【終活コラム】vo.07:お寺でできる死後事務委任手続き
本日、後見人の方と共に、火葬や埋葬、墓じまいに関する死後事務委任の契約が完了しました。亡くなられた方も気にかけていた問題だけに、大きな責任を感じながらの手続きとなりました。このような仕事が終わると心底ほっとします。
今回のケースでは、両親が死亡してしまった後に、残されたお子様が自立して生活できないケースでした。このようなケースでは、事前に準備を進めておくことが大切ですが、準備しようと思いながら何もできずに認知症や病気のために手続きができなくなってしまうこともあります。その後、放置されてしまうお墓なども少なくはありません。
今回、当院でお受けした契約は以下の内容でした。
①依頼人に代わって現在あるお墓の墓じまいの立ち会い、永代供養墓地への改葬まで行う。
②契約者が死亡した際に遺骨を引き取り、儀式を行い永代供養墓地へ埋葬する。
③その後の供養を永代供養の業務として所定の期間責任をもって行う。
成年後見人などがついている場合、上記の内容を履行するための費用が適切かどうか、契約の内容や金額を家庭裁判所に申請し、許可を得なければ費用を支払うことはできません。当院でもこれまで何度も後見人の方とのやり取りを経てきました。
ここ最近では障がいをお持ちのお子様が一人残されることも多く、上記のような相談が多数寄せられています。今回のように、死後のサポートを行う契約のことを「死後事務委任契約」といいます。死後に発生する事務的な作業は多岐にわたり、最後に残された仕事をひとつひとつ整理していかなければなりません。
当院の永代供養のご相談では、今回のようなケースにおける、お寺で行うことができる死後事務委任契約として、墓地の改葬の代行や死亡後の遺骨の引き取りから埋葬まで、事前に所定の費用をお預かりすることで対応することもできます。いざという時が来る前に、事前のご相談で問題点や想定される今後の状況を一緒に考えております。
ご不安な点があれば、お墓の相談のみならず、その後のことやお子様の未来のことについてもご相談ください。まずは問題点を明確にしたうえで、必要に応じて専門の士業の先生へとお繋ぎいたします。
お困りのことがあればご相談ください。
住職
<末尾に死後事務委任契約についての参考テキストを載せておきます>
死後事務委任って何ができるの?と思われる方はご一読ください。
<死後事務委任契約とは?>
死後事務委任契約は、本人の死後に発生する各種手続きを、あらかじめ信頼できる第三者へ委ねておく制度です。葬儀・火葬・納骨、医療費や施設費の精算、行政への届出、SNSや賃貸契約の解約などを、契約内容に基づき確実に実行してもらえます。相続とは別枠で事務処理を明確化できるため、相続人の負担や紛争を抑え、本人の意思を具体的に反映できる点が大きなメリットです。身寄りのない方や家族に迷惑をかけたくない方にとって、有効な備えとなります。
<残される子どもが自立して生活ができない場合には?>
障がいのあるお子さんが残る可能性がある場合、親が生前に準備できる制度はいくつかあり、死後事務委任契約はその一部として位置づけられます。重要なのは「死後の事務」と「生活・財産管理」を分けて考えることです。
まず、死後事務委任契約では、葬儀・納骨、各種解約手続き、関係機関への連絡など、親の死後に発生する実務を第三者に依頼できます。これにより、子どもに手続きを負わせずに済みます。ただし、この契約だけでは子どもの生活支援や財産管理まではカバーできません。
そこで併せて検討されるのが、以下の制度です。
①任意後見契約
将来、子どもが自分で判断することが難しい場合に備え、生活・財産管理を任せる人をあらかじめ決めておく制度です。開始時は家庭裁判所の監督下に置かれます。
②遺言書の作成
財産を生活費として確実に使えるよう、使途や管理方法を具体的に指定できます。
③家族信託(民事信託)
親の財産を信頼できる人に託し、子どもの生活費や福祉費用として継続的に使える仕組みを作れます。
実務上は、「死後事務委任+任意後見+遺言(または信託)」を組み合わせ、生活支援・財産管理・死後手続きを一体的に設計することが多いです。状況により最適な構成が異なるため、障がい福祉に理解のある専門家への事前相談が重要になります。
<墓地や埋葬に関する死後事務でできること>
墓地や埋葬に関する死後事務委任契約では、主に次のような事項を生前に具体的に定めておくことができます。
1. 葬送方法の指定
火葬のみ・一般葬・家族葬など形式の指定
納骨方法(先祖墓・永代供養墓・樹木葬・散骨など)の明示
宗派・読経の有無などの希望
2. 墓地契約・改葬手続き
既存墓地の承継・名義変更
墓じまい(改葬許可申請、遺骨移転)
永代供養契約の締結
※改葬には市区町村の許可申請が必要です。
3. 費用の支払い方法
葬儀費用や永代供養料を、あらかじめ預託金や専用口座から支払う旨を明記
受任者への報酬規定
4. 遺骨管理・供養方法
一定期間の自宅安置
合祀の可否
年忌法要の実施範囲
重要なのは、「どの墓地で」「誰が契約主体となり」「費用をどこから出すのか」を明確にしておくことです。墓地は多くの場合、使用権契約であり、相続財産とは性質が異なります。そのため、遺言だけでは足りず、死後事務委任契約で具体的な執行者を定めておくことに実務的な意味があります。