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「宇田川源流」【日本報道検証】 なぜか日本ではあまり出てこない「影の船団」の問題点

2026.02.04 20:24

「宇田川源流」【日本報道検証】 なぜか日本ではあまり出てこない「影の船団」の問題点


 毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。

 さて今回は、ロシアが経済制裁逃れで行っている影の船団について少し見てみたいと思います。

さてまずは私から、まったくブログの内容と関係ないのですが、どうしても「影の船団」と書きたいのですが、「影の軍団」と書いてしまうところがあります。「影の軍団」といえば、昔、千葉真一さんが主演となっていた時代劇ドラマでしたが、ある意味で忍者部隊の必殺仕事人のような作品で面白かったのを思い出してしまうのです。まあ、だから何なのかと言われればそれまでなのですが、なんとなく語感が似ていると、昔を思い出してしまいます。

さて「影の船団」に戻しましょう。

「影の船団」とは、欧米による経済制裁を回避して、主にロシア産の原油や石油製品を運ぶために運用されている、出所不明で不透明な船舶群のことを指します。

 主な特徴としては、まずは「老朽化した船体」であるということが言えます。20年近く使われ、通常なら廃船になるような古いタンカーが多くあるのが特徴です。ある意味で撃沈されてしまったりしても惜しくないということなのかもしれません。そして第二に「不透明な所有構造」ということがあります。複雑なシェルカンパニー(実体のない会社)を経由して所有され、真のオーナーが誰か分からないよう隠蔽されています。このことによって誰が運営しているかわからないようになっているのです。もちろん隠さなければならないということは、何らかのやましいことがあるということになるのです。そして、「便宜置籍船」ということがあります。船には船籍というものがありますが、その船籍においても緩い国と厳しい国があります。その中で、規制の緩い国(パナマ、リベリア、ガボン、コモロなど)に船籍を置き、頻繁に船旗を付け替える(フラッグ・ホッピング)という特徴があります。そして「保険の欠如」という特徴があります。西側の主要な保険会社との契約がなく、事故が起きても補償される見込みがほとんどないということになります。ある意味で、保険会社から真の所有者がわかってしまうということを避ける目的があるようです。

 現在、この船団は世界で600隻から1,400隻にまで膨れ上がっていると推計されています。

<参考記事>

ロシア・影の船団「70%稼働」 ウクライナ、制裁強化を要求

1/29(木) 9:18配信 共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/1c5b20b427bee4a3f25443b1c3fb3cbf0ab4de64

<以上参考記事>

 「影の船団」とウクライナ戦争の関係は、現代における「経済の武器化」と、それに対するロシアの極めて執拗な適応戦略の歴史そのものであると言えます。2026年現在、この船団は単なる輸送手段ではなく、ロシアが戦争を継続するための「経済的生命線」として機能しており、ウクライナ側もその壊滅を最優先事項の一つに掲げています。

 この両者の関係を深く理解するには、2022年の侵攻開始直後に欧米諸国が導入した「石油価格上限設定(プライス・キャップ)」という制裁措置まで遡る必要があります。この制裁の本来の狙いは、ロシア産の原油を世界市場に流通させつつ、その販売価格を低く抑えることで、ロシアが戦費に充てる利益を削ぎ落とすことにありました。しかし、ロシアはこのルールが適用される西側の保険や金融サービス、船舶の利用を拒否し、自ら独自の輸送ネットワークを構築するという道を選びました。これが影の船団の始まりです。

 2026年の最新の状況では、ロシアが輸出する原油の約70パーセントから80パーセントが、この影の船団によって運ばれていると推計されています。ロシアはこの船団を利用することで、1バレルあたり60ドルという西側の価格上限を無視し、より高い市場価格でインドや中国などの友好国へ石油を売り続けています。その結果として得られる膨大なオイルマネーは、戦場での弾薬生産、最新型ドローンの開発、そして兵士への高額な給与支払いに直接転用されており、ウクライナにとっては、影の船団の一隻一隻が、自国に飛来するミサイルの資金源に見えているのが実情です。

 ウクライナ政府は2026年に入り、欧米諸国に対して「影の船団への制裁は不十分である」と強い不満を表明し、より物理的な実力行使を伴う制裁強化を求めています。ウクライナの主張によれば、影の船団が自由に海を航行し続ける限り、ロシアの戦意と経済力が枯渇することはありません。そのため、ウクライナ側は、これら不透明な船舶の港湾利用を世界規模で禁止し、公海上での拿捕を含めた徹底的な封じ込めを提案しています。

 一方で、ロシア側にとってもこの船団の維持は死活問題であり、制裁を回避するための手口は年々巧妙化しています。船の所有権を数カ月おきに架空会社間で移転させたり、公海上で船から船へ石油を積み替えることで原産地を偽装したりといった手法が日常的に行われています。このように、ウクライナ戦争は地上での激しい戦闘と並行して、世界の公海上でも「影の船団」という実体なき軍隊を通じた、目に見えない経済的な総力戦の様相を呈しています。

 西側諸国、特にアメリカや欧州連合(EU)が検討・実施している「二次制裁」とは、制裁対象であるロシアと直接取引をしていない第三国の企業や銀行に対しても、西側諸国との取引を禁止するなどのペナルティを科す、極めて強力な「経済的包囲網」の仕組みです。

 これまでの通常の制裁(一次制裁)は、主に自国の企業や市民がロシアと取引することを禁じるものでした。しかし、ロシアは制裁に参加していない国々の企業や不透明なシェルカンパニーを経由させることで、この網を潜り抜けてきました。二次制裁は、いわば「ロシアを助ける者も、我々の敵とみなす」という論理に基づいています。

 この仕組みの核心は、西側諸国が握る「ドル」や「ユーロ」という国際通貨の支配力にあります。例えば、中東やアジアにある銀行が、ロシアの「影の船団」に関わる石油取引の決済を助けたと認定された場合、その銀行はアメリカや欧州の金融システムから完全に排除されるリスクを負います。国際的な金融取引ができなくなることは、民間企業にとっては死刑宣告に等しいため、この二次制裁の「脅し」は非常に強力な抑止力として機能します。

 具体的に影の船団を巡る二次制裁では、老朽化したタンカーに旗を貸している国や、船籍を不透明に管理している登録代行業者、さらにはそれらの船に給油や保険を提供している第三国のサービス業者がターゲットとなります。2025年から2026年にかけて、EUはこうした「影の船団のエコシステム(生態系)」そのものを破壊するため、ロシア国外の企業であっても軍事産業やエネルギー輸出を支援しているとみなせば、EU企業との取引を一切禁止する措置を強化しています。

 ウクライナ戦争が長期化する中で、ロシアは制裁を回避するために、船の名前や所有者を頻繁に変える「フラッグ・ホッピング」などの手法を洗練させてきました。これに対し、西側諸国は二次制裁という強力なツールを用いることで、ロシアの活動を支える第三国の協力者たちに「ロシアとビジネスを続けるか、それとも巨大な西側市場を取るか」という厳しい二択を迫り、ロシアを国際社会の供給網から完全に孤立させることを目指しています。

「影の船団」に対する二次制裁や経済的な締め付けがロシアの戦費調達に与える影響は、2026年現在、ロシア経済を「見せかけの繁栄」から「深刻な枯渇」へと引きずり込む決定的な要因となりつつあります。

 まず、戦費の源泉である石油収入において、二次制裁はロシアに極めて不利益な「二重のコスト」を強いています。西側諸国が影の船団のエコシステム、つまり給油や寄港、保険の提供を行う第三国の企業にまで制裁の網を広げたことで、ロシアは石油を運ぶために、以前よりもはるかに高い「リスク・プレミアム」を支払わざるを得なくなりました。具体的には、制裁を恐れる買い手や輸送業者との交渉において、ロシア産の原油は国際的な指標価格よりも大幅に割り引かれた価格で取引されています。この割引(ディスカウント)の拡大に加えて、制裁を回避するための複雑な迂回航路や、洋上での積み替え作業に伴う輸送コストの増大が、ロシアの手元に残る純利益を激しく削り取っています。

 その結果、ロシアの国家予算におけるエネルギー収入の割合は、侵攻前の約半分近くから、2026年には4分の1以下にまで急落したと推計されています。かつては石油から得られる潤沢な資金が、戦車やミサイルの生産を支える「魔法の財布」として機能していましたが、現在はその財布の底が見え始めています。ロシア政府は不足する戦費を補うために、国内の付加価値税(VAT)の増税や、中小企業への課税強化、さらには社会福祉予算の削減といった手段を講じていますが、これは国民生活への直接的な圧迫となり、長期的な経済成長の芽を摘む結果を招いています。

 また、二次制裁は「通貨」の面でもロシアを追い詰めています。影の船団の決済を助ける第三国の銀行が制裁を恐れてドルやユーロでの取引から手を引いたため、ロシアは中国の人民元やインドのルピーなど、使い勝手の限られた通貨での決済を余儀なくされています。これにより、兵器生産に必要な高度な電子部品や工作機械を海外から調達する際、支払いが困難になったり、法外な手数料を上乗せされたりといった事態が頻発しています。

 2026年のロシア予算案では、国防費が過去最大級の規模に設定されている一方で、それを支えるエネルギー収入の予測は極めて悲観的なものとなっています。影の船団という「抜け穴」が二次制裁によって塞がれつつある現状は、ロシアの軍事産業を「生産の鈍化」と「コストの暴騰」という袋小路に追い込んでおり、戦費調達のモデルそのものが限界を迎えつつあるといえます。

 このように、影の船団への締め付けは、単にロシアの収入を減らすだけでなく、戦争を継続するための経済構造そのものを機能不全に陥らせるという、非常に強力な効果を発揮しています。