「Where does the butterfly go when it rains」May Garelick Leonard Weisgard
春もいよいよ、となると雨の日も多くなってきますね。
天気は周期的に変わり、そのたびに少しづつ暖かくなっていく、大人になってこんな風に何もかもわかったように、自分は言うのですけれど、それを体感の記憶として、知識として、身につけたのはいつの頃だったのでしょうか。
「Where does the butterfly go when it rains」(あめがふるときちょうちょうはどこへ)
子どもなら誰もが持つこの疑問から絵本をつくった、メイ・ゲアリックとレナード・ワイスガードのこの美しい作品は、雨と言えばこの絵本、というのを越えて、すべての絵本の中でも一番、と言う方もいらっしゃるかもしれません。勿論、自分もとても好きな絵本のひとつでもあります。
雨が降り出すと、傘をさして、レインコートを着て、雨宿りをして。
空は暗くなって、花が濡れて、そう言えば鳥の鳴き声も、虫たちの姿も消え、だけどそのかわりに現れてくる普段は見ない生き物の姿もある。
雨が降ったときに現れる、いつもとは違った世界は子どもの頃にはとても魅力的だった、そんなことを思い出せてもくれます。
雨が降るとちょうちょうは何処へ行ってしまうのだろう、そのことを思いながら、雨の中の世界をひとつひとつ丁寧に見ていく、ゲアリックとワイスガードの目とともに読者はその美しい雨の中の世界を散歩するのです。
絵本の最後には、ひとつの答えらしきものも示されます。
ちょうちょうはきっと、雨のときにはこうしているんだろうなあ、と。
けれどそれはハッキリとした答えを出しているわけではなく、その目は雨の中のちょうちょうを見つける訳でもないのです。
疑問の答えの姿は、想像の中で現れるだけで、本の中に現れはしません。
それはまるで何かの隠喩のようです。
探し求めていた美しいちょうちょうの、雨の中の姿は見ることが出来ないのです。
雨の絵本が、こうした詩的な表現によって、とてもとても美しい作品になっているのですね。
この絵本「Where does the butterfly go when it rains」のいま当店にある在庫は1970年頃の刷の英語原書版(初版は1961年)です。
紙の雰囲気も良くこの絵本を好きな方にはおすすめです。
ぜひオンラインストアの方でもご覧ください。
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