Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

「ich lieb dich trotzdem immer」Angela Sommer-Bodenburg Helme Heine

2019.03.08 10:10

あんまりカッコよくないので(?)そんなに言わないんですけれど、子どもの頃夢中で読んだ本の中に「ちびっこ吸血鬼」シリーズがあって、ほんとうにあの本が好きで、小学校の中〜高学年くらいのときにクリスマスだったか、誕生日だかに、持ってない巻をまとめて買ってもらった記憶があります。

今ちょっと調べたら2015年に完結しているようですね(最後のほうの巻は未翻訳)。

記憶が曖昧で、そもそも自分が読んでいた頃は完結してなかったんだ、とも思いましたが、年齢的に、93年頃までに出ていたものは読んだのかな、と思っています。

幼い頃は本は絵で覚えるので、作者の名前なんて全く覚えていなかったのですが、先日入荷したヘルメ・ハイネのドイツ語の絵本の、気になった一冊の作者を調べてみると、Angela Sommer-Bodenburg(アンゲラ・ゾンマー・ボーデンブルク)とあって、あれ?と思い調べてみると、そうなんです。

彼女はちびっこ吸血鬼シリーズの作者でした。

嬉しい驚きでした。

その本は「ich lieb dich trotzdem immer」、ドイツ語がわからないので、自動翻訳で読んだのですけれど、タイトルは「私はまだあなたを愛してる」。

ボーデンブルグの詩と、ヘルメ・ハイネの絵からなるこの本は、児童文学でありつつも、そうした(子ども向けの)といったカッコを取り払うような、深い味わいと余韻のある作品です。

一応ひとりの女の子が主体となっている詩で、その子の心の動きが、柔らかい韻文で語られています。

思春期にはいる直前の女の子の、親への愛着、そこから離れることを望む心。自分の部屋のこと、身の回りのこと、そして自分自身のこと。

つっかえつっかえ読んでいて思い出したのは、平岡あみさんの短歌でした。

ヘルメ・ハイネ/アンゲラ・ゾンマー・ボーデンブルクの絵本の紹介なのですが、違う本の引用をしてしまいます…。

十六歳まだ誰にもきかれてないが十六歳だと答えたくなる

赤ちゃんは目を閉じてばかりいるけれどおとなよりも考えてる顔

真夜中の公園で夜空見上げてる帰るきっかけ何もなくて

これは平岡あみの「ともだちは実はひとりだけなんです 」に入っている短歌ですね。

ちびっこ吸血鬼を読んでいた自分も、平岡あみが詠んでいるようなことを完全に自分のこととして感じられて頃の自分も、もうずっと遠くに行ってしまって、寂しさもありますが、こうして本を読むことで、あの頃美しい炎が胸の中に灯っていたことを、ほんの僅かな間だけでも感じることが出来るのは、何ものにも代えがたい喜びでもあります。

「ich lieb dich trotzdem immer」はヘルメ・ハイネの美しい水彩とドローイングの絵も素晴らしいです。ハイネのドイツ語の絵本は今幾つも在庫がございますので、ぜひオンラインストアの方でもご覧ください。

自分と同じ、ちびっこ吸血鬼ファンだった方も、ぜひ。


当店のヘルメ・ハイネの絵本はこちらです。