ギムネマ酸
〈前置き〉
昨今の健康食品ブームにより、さまざまなサプリが開発されてきている。植物由来であるギムネマ酸もその1つであるが、まだ一般にあまり馴染みのないものだが、これを含むサプリの効果に大差はないと考えられる。
ギムネマ酸には"ヒトの甘味感覚を麻痺させる作用"と、昨今よく耳にする“糖の吸収を抑える"作用がある。
ギムネマ酸という物質名が登場するのは19世紀後期であるが、それを含有する植物、ギムネマ・シルベスタは紀元前6世紀にすでに糖尿病治療に用いる生薬として記されており、この頃には既に、これを含有する植物を噛むと砂糖の甘味が消えてしまうことも知られていたと推測される。
上記の2つの作用機序について述べる。
①ヒトの甘味感覚を麻痺させる作用機序
この作用は甘味に特異的で、一定の作用継続効果がある。苦味、酸味、塩味には顕著な効果はない。
最近の研究結果により、ギムネマ酸は舌の味細胞表面上の甘味受容体に可逆的に結合することで、甘味を感じさせなくしていると考えるのが有力である。
②小腸における糖吸収を抑制する作用機序
この作用についての機序は未だ明らかにされていない。高等動物の小腸上皮細胞は、天然の糖の中で言えば、グルコースとフルクトースのみを選別し、細胞内に能動輸送している。ある実験によれば、グルコースがほとんど能動輸送のみによって吸収されている条件下において、ギムネマ酸がグルコースの吸収を顕著に抑制することから、小腸上皮細胞膜上のグルコース輸送担体と特異的な相互作用を行っているものと考えてよい。
上記2つに共通して言える事実もある。ギムネマ酸は糖識別タンパク質に結合し、その働きを阻害する作用があることが分かっている。それ故、甘味感覚、糖吸収が抑制される。
また、上記の作用とは別に、ヒトの口腔内においてグルカン(虫歯の原因となる物質)を合成する酵素の活性を抑え、虫歯を防ぐことも研究で分かっている。
〈カロリミットの成分〉
ギムネマ酸、桑の葉由来イミノシュガー(ファゴミンとして)、エピガロカテキンガレート、キトサン、インゲン豆由来ファセオラミン
ギムネマ酸以外の成分は糖、脂肪の分解酵素を阻害することで最終的に小腸における吸収を阻害する。
〈総括〉
ギムネマ酸については現在も研究が進んでいるが、未だその作用機序については不明な点が多い。しかし、糖吸収においては必要以上に血糖値が下がることはなく、昏睡といった低血糖状態に陥ることはないようだ。
以上のことからギムネマ酸を含むサプリは普段、糖、脂肪が高い食事をよくする人、またダイエットをしたい人に推奨できるサプリである。