍足利義輝を擁護しつつ、自らの影響力を中央に及ぼそうと考えます。三河を完全に掌握した義元は、次に尾張を攻略し、京へ進む道を確保する必要がありました。尾張は織田信長の領国でしたが、当時の信長はまだ地方の小大名に過ぎず、義元にとって脅威とは見なされていなかったのです。

義元は約二万五千の大軍を率いて出陣します。これは当時としては破格の兵力であり、義元自身も「勝利は確実」と考えていました。さらに、義元は戦略家というよりも儀礼や格式を重んじる人物で、進軍中も豪華な行列を整え、京への道を華やかに演出しました。この油断と慢心が、後の悲劇を招きます。

桶狭間での戦いは、義元にとって予想外の展開でした。信長は奇襲という大胆な戦術を選び、豪雨を利用して義元本陣を急襲します。義元は防御の備えを十分に整えておらず、結果として討ち死にしました。この敗北は、戦国時代の勢力図を一変させ、織田信長の名を天下に轟かせる契機となります。

要するに、義元が桶狭間に向かった背景には、

「天下への野心」「圧倒的な兵力への自信」「信長を軽視した油断」

がありました。義元は戦国大名として優れた政治家でしたが、戦場での柔軟な対応力に欠けていたことが、運命を決定づけたのです。

<参考記事>

「豊臣兄弟」草履温めエピ「新解釈」ネット驚き!信長鉄拳→直が出陣後押し 白石聖「私も小一郎派(笑)」

[ 2026年1月18日 20:45 ] スポニチアネックス

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2026/01/18/articles/20260118s00041000044000c.html

<以上参考記事>

 今回は「桶狭間の戦い前夜」が描かれた。通常は、この場面から桶狭間の合戦で今川義元(大鶴義丹さん)を打ち取るまで一回で行ってしまうのであるが、豊臣兄弟では、二回に分けている。その代わり今回で、有名な、草履を温めていたエピソードや、今川義元の蹴鞠、そして油断、そして桶狭間の戦いの雨、と様々な「歴史的事実の伏線」を埋め込んだ感じであった。

草履に関しては、「草履を他人の草履と間違えて盗もうとした」ということ、そして信長(小栗旬さん)は「この陽気に温めて何とする」。小一郎(仲野太賀さん)は「間もなく雨が降りまする。濡れてはいけないと思いまして」「とんびはいつもより低いところを飛んでおります」という。この草履のエピソードが、季節が変わっていて、なおかつ小一郎と藤吉郎(池松壮亮さん)の二人になっている所が興味深い。ある意味で、「藤吉郎と小一郎が二人でセット」というような感じで描かれている所が非常に興味深い。まったく違う性格の二人の兄弟が、力を合わせて信長に仕えてゆくということがうまく描かれているということになるのではないか。

 今川義元の蹴鞠に関しては、今川義元の慢心ということがうまく描かれたエピソードだ。最も戦いと遠いことを、貴族の遊びである蹴鞠を行軍中に行うということ、そして、部下の制止を振り切って余裕を表しているということが、そのまま桶狭間での敗北につながる伏線になる。

そして、信長の桶狭間に関する覚悟などもうまく描かれている。和睦が賢明と説く小一郎を殴りつけ「そちの言葉は軽すぎる。たとえ負けると分かっていても、命を懸けて戦わねばならぬことがある。それが侍じゃ!志のない者は要らぬ。失せよ」という台詞が、そのまま信長の覚悟であり、同時に小一郎や藤吉郎に最も足りないところではないか。そして、農民出身の二人の兄弟が、信長のこれらの考え方を学び、そして天下人になってゆくということが見えてくるのではないか。

それにしても「たとえ負けると分かっていても、命を懸けて戦わねばならぬことがある。」は、松本零士先生の漫画銀河鉄道999の中に出てくるキャプテンハーロックが放った言葉と似ていて、ある意味で制作陣の年齢が見えてしまうような気がする。

そして雨が降る。まさに、その雨が降ったということに関して信長が感心するということがあり、一方で、小一郎は中村に一緒に帰ろうと、直(白石聖さん)に顛末を打ち明けるが「あんたは、下剋上に魅せられたんじゃ。それなら今戦わなくて、いつ戦うんじゃ。あんたが侍になったんは、あんた自身のためでしょ」といわれるのである。その言葉に背中を押されて、小一郎は出陣するのである。

ある意味で「小一郎と藤吉郎の成長物語」がうまくできており、そして、その中に実際の歴史の出来事がありその複線になるように様々なエピソードが組み込まれているという構成になっているのである。そして、メッセージとしては、多分「直の一言」、「逃げるな」ということではないかと思う。信長と兄弟の差は、「覚悟の差」であるということがよくわかるような構成になっているのである。

さて次回は「桶狭間の戦い」。期待している。