論文「日本陸軍少将・大場弥平によるクラウゼヴィッツ『戦争論』研究――武藤章(陸軍中将)からの受容と修正を軸として」(学術誌『戦略研究』第38号掲載、査読有り)
2026.02.12 02:10
論文主旨
本論文は、これまで踏み込んだ研究が行われてこなかった日本陸軍少将・大場弥平(1883–1966)による『戦争論』研究・要約本を対象とし、その研究背景に陸軍省軍務局長を務めた武藤章(陸軍中将)の論文「クラウゼヴィッツ、孫子の比較研究」との関係を見出すものである。
まず、明治期以降の陸軍出身者の『戦争論』受容の系譜を簡潔に整理し、大場の位置づけを明確にする。
続いて、大場の要約を検討し、政治の優位性・摩擦・戦略と戦術など主要概念において、クラウゼヴィッツ本旨が的確に理解されていたことを指摘する。
その上で、大場が武藤論文を参照して「踏襲」「修正」「削除」の三側面とも呼べる形式で再構成を経て、自らの『戦争論』要約に反映を行い、政治と軍事の乖離を克服する修正的態度を示したことを明らかにする。
以上により、大場の研究は、日本陸軍出身者によるクラウゼヴィッツ受容の終着点として、戦争を政治の継続として再定位した重要な知的営みであったことを論証する。