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食べ物の好き嫌いはなぜ生まれる?

2026.01.26 00:51

――「苦手」克服のヒントは、脳と経験にあった

私は自分ではあまり食べ物の好き嫌いがない方だと思っている。けれど、誰かを食事に誘うときや、家族のために料理を作るときは、やはり相手の好みが気になる。「せっかく作ったのに、食べてもらえなかった……」という経験がある人も少なくないだろう。

そもそも、食べ物の好き嫌いはなぜ生じるのか。そして「苦手」を克服することはできるのだろうか。

 好き嫌いを決める2つの要因

味覚と脳の関係に詳しい愛知学院大学歯学部の豊田博紀教授によると、食べ物の好き嫌いは

* 生まれつきの遺伝的要因

* 育ってきた環境による後天的要因

この2つが組み合わさって決まるという。

人が感じる基本の味は、甘味・塩味・うま味・酸味・苦味の5種類。

このうち、甘味・塩味・うま味は「体に必要な栄養」として本能的に好まれやすい。甘味はエネルギー、塩味はミネラル、うま味はタンパク質のもとになるアミノ酸の味だ。

一方で、酸味は「腐敗」、苦味は「毒」を連想させるため、警戒心から嫌われやすい。つまり、「苦手」という感覚は、生き延びるために備わった防御反応でもあるのだ。

 経験が好みを変える

後天的な要因で大きいのは、「食べたときの記憶」。

味そのものが嫌いでなくても、食中毒や体調不良を経験すると、その食べ物自体を避けるようになることがある。人それぞれの体験が積み重なり、好みは少しずつ形作られていく。

では、「嫌い」を克服するにはどうすればいいのか。

豊田教授は次の2点を挙げている。

1. 酸味・苦味・臭い・見た目を和らげる調理や加工

2. 繰り返し食べる機会をつくること

新しいレシピや食べ方で「イメージを変える」ことが、苦手意識を薄める鍵になるという。

 納豆が苦手な人へ

この考え方を実践しているのが、納豆の産地や関連団体だ。

全国納豆協同組合連合会の調査では、大人の約17%が「全く納豆を食べない」と回答。理由で最も多かったのは「昔から食べる習慣がない」。続いて「臭いが嫌い」「味が嫌い」と、食味に関するものが並ぶ。

そこで水戸商工会議所は、納豆の消費拡大を目指し「納豆食べ方コンテスト」を開催。

「納豆嫌いの子どもも食べられる魔法のレシピ」など、固定観念を覆すアイデアが集まった。

最高賞に選ばれたのは、「納豆とジャガイモのカルツォーネ風ぎょうざ」

納豆にマッシュしたジャガイモとチーズを合わせ、皮で包んでごま油で焼く。香ばしさとコクで、納豆特有の臭いが和らぐ一品だという。

 食わず嫌いの、その先へ

好き嫌いは悪いことではない。けれど、「食べたことがない」「イメージだけで避けている」食べ物があるなら、少しだけ視点を変えてみてもいいのかもしれない。

新しい調理法や一口の挑戦が、意外な「好き」につながることもある。

次に食卓で誰かの「苦手」に出会ったら、無理に押し付けるのではなく、そっと工夫してみる。

それが、食の世界を広げる第一歩になるのだと思う。