第6話 プロとしての仕事をまざまざと見る|わたしの音楽ヒストリー
ピアノの先生をいったん封印したあと、ヴァイオリニストの五嶋みどりさんが主宰する NPO 法人に勤務することになりました。
プロの演奏家が、コンサートホールを出て子どもたちのもとへ出向く、アウトリーチプログラムといわれる活動をしているところです。
国内外の著名な演奏家の方々と一緒に、日本各地やアジアの学校、子ども病院、児童福祉施設など、数多くの場所を訪れました。 全校児童6人の山間部の小学校や、長期入院している子がいる病室、カンボジアの少数民族の子どもたちが通う学校などなど、印象深い場所がたくさんあります。
プライベートで旅行しなくてもいいやって思えるくらい、出張が多かったあの頃。 右も左もわからないまま飛び込んだ世界で、失敗も多かったけれど、子どもたちと演奏家を繋ぐ仕事は、やりがいのあるものでした。
表舞台で見る華やかな部分の裏には、たくさんのプロフェッショナルの仕事があると気づいたとき、物事の裏側を支える仕事っていいなぁと思うようになりました。本番前の舞台裏の高揚感が好きだったから、性に合っていたのかもしれないです。
この仕事にめぐりあわなければ絶対に触れることがなかった価値観やスケール感。
折々に考え続けた「本物の音楽」を伝えることの意味や価値。
出産を期に退職するまでの7年弱くらい、得難い経験をさせてもらったなぁと思います。
「世に出るためには、時・場所・人が揃わないとあかんねん」
というのは、当時の上司が何気なく発した言葉なのですが、わたしの仕事観を形作る一言でもあります。
今、教室の生徒さん一人ひとりが輝くために、「時・場所・人」をどういうふうに設定したらいいかなぁなんて思いめぐらせると、ワクワクしてくるんですよね!
さて、その後のわたしはどっぷりと子育てのフェーズへ。子どもの習い事として「親子リトミック」に出会います。 これが私の世界を何倍にも広げてくれたのですが…
そのお話はまた次回!