朝起きられないのは「サボり」じゃない。親子の神経系を整える、夜と朝の過ごし方
最近「朝、どうしても起きられない」「夜になると目が冴えて眠れない」という中学生前後のお子さんを持つ親御さんが多くいらっしゃいます。
いわゆる「起立性調節障害(OD)」と呼ばれる状態です。
中には、発達障害の特性を併せ持っているお子さんも少なくありません。
「学校に行かなきゃいけないのに……」
「朝陽を浴びさせたいけれど、睡眠不足も可哀想……」
そんな葛藤の中で、ご家族全員が疲弊してしまっているケースをよく目にします。
今日は、セラピストの視点から、家庭の中で少しずつ「昼夜逆転」のバランスを取り戻していくためのヒントをお伝えします。
1. 「脳と神経系」で何が起きているのか?
まず知っておいていただきたいのは、お子さんの体の中で起きているのは「自律神経のフリーズ(凍りつき)」だということです。
朝、血圧が上がらず動けないのは、怠けているのではありません。脳に血流がいかず、神経系がシステムダウンを起こしている状態です。これを無理に揺り起こすのは、エンジンがかかっていない車を無理やりロープで引っ張るようなもの。実は、これこそが神経系にさらなる負荷(トラウマ的な反応)を与えてしまう原因になります。
また、夜に目が冴えて不安が襲ってくるのは、日中の緊張が夜になってようやく解け始め、隠れていた「不安なパーツ(感情)」が騒ぎ出している証拠でもあります。
2. 「24時間の物差し」を一度手放してみる
親御さんに最初にお伝えしたいのは、「世間一般の24時間のリズムに合わせようとするのを、一度お休みしませんか?」ということです。
「朝7時に起きる」という目標が、本人にとっても親御さんにとっても「達成できない苦しみ」を生んでいます。まずは「睡眠時間」を確保することを最優先にしてあげてください。神経系が十分に休息し、「ここは安全だ」と感じられない限り、自律神経のスイッチは正常に動き出しません。
3. 家庭でできる「安心」の育み方
具体的なサポートとして、以下の3つのステップを提案します。
#### ① 朝は「光」だけを届ける
無理に起こす必要はありません。カーテンをそっと開ける、あるいは本人の枕元に光り輝くライトを置く。それだけで十分です。「起きなさい」という言葉の代わりに、光という物理的な信号だけを脳に届けます。本人が寝ていても、脳の視床下部は光を感知し、少しずつ時計を調整し始めます。
#### ② 夜の「不安なパーツ」に寄り添う
夜中に不安で眠れないお子さんは、心の中に「置いていかれる恐怖」や「自分を責める声」を抱えています。
私はパーツワークという手法を使いますが、ご家庭ではシンプルに「起きていてもいいんだよ」というメッセージを伝えてあげてください。「早く寝なさい」というプレッシャーが消えるだけで、逆に副交感神経が働きやすくなり、入眠がスムーズになることがあります。
#### ③ 身体からのアプローチ(クラニオやSEの視点)
お子さんの背中や足の裏に、優しく触れてあげる時間を作ってみてください。
私のセッションで行う「クラニオ・バイオ」や「SE(ソマティック・エクスペリエンス)」では、微細なリズムを整えることで、脳脊髄液の流れを促し、神経系を「戦闘モード」から「休息モード」へと切り替えていきます。
ご家庭でも、静かな時間にお子さんの「今ここにある身体」を感じさせてあげる関わりが、何よりの薬になります。
結びに:少しずつの「タイトレーション」
「一気に治そう」とせず、ほんの少しずつの変化(タイトレーション)を大切にしましょう。
昨日より5分早く光を浴びた。夜、不安な気持ちを少しだけ言葉にできた。そんな小さな一歩を、私たち大人が「素晴らしい変化だね」と見守ってあげることが大切です。
お子さんの神経系は、今、自分を守るために必死に調整を行っています。
そのプロセスを信じて、まずは「今、この瞬間の安心」を一緒に作っていきませんか?
お困りの際は、一人で抱え込まずにいつでもご相談ください。
身体の深層から、そして心の中の小さなパーツたちから、一緒に紐解いていきましょう。
**(あとがき)**
このブログを通じて、今苦しんでいる親子に「自分たちはダメじゃないんだ」という安心が届くことを願っています。