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部下を本気で成長させたいなら、上司は「不在」であれ

2026.01.20 03:03

獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすという。育成の本質は古来より変わらない。

手厚く保護し、常に目の届く範囲に置くことは、一見すると優しさに見えるが、それは部下から「ラストマンシップ」を奪う最大の悪手に過ぎない。


理由は簡単だ。


人は「教えられたこと」では成長しないからだ。受け身になり「やらされた仕事」をこなしているだけの延長線上では、決して一流にはなれない。


人は、やらされると自分で考えない。逆に、自らが「当事者」になると、人は嫌でも考えるようになるのだ。

人が最も血肉を入れ替える瞬間は、自らが「当事者」となり、他に誰も頼る者がいない状況で意思決定し、その結果を引き受けた時だ。


成功すれば自信につながり、失敗すれば骨身に染みる学びになる。


上官が常に現場にいて細かく指示を出し、すべての問題に先回りして答えている組織を想像してみるといい。


それは育成ではなく、思考停止したオペレーターを作っているだけだ。

部下を停滞させる最大の毒は、こういう上司の「ホバリング(過干渉)」にある。

本人の学習を止めないためには、段階を踏んで意図的に距離を離していく「構造」が必要だ。


具体的には、以下の「距離による4段階モデル」を実装せよ。


段階3、段階4ではあえて不在にする時間を作る。学会でも出張でも何でもいい。


上司がいない現場は最初は混乱するだろう。だが、それこそが「谷底」だ。

残された部下たちは否が応でも自分で考え、誰がこの場の「ラストマン」なのかを自覚せざるを得なくなる。

もちろんこれは「放置」ではない。


リーダーの本当の仕事は、突き落とす前に「これだけは越えるな」という安全の“枠(バウンダリー)”を設計することだ。


医療過誤のような致命的な失敗は絶対に防ぐ構造にするが、その枠の中では徹底した「介入ルール」を持て。


口出しは「事前に決めたチェックポイント」以外、一切禁ずる。

例外は二つだけだ。「危険(コンプラ・安全・重大な顧客影響)」、あるいは「期限遅延の確定」。

この有事以外、たとえ歯がゆくとも、上官は沈黙を貫け。


本人が判断する機会を最大化し、再現性を高めることが、結果として上司の時間を空け、組織の馬力を最大化させる最短ルートだ。

そして、最も重要な仕事は、彼らが谷から這い上がってきた後の「解き直し」に付き合うことだ。


「なぜあの時、そう判断した?」「次ならどうする?」


その対話を通じて、彼らが「当事者」として掴み取った判断は、再現性のある知見へと昇華していく。

組織の成長とは、上司一人の馬力で決まるものではない。

むしろ、上司がいなくても現場が自律的に回り、一流が育っていく「構造」そのものである。


部下の成長を本気で願うなら、管理するな。監視するな。

彼らを信じて、裁量という名の谷に突き落とせ。

そして、彼らが自力で掴み取った「学び」を、共に解き直せ。