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2026年共通テストの現代文の出典:『影に対して』(著 遠藤周作)について

2026.01.28 20:56

(どんな小説?) 2020年、遠藤周作(1923年~1996年)の死後約四半世紀経ってから発見された未発表小説。通常、未発表原稿は未完の断片や習作が多いが、これは完成された作品であった。

(あらすじなど) 主人公は勝呂。彼の母はヴァイオリンを弾く人であった。芸術に対して厳しく、自分にも他人にも妥協を許さない。その潔癖さは家族との軋轢を生み出し、夫との溝を深めていく。一方、父が目指す「生活」とは、日々の糧を得て、社会の中で無難に立ち回る能力である。それは凡庸かもしれないが、強固な現実である。

物語の核心は、両親の離婚に際して、少年・勝呂が「父」を選んだという事実である。「なぜ母についていかなかったのか。」この後悔が勝呂の人生に暗い影となってついてまわる。

この選択こそが、勝呂にとっての原罪となる。この「裏切り」の記憶が、生涯消えることのない「影」となって彼を追尾する。彼は作家として成功はしないものの、小説の翻訳で生活を成り立たせている。不本意ながらも生活費を稼ぐ仕事で「生活」を確立すればするほど、勝呂は母が目指した「芸術」の高みから遠ざかっていくような感覚に苛まれる。

(感想など) 受験生からの、Xのポストで「お母さんかわいそう」「モラハラ夫出てきた」など、受験生から声が上がったそうですが、私は「若くて未熟な意見だ」と思いました。テーマの一つは、「父」と「母」の対立です。これは単なる性格の不一致というレベルを超えて、人生に対するスタンスの二項対立として描かれています。何も起こらない平凡な生活を求める父と、平凡な生活よりも芸術を追求する母の生き方の違い、その対立が印象的な物語です。父は「生活」を、母は「芸術」を象徴するものとして描かれています。価値観を持つ故の人間の辛さ、離婚の苦さまで読み取って欲しいなあと思いました。

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