癒しのマルシェ実行委員会 代表 室井かなえさん
室井かなえ
癒しのマルシェ実行委員会 代表
栃木県宇都宮市出身。シングルマザーとして子育てをしながら、地域とのつながりに支えられた自身の経験を原点に、栃木県内を中心とした地域活性化イベントを企画・運営している。
癒しのマルシェ実行委員会を立ち上げ、ハンドメイド作家やキッチンカー、サービス提供者が集うマルシェイベントを年に複数回開催。あわせて、学生や地域住民、声優を巻き込んだ朗読劇を年に一度企画し、表現の場と地域交流の場を創出している。
現在は市民団体として活動しながら、助成金の活用や協賛獲得、クラウドファンディングを通じて事業を継続。近年はイベント企画のノウハウを生かした相談やプロデュース業も増え、地域に根ざした実践的なまちづくりを体現している。
今回は、そんな挑戦し続ける室井さんにインタビューしてまいります!
(聞き手・文:光村紀勝)
支え合いの記憶を、地域の力に
朗読劇とマルシェでつくる、栃木発の新しいつながり
光村:事業内容について教えてください。
癒しのマルシェ実行委員会として、栃木県内でマルシェイベントや朗読劇といったリアルイベントを企画・運営しています。
マルシェは年に2〜3回ほど開催しており、ハンドメイド作品やキッチンカー、サービスコンテンツを持つ方々が一堂に会し、来場者に体験してもらう場をつくっています。
朗読劇については準備に10か月から1年ほどかかるため、年に1回の開催です。企画立案からオーディション、練習、当日の運営まで、学生や地域の方々と一緒に丁寧に進めています。
現在は栃木県内で活動し、宇都宮、日光、那須、去年は佐野、今後は小山など、地域を巡回しながら実施していきます。
光村:事業を通してどのような社会貢献・社会課題に取り組んでいますか?
私自身、シングルマザーとして子育てをしながら体調不良や孤立を経験したことが、この活動の大きな原点です。
社会との接点が失われると、人は想像以上に孤立しやすくなりますが、実際には地域の中に手を差し伸べてくれる人はたくさんいることにも気づかされました。
そうした経験から、子育て世代やシニア、学生、表現者など、立場や世代の異なる人たちが自然につながれる場をつくりたいと考えるようになりました。
マルシェや朗読劇を通じて、人が集い、それぞれの役割を持ちながら輝ける場所を生み出すことが、地域への社会貢献につながっていると感じています。
光村:その社会貢献・社会課題の実現に対しての社会の現状を教えてください。
現状として感じているのは、行政と一般の人との間に距離があることです。
まちづくりに関する助成金や制度は存在していますが、それが十分に一般の人へ伝わっていないと感じます。
一方で、何かやりたいと思っている人は多いものの、何から始めればよいのかわからず、行動に移せない方も少なくありません。
本来は両者がうまく噛み合えば、地域はもっと動き出せるのに、そのマッチングができていないことが課題だと感じています。
光村:その現状に対しての最大の障壁は何になりますか?
最大の障壁は、間に入るパイプ役がいないことだと思います。
一般の方が行政に相談してよい内容なのか、どこに聞けばよいのかが分からず、心理的な壁を感じてしまっているケースが多いです。
実際には相談すれば丁寧に教えてもらえることが多いのですが、その一歩を踏み出すための「つなぎ役」が不足していると感じています。
光村:その現状を打破するためにどのような行動をされていますか?
私たちはマルシェと朗読劇を組み合わせた取り組みを、率先して実践しています。
行政、企業、地域住民、学生を巻き込みながら、前例の少ない形でイベントを実施することで、「こうすればできる」というモデルを体現しています。
また、学校とも積極的に連携し、演劇などを学ぶ学生が、実際の現場で経験を積める場を提供しています。
キャストとしてだけでなく、運営側にも学生に入ってもらうことで、学びと実践、そして地域との接点を同時につくっています。
光村:誰もが社会貢献を考え、社会をより良くしていくには、どうすればよいとお考えですか?
大切なのは、地元への誇りや愛着を持つことだと思います。
一度、地元を離れてみると、改めて人の温かさや暮らしやすさに気づくことがあります。
そうした小さな「良さ」に気づき、それを大切に思う気持ちが、やがて地域や社会への貢献につながっていくのではないでしょうか。
社会貢献は特別なことではなく、身近な場所を大切にすることから始まると感じています。
光村:これからの時代をつくる大学生や新社会人に向けて、メッセージをお願いします!
自分が本当にワクワクすることを大切にしてほしいと思います。
最初は困難や課題に直面することもありますが、それを乗り越えた先に達成感や楽しさが待っていることも多いです。
自分の中のときめきや志を信じて、小さくても一歩踏み出してみてください。
その経験が、いつか自分自身だけでなく、周りの人や地域を照らす力になると信じています。
室井さん、貴重なお話を聞かせてくださりありがとうございました!
(聞き手・文:光村紀勝)