2月1日 練習日記
こんにちは、ユーフォニアムのAです。演奏会が近いため、今週も土日連続の練習でした。団員のMさん指揮のもと、直井先生からご指摘があった部分やブラッシュアップが必要な部分を確認しました。直井先生からもMさんからもお話いただいているように、演奏にあたり曲の背景を考える大切さを改めて感じています。
リムスキー・コルサコフの「スペイン奇想曲」は、ロシア人作曲家にとってのスペインの太陽の光の色と明るさ、ヨーロッパ北部の陰鬱な空と比べて南欧の高く明るい乾いた空が表現されているようです。私には19世紀イギリス人画家ターナーがイタリアで描いた風景画の果てしなく明るい空の色のように思えます。「ロミオとジュリエット」は、16世紀末のシェイクスピアの戯曲をもとに19世紀後半のチャイコフスキーが作曲した美しい旋律が印象的で、バレエや演劇の回転舞台のように文学と音楽も一度に楽しめます。「交響的舞曲」は、歴史の流れに翻弄されたラフマニノフが亡命先のアメリカから二度と母国に帰れなかったことを思うと、抑圧への恐怖やユートピアに向かうような部分は練習のたびに涙ぐんでしまいます。曲のあちこちに登場する聖歌の響きは教会のようで、ワルツには懐かしさが描かれているようです。
リムスキー・コルサコフ、チャイコフスキーの生まれる少し前の19世紀前半は自由な社会を目指したフランス革命以降のヨーロッパ社会が大きく変化した時期で、オペラにもなったロシア文学者ゴーゴリの小説「鼻」のように社会への不満もありました。リムスキー・コルサコフ、チャイコフスキー、ラフマニノフが活動した19世紀後半から第一次世界大戦前はヨーロッパが社会的・文化的にも繁栄した時代でしたが、第二次世界大戦前はラフマニノフの「交響的舞曲」に随所に不安定さがみられるように、現代につながる世界情勢の不安と重なります。
文学や音楽といった芸術作品は歴史研究の史料として扱う対象ではないものの、その時代に生きた人々が共有した喜びや恐怖といった感情の記憶であると思っています。リムスキー・コルサコフ、チャイコフスキーの生きた時代は音楽は劇場等で聴くことが中心で、私が研究していた19世紀後半のイギリスの人々も彼らの作品を聴き、評判を新聞等で読んで知っていたのではと想像します。20世紀初めにレコードが発明され、ラフマニノフのアメリカ亡命後の第一次世界大戦以降にラジオが普及し、音楽にはさらに時代のムードが反映されて人々の共通の記憶になっていったのではと思います。
2月23日の定期演奏会に来てくださるお客様と音楽のタイムマシンに乗り、時代を超えた記憶の旅をして幸せな時間を共有できればうれしく思います。ご来場をお待ちしております!