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司法書士田中康雅事務所|新百合ヶ丘・麻生区の相続相談

小規模宅地等の特例|実家もアパートも、相続税を抑えるための必須知識(司法書士目線)

2025.09.01 06:29

実家やアパートの土地は、小規模宅地等の特例が使えると、相続税の計算上の評価が最大80%下がります。使えるかどうかは、土地の使い道と、誰が取得するかで決まります。 

「実家を相続することになったけど、相続税がいくらかかるか不安」「父が経営していたアパートは、相続のときどう扱うの?」。そんなときに、まず確認しておきたいのが小規模宅地等の特例です。 

条件が合うと、相続税の計算上、土地の評価が大きく下がるため、「誰が取得するか」「代償金をいくらにするか」といった遺産分割の組み立て方にも影響してきます。

この記事の内容
・小規模宅地等の特例って、ざっくり何ですか?

・特例は3つのカテゴリー(用途で減額率と面積が違う)

・自宅 誰が引き継ぐかで、条件の難しさが変わります
・アパート・駐車場 貸付用は50%減額でもインパクトが大きい
・司法書士から見た「登記」との関係 分割を決める前に押さえたい順番

・税額が整っても、2次相続で行き詰まることがある
・まとめ 分け方を決める前に、特例が「関係ありそうか」だけ先に見ておく 

小規模宅地等の特例って、ざっくり何ですか?

ざっくり言うと、亡くなった方が使っていた土地などについて、一定の条件を満たすと、相続税を計算するときの土地の評価額を大幅に下げられる制度です(租税特別措置法69条の4)。 

特例が使えると、相続税そのものが変わるだけでなく、実務では、誰が取得するか・代償金はいくらにするか、といった遺産分割の場面にも影響しやすくなります。

最終的な適用の判断は税理士の領域です。この記事では、「分割を決める前に押さえておきたい整理のポイント」を、司法書士の目線でまとめます。

下の図は、特例の全体像(土地の使い道ごとの減額と、自宅の土地を取得する人ごとの条件)を並べたものです。 

特例は3つのカテゴリー(用途で減額率と面積が違う) 

小規模宅地等の特例は、土地の使い道によって、減額の割合と面積の上限が変わります。 

たとえば、評価額5,000万円の自宅の土地(330㎡以内)なら、80%減額で1,000万円として計算します。基礎控除を超える相続でも、この特例で相続税がゼロになることは珍しくありません。 

ただし、特例は自動的には使えません。相続税の申告書を出して初めて使え、税額がゼロになる場合も申告が必要です。

また、特例を使う土地は、原則として申告期限(亡くなったことを知った日の翌日から10か月)までに、遺産分割で取得する人が決まっている必要があります。まとまらないときは「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておき、3年以内に分割がまとまれば、あとから特例を使えます。対象の土地が複数あるときは、どの土地に特例を使うかを、取得した人全員の同意で選びます。

実務で相談が多いのは、「自宅(居住用)」と「アパートなど(貸付用)」です。ここを中心に整理します。 

自宅 誰が引き継ぐかで、条件の難しさが変わります

自宅の土地(特定居住用宅地等)は、誰が取得するかによって、特例の「使いやすさ」がかなり違います。 

配偶者が取得する場合(いちばん整理しやすい)

配偶者には、取得する人としての条件がありません。同居していたか、申告期限まで住み続けるか・持ち続けるかを問わず使えます。実務では、「まず配偶者が取得する形で整理するか」を考える出発点になりやすいところです。 

同居していた親族が取得する場合(住み続ける前提が重要)

亡くなる直前から相続税の申告期限まで住み続け、その土地を持ち続けることが条件です。「名義だけ移して、すぐに売りたい」という場合は、特例と噛み合わないことがあります。 

持ち家のない別居の親族が取得する場合(一定の条件つき) 

亡くなった方に配偶者がいなく、同居していた相続人もいない場合に、次の条件をすべて満たすと検討できます(いわゆる「家なき子」)。

要件の判断が繊細なので、早めに税理士と目線を合わせておくと安心です。 

「自宅を誰が取得するか」は、遺産分割(民法)と税務の条件が強く絡み合います。先に分割を固めるほど、あとから修正しにくくなります。配偶者か子かを考えるときの視点は、次のページに整理しています。

自宅は配偶者と子のどちらが相続する?|7つの視点 

アパート・駐車場 貸付用は50%減額でもインパクトが大きい 

見落としやすいのが、アパート・マンション・貸家・駐車場などの貸付用の土地です。自宅ほど目立ちませんが、200㎡まで50%減額は、十分に大きい効果があります。 

貸付用は、税金の話だけでなく、誰が取得するか・管理を誰が担うかで、実務が動きにくくなることがあります。 

次の章で、「分割を決める前に押さえる順番」として、まとめて整理します。

司法書士から見た「登記」との関係 分割を決める前に押さえたい順番 

小規模宅地等の特例は、条件次第で、相続税の見立てが大きく変わります。ただ、実務では、「税金の結論」だけで分け方を固めてしまうと、あとから動けなくなる原因になることもあります。 

税務の適用判断は、状況により税理士の確認が必要です。ただ、登記・分割の形に落とすには、「先に目線をそろえる」ことがとても大事です。

先にそろえると整理が早い3つ 

申告が必要かどうかは、次の記事の流れで確かめられます。 

相続税の申告が必要かどうか|判断ステップと注意点 

分け方(代償分割・換価分割)と一緒に整理するなら

不動産がある相続では、現実的に「ひとりが取得して、ほかの人に代償金を支払う」や「売って分ける」が選ばれやすくなります。ただ、小規模宅地等の特例が絡むと、誰が取得するかが先に決まってしまい、あとから戻しにくくなります。

全体像は、代償分割・換価分割の総論で先に整理しておくと、噛み合いやすくなります。 

不動産がある相続の遺産分割|代償分割と換価分割の違い(総論) 

税額が整っても、2次相続で行き詰まることがある

小規模宅地等の特例が使えるかどうかは、土地の使い道と、誰が取得し、申告期限まで住み続け・持ち続けるかで決まります。条件に合えば、税額は大きく下がります。

本当に詰まるのは、その先です。「相続税も譲渡税も0円」に整っても、共有名義・家族の納得感・認知症などで、数年後に動けなくなるケースがあります。 

分かれ目は、自宅を配偶者が取得するか、子が取得するかです。配偶者なら条件はやさしい一方で、その配偶者が亡くなる2次相続では、配偶者としての特例は使えません。子が同居していなければ、特例を使えないこともあります。 

想定例をもとにした典型例は、次の記事に整理しています。全体の流れの中でいまどこを考えているかは相続の道筋地図で、似た状況でほかのご家族がどう決めたかは相続の判断例で確かめられます。

税金の計算だけでは見落とす「家族の未来」|小規模宅地等の特例と分割協議の落とし穴 

相続の道筋地図 

相続の判断例 


まとめ 分け方を決める前に、特例が「関係ありそうか」だけ先に見ておく 

 小規模宅地等の特例は、相続税を左右するだけでなく、遺産分割(代償金・誰が取得するか)にも影響しやすい制度です。 

分割を固める前に、「対象になりそうか」「誰が取得すると条件に乗りやすいか」を先に見立てるだけで、あとから話がひっくり返りにくくなります。

結論を急がず、家族の状況・住み続ける予定・売却の可能性・納税資金をそろえて、無理のない形を整理します。税務申告が必要なケースは、税理士と連携して進めます。

特例が関係ありそうか分からない段階でも、ご相談いただけます。初回のご相談は無料です。