2025年石神井川の調査結果と考察
2025年にねりまジュニアレンジャーは春と秋の2回、石神井川を調査しました。
調査結果については「成果発表会」においてもジュニアレンジャーたちから発表がありましたが、より広く地域の皆さんに石神井川に知っていただくことと、調査結果をアーカイブとして残しておくことを目的として、ここにまとめます。
ねりまジュニアレンジャー 代表 岡田英昭
1. 調査の概要
この調査は、練馬区を東西に流れる石神井川の緩傾斜護岸・親水護岸部分を利用して2025年6月8日と9月28日に行われました。調査を行ったのはねりまジュニアレンジャーのメンバーで、みんなで調査地点を自転車で移動しながら行いました。
2. 調査の主な目的
以下の4つの大きな目的を持って調査しています。
① 生息する生物の把握と記録
石神井川にどのような生きものが住んでいるのか、どのくらい元々住んでいた生き物がいるのか、どれくらい外来種が進出をしているかを把握します。
② 小中学生による実践
小中学生が教科書や本で学ぶだけでなく実際に川に入って調査を使うことで、都市河川の現状や課題を学ぶとともに、調査方法を身に付けます。大人たちは調査方法を教えますが、実際に手を動かすのはジュニアレンジャーメンバー自身です。
③ 地域への発信
調査結果は、成果発表会やネットなどを通じて区民に共有されます。子どもたちが発信者となることで、地域全体の川との共生の機運を高める役割も担いたいと思っています。
④行政頼みではない、地域住民の川づくりへの参加
石神井川の環境を行政だけでなく地域住民も把握することで、これからの川づくりに地域の人々が自分事として参加するきっかけを作ります。
3.調査項目と方法
水質調査
- 水温、透視度、COD、アンモニウム態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素、りん酸態りん
- 水温は温度計、透視度は自作の透視度計を使用。それ以外の項目はパックテストを使用しました。使用したのは共立理化学研究所の川の水質調査セットです。
流量調査
- 基本的には川を三断面に分け、それぞれ川幅と水深を巻き尺とアルミスタッフを使って測定(川幅が狭い場所は一断面)。川幅×推進が断面積になります。
- 流速は三断面の真ん中で浮きを3m流し、かかった時間をストップウォッチで計測。3m÷かかった時間で流速を算出。
- 各断面で断面積と流速をかけ、それを合わせた数値を流量として記録しました。
生物調査
- ペットボトルで作ったトラップを調査日の前に調査地点に設置し、罠にかかった生き物を調べました。
- タモ網と三日月網で魚や底生生物等を捕まえました。
4.調査地点
調査は春は下記の①~③地点、秋は①~⑤地点で行いました。
①南田中団地 平成みあい橋上流 東京都練馬区石神井町1丁目1付近
②茜歩道橋下流 東京都練馬区石神井町5丁目9付近
③上石神井団地緩傾斜護岸 東京都練馬区上石神井4丁目21付近
④富士見池 東京都練馬区関町北3丁目9付近
⑤東伏見 弥生橋下流 東京都西東京市東伏見2丁目12付近
5.調査結果
春の調査結果(2025年6月8日)
秋の調査結果(2025年9月28日)
グラフ
6.まとめと考察
生物について
- 石神井川で確認できた魚は基本的にアブラハヤが中心で、その次に見られたシマドジョウとともに、本来は流れの速い山地の河川で見られるような魚が生息している事が確認されました。しかし上石神井より上流の流量が少なく流れが穏やかな環境ではマドジョウなど本来の石神井川に生息していた生き物も見られました。
- 底生生物はアメリカザリガニとヌマエビ(シナヌマエビの可能性が高い)が多く、ともに外来種であると考えられます。しかし富士見池には在来種で昭和初期以前でも確認されていたスジエビが生息していました。スジエビは模様やトゲの特徴から外来種ではなく在来種である事が確認できました。
【考察】上記のことから、石神井川本流は流速が速い特異な環境となっており、元々石神井川にいた生き物よりは、この環境に適応した外部からやってきた生き物が幅をきかせている事がうかがえます。しかし富士見池には在来種のスジエビが確認でき、石神井川の本来の自然を保全する上では、流域にワンドや池など流れが穏やかだったり流れの無い環境を増やして本流と接続する事が重要であると言えます。
水質について
- CODは春より秋の方が高い結果となりました。春のCODは特に上石神井で1mg/lという非常に低い数値となり、水はとても綺麗であると言えます。
- 秋の数値が高かったのは数日前の雨の影響がある可能性が高いです。そんな中、東伏見は同じ日に2mg/lという低い数値となっていますが、これは練馬区より下流では雨が降ると生活排水の一部が川に流入する下水道の作りであるのに対し、西東京市より上流は雨が降っても雨水しか川に流入しない作りであることが原因であると思われます。
- 茜歩道橋のみ春も秋も硝酸態窒素の数値が環境基準値を上回りました。付近の下水道の影響を受けている可能性があります。
【考察】石神井川の流域は下水道普及率が100%であるため、普段はほぼ湧き水のみの川であり、水は綺麗です。しかし本来の石神井川はゆったり流れる川で、谷底には自然にできた池や湿地、田んぼが多かったはずなのでもっと有機物が混ざっていたと考えられ、現在の水質は本来の川の姿よりも綺麗すぎるともいえます。ただし、練馬区より下流の石神井川流域は、雨が降ると家庭排水が下水道から川に流入してしまう合流式下水道のため、雨天時に一気に水質が悪化します。将来的に雨水と家庭排水が混ざらない分流式の下水道になることが望ましいです。
流量について
- 流量は春と秋でほぼ同じような数値となりました。上石神井の数値が秋の方が春を大きく上回ったのは、この地点については計測箇所を現場の状況にあわせて変更した影響であると思われます。
- 流量は練馬区の上石神井~南田中で右肩上がりで急速に上昇している事がわかります。やはり三宝寺池の湧き水が枯れても石神井川には豊富な湧き水が流入しているようです。
【考察】武蔵野台地の標高50m付近には武蔵野三大泉とよばれる三宝寺池、善福寺池、井の頭池などの豊かな湧き水の池がありました。現在その池の地下水は枯れてしまいましたが、石神井川にはそのエリアで今も大量の湧き水が川に直接湧き出している事がわかりました。現在、その付近の地下に外環自動車道のトンネルが掘られていますが、石神井川の湧き水と流量に影響が無いか慎重に経過を観察する必要があります。
7.調査の様子(ギャラリー)
流量調査の様子(6月、茜歩道橋)
透視度調査の様子(9月、富士見池)
水質調査の様子(9月、上石神井団地)
調査結果をまとめる様子(9月、東伏見)
生き物調査の様子(9月、上石神井団地)
アオダイショウ(6月、南田中団地)
石神井川に多いアメリカザリガニ(6月、上石神井団地)
同じく石神井川に多いシナヌマエビ(6月、上石神井団地)
富士見池に生息していた在来種のスジエビ(9月、富士見池)
石神井川では普通に見られるイトトンボ類のヤゴ(6月、上石神井団地)
南田中団地で初めて見つけたタニシのなかま(9月、南田中団地)
アブラハヤとシマドジョウ(9月、南田中団地)
上石神井団地のマドジョウ(9月、上石神井団地)
6月の調査メンバー集合写真
9月の調査メンバー集合写真(一部早退)