Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

建築工房「akitsu・秋津」

茨城の冬を暖めるUA0.26の家。

2026.01.30 19:00

家族を守る18℃の設計基準

「家づくりで、これだけは後悔してほしくない」 設計士として、私が心からそう願っているのが「断熱性能」です。特にここ茨城県(地域区分5)の厳しい冬。朝起きた瞬間のあのツンとする冷気は、体だけでなく心までも縮こまらせてしまいます。

私が「UA値0.26(断熱等級7)」という設計基準を掲げるのは、単なるスペックへのこだわりではありません。WHOが推奨する「18℃」という健康の境界線を守り、家族が一生健やかに暮らせる土台をつくるため。数値の裏側にある、私の設計思想をお伝えします。

 

1│WHOが語る18℃の重要性

私がUA値0.26という高い目標を掲げる最大の理由は、ご家族の「健康」です。世界保健機関(WHO)は、冬の室内温度を18℃以上に保つよう強く推奨しています。

室温がこれ以下になると、血圧の上昇や循環器系への負担が増し、ヒートショックのリスクが高まるからです。特に、冷え込みが厳しい朝6時。布団から出た瞬間の「温度差」から家族を守ることは、住まいを設計する上で、華やかなキッチンや外観デザインよりも優先すべき使命だと考えています。

 

2│茨城の寒さに勝つ断熱設計

茨城県の1月下旬から2月上旬。氷点下まで下がるこの時期の朝6時に、全くの「無暖房」で18℃を維持することは、最高等級のUA値0.26であっても、実は極めて厳しいのが現実です。

HEAT20(G3)の設計指標でも、無暖房時の最低室温の目安は約15℃とされています。しかし、この15℃という高い底上げがあるからこそ、就寝前の余熱や、深夜のわずかな暖房運用を組み合わせることで、目標の「18℃」が現実のものとなります。私は、理想を夢物語で終わらせないための「根拠ある設計」を大切にしています。

 

3│断熱性能で変わる「冬の朝」

断熱性能の違いは、住んでから初めて「体感」として現れます。一般的な高断熱住宅(等級5)と、私たちが目指すUA値0.26(等級7)の家。冬の朝、そこには全く別世界の光景が広がります。

■ UA値0.48(断熱等級5)の家の場合

最低室温: 約8℃〜10℃。

朝の体感: 吐く息が白く、布団から出るのに「気合」が必要。

暖  房: エアコンをフル稼働させても、足元が温まるまで時間がかかる。

■ UA値0.26(断熱等級7)の家の場合

最低室温: 約15℃をキープ。

朝の体感: ほんのり温もりが残り、薄着のままスッと布団から出られる。

暖  房: スイッチを入れて数分で、家全体が「春の陽気」に包まれる。

この「数度の差」こそが、朝一番にエアコンと格闘するか、あるいは家族と穏やかなコーヒータイムを楽しめるかの決定的な境界線になるのです。

 

4│性能を最大化する4つの条件

UA値0.26を「本当の心地よさ」に変えるには、数値以外の設計が不可欠です。

高次元の熱交換換気:排気の熱と「湿度」を回収し、外気を暖めて戻す「呼吸」の管理。

C値0.5以下の気密:隙間風を徹底排除し、熱交換の効率を最大化する精密施工。

戦略的な日射取得:冬の太陽光を計算し、天然の暖房として熱を貯金する設計。

賢い暖房運用:魔法瓶のような保温力を活かし、最小限の熱源で18℃を維持する。

これら四位一体の工夫があって初めて、茨城の厳しい冬でも、乾燥を抑えながら春のような心地よさを維持することが可能になります。

 

5│断熱性能は家族への贈り物

家の内装や設備は、時代に合わせて後からリフォームできます。しかし、家の骨格である「断熱性能」を、住み始めてから劇的にアップグレードするのは、実質的にもう一度家を建てるほどのコストと困難が伴います。

UA値0.26という設計基準。それは、一番冷え込む冬の朝に、家族が笑顔で「おはよう」と言い合える環境を守るための、私自身の決意でもあります。

これから何十年と続く家族の暮らし。子供たちが健やかに育ち、自分たちが安心して年齢を重ねていく場所。そんな根幹となる性能を整えることは、将来の安心感や心地よさにつながる、大切な住まいの基礎になると信じています。