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ルモうさぎブログ

エンセファリトゾーンの治療

2026.02.08 02:56

本日は、エンセファリトゾーンの治療についてお話します。

過去の投稿でも、何度かエンセファリトゾーンについてお話をしてきましたが、今回は、論文からの情報を提供したいと思います。



Encephalitozoon cuniculi は、哺乳類や鳥類に感染する細胞内寄生性の微胞子虫病原体です。その主な宿主はウサギです(Wasson and Peper, 2000)。E. cuniculi に感染すると、主に神経症状が現れます。具体的には、頭傾、旋回運動、眼振、前庭性運動失調、慢性腎不全、および水晶体破壊性ぶどう膜炎などです。

E. cuniculi 感染症(エンセファリトゾーン症)の治療については、いくつかの in vitro(試験管内)研究にて、アルベンダゾールが有効であることが示されていますが、ウサギに対しては毒性があります(Kotler and Orenstein, 1999)。一方、フェンベンダゾールは in vivo(生体内)でのエンセファリトゾーン症に最も有効であると報告されています。フェンベンダゾールは広範囲に効くベンジミダゾール系の駆虫薬であり、寄生虫に対して使用されます。

過去の研究では、フェンベンダゾールで治療された感染ウサギは、治療されていないウサギよりも生存期間が長く、生存率も高かったと示され、神経症状も改善されました(Seig, 2011)。さらに、治療されたウサギの体重減少は、未治療ウサギよりも少なかったと報告されています(Abu-Akkada and Oda, 2016)。しかし、フェンベンダゾールで治療されたウサギのうち一部は、反応が不十分であったことも示されています(Suter et al., 2001)。これは、E. cuniculi 感染による神経系の炎症性病変があまりにも重度であったためと考えられています。コルチコステロイドはこの炎症反応を抑えるのに有効とされますが、デキサメタゾンによるエンセファリトゾーン症治療では、神経症状や生存率の改善は認められませんでした(Seig, 2011)。

組織病理学的変化については、病変の強度はフェンベンダゾールで治療されていないウサギで特に顕著であり、治療されたウサギでは軽度でした(Abu-Akkada and Oda, 2016)。



よって、エンセファリトゾーンに感染した場合は、フェンベンダゾールによる治療により、病理学的変化は軽度に収まり、臨床症状の改善も見られたとの結果が出ていますので、ウサギさんに神経症状が現れた場合には、そのまま様子を見るのではなく、近くの獣医師に相談をすることをお勧めします。



参考文献

Abu-Akkada, S. S., & Oda, S. S. (2016). Prevention and treatment of Encephalitozoon cuniculi infection in immunosuppressed rabbits with fenbendazole. IRANIAN JOURNAL OF VETERINARY RESEARCH, 17(2), 98-105.

Kotler, D. P., & Orenstein, J. M. (1998). Clinical syndromes associated with microsporidiosis (Vol. 40). Academic Press. https://doi.org/10.1016/S0065-308X(08)60126-8

Künzel, F., Gruber, A., Tichy, A., Edelhofer, R., Nell, B., Hassan, J., Leschnik, M., Thalhammer, J. G., & Joachim, A. (2008). Clinical symptoms and diagnosis of encephalitozoonosis in pet rabbits. In Veterinary Parasitology (Vol. 151, pp. 115-124). Netherlands: Elsevier.

Sieg, J., Hein, J., Jass, A., Sauter-Louis, C., Hartmann, K., & Fischer, A. (2012). Clinical evaluation of therapeutic success in rabbits with suspected encephalitozoonosis. Veterinary Parasitology, 187(1/2), 328-332. https://doi.org/10.1016/j.vetpar.2011.12.014

Suter, C., Müler‐Doblies, U. U., Deplazes, P., & Hatt, J. M. (2001). Prevention and treatment of Encephalitozoon cuniculiinfection in rabbits with fenbendazole. The Veterinary Record, 148(15), 478-480. https://doi.org/10.1136/vr.148.15.478

Suter, C., Müller-Doblies, U. U., Hatt, J. M., & Deplazes, P. (2001). Prevention and treatment of Encephalitozoon cuniculi infection in rabbits with fenbendazole. In The Veterinary Record (Vol. 148, pp. 478-480). England: Wiley.

Wasson, K., & Peper, R. L. (2000). Mammalian Microsporidiosis. Veterinary Pathology, 37(2), 113-128. https://doi.org/10.1354/vp.37-2-113