「古志」笠寺観音吟行句会(「古志」愛知句会)を終えて
2026.01.21 21:00
12月6日(土)は「古志」愛知支部による、
笠寺観音吟行句会でした。
吟行の模様はすでに当ブログにてご紹介しています。
特選句からいくつか。
笠寺や落葉の上に市を立て 稲垣雄二
〈落葉の上に〉と捉えたところが鮮やか。
意表を突きながらも、たしかにそうだな、と納得させるものがあります。
〈市〉というもの、ひいては人間の営みの不安定さも象徴的に感じさせ、
それが詩情になって一句を支えています。
ほのぼのと月日のにほひ年の市 細井ひろ古
こちらも市を詠んだ句。
市ではさまざまな食材が売られ、
とくに屋台の食べ物の匂いが漂ってくるのですが、
それらを〈月日のにほひ〉と捉えています。
ほのぼのと平和な日々を重ねてきたわけですが、
その恙無い月日の匂いが、この年の瀬の市に漂っているというのです。
星崎へ帰る千鳥か連れ立ちて 小島楓
芭蕉の〈星崎の闇を見よとや啼千鳥〉に唱和した一句。
境内に句碑が建てられています。
この句を発句とした歌仙については、
「古志」古典講座でも取り上げました。
麩饅頭よく練り込んで枯野いろ 渡辺竜樹
句会で提供された麩饅頭への挨拶句。
〈枯野いろ〉とはよく言ったものですし、
〈よく練り込んで〉に菓子職人の手仕事への称賛がしっかり込められています。
蕉翁の倍の齢や納め句座 上松美智子
米寿いま生きて師走の句座にあり 有馬一水
いずれも老境の感慨を飾らずに詠んだ句。
吟行では風景ばかりに気を取られがちですが、
おのれの人生を見つめる良い機会でもあります。
「古志」では全国各地に支部があり、句会が行われています。
私(主宰)もしばしば出席しています。
ご興味のある方は、ぜひ「古志」にご入会ください。