□“特効薬”はない摂食障害…
西日本新聞の連載【食べる力取り戻す―摂食障害の今】で紹介されていたのは、摂食障害の医療現場の今でした。
取材に応じていたのは、九州大病院と八幡厚生病院。どちらも、日々当事者と向き合い続けている医療機関です。
摂食障害には“特効薬”がない、と記事は伝えます。薬を飲めば一気によくなる、というものではない。だからこそ、治療はとても地道で、人の関わりの積み重ねなのだと感じました。
印象的だったのは、体重計に乗るときにポケットへ文鎮をしのばせていた患者さんのエピソードです。痩せたままでいたい気持ちと、このままではいけないと思う気持ち。その間で揺れる心。
「健康になりたい心」と「病気のままでいたい心」が同時に存在しているという言葉に、胸がぎゅっとなりました。どちらか一つではなく、両方がある。それが、摂食障害の苦しさなのだと思います。
そして、私はその場面を読みながら、かつての自分を思い出しました。
体重測定のとき、重りを身につけたり、服の中にこっそり重いものを入れたりしていたことがありました。あのときの必死さや、ばれたらどうしようという不安、でもやめられなかった気持ちまで、ふっとよみがえりました。
あれは嘘をつきたかったわけではなく、
ただ、痩せている自分を手放すのが怖かったのだと思います。
九州大病院では、体重の回復に合わせて少しずつ楽しみを取り戻していく認知行動療法を行っているそうです。
一方、八幡厚生病院では、食事中や食後の時間を看護師がそばで見守り、吐きたい衝動や罪悪感をやわらげる支援を大切にしているといいます。
体重の数字にとらわれすぎないよう、あえて数値を伝えないという工夫も紹介されていました。
どちらの現場にも共通していたのは、「体重が増えれば終わり」ではないという姿勢でした。ただ数字を戻すのではなく、過食や嘔吐に頼らなくても生きていける力を育てること。人と比べ続けてしまう苦しさや、自信のなさと丁寧に向き合うこと。それこそが、本当の回復なのだと伝わってきました。
特効薬がないと聞くと、少し不安になるかもしれません。でも私は、この記事を読みながら、あたたかい希望も感じました。
特効薬がないからこそ、医療者があきらめずに関わり続けていること。食後の1時間を一緒に過ごしてくれる人がいること。退院後も気にかけてくれる存在がいること。その積み重ねが、回復を支えているのだと思います。
もし今、心の中で揺れている方がいたら、その葛藤は決して弱さではありません。
変わりたい気持ちがあるからこそ、揺れるのだと思います。
回復は一直線ではないけれど、ひとりで歩く道でもありません。
食べることは、生きること。
その力は、時間をかけながら、少しずつ取り戻していける。
そんなことを、そっと教えてくれる記事でした🍀
Yuu🌼