メディア・スペース《交界の羅針盤》について
今年の初めに、新たなメディア・スペース《交界の羅針盤》の開設をお知らせしました。これは今後の活動拠点となる場所であり、いわば私の活動の第二フェーズに当たります。
これまで私は、主に書籍の翻訳や執筆を通じて海外の理論を紹介する仕事に取り組んできました。批判的動物研究、動物倫理学、ビーガニズム、ラディカル・フェミニズムなど、日本語圏でまだ充分に知られていない分野の伝統的議論と最新潮流を届けることがその主たる目標でした。その過程で自分自身の考えを断片的に述べることもありましたが、今後はこれまでの蓄積を踏まえ、より積極的に自分自身の試みとして、既存の理論をつなぎ合わせ、新しい洞察を生み出していく作業に取り組みたいと考えています。
現在、多くの解放理論はある種の閉塞状況に直面しています。議論や運動は細分化され、分断に次ぐ分断があらゆる社会的取り組みの歩みを阻むような状況も見受けられます。そうした中で、領域の違いを超え、隔てられてきた理論や洞察を接続していく試みがますます重要になっていると感じます。そのような学際的試み自体はすでに存在しますが、人間中心主義を越える視点からそれを試みる場はまだ多くありません。
《交界の羅針盤》では、私のこれまでの経験を基盤とし、脱人間中心主義の視点から複数の分野を接続し拡張していくこと、そして他分野との接続によって脱人間中心主義の議論をさらに発展させていくこと、この二つを同時に試みたいと考えています。批判的動物研究やビーガニズムの関連分野に加え、脱植民地化論や言語研究なども織り交ぜつつ、より交差的・立体的な議論を行なっていく予定です。
ソーシャルメディアとは異なる学術的な交流の場、既存の諸理論や諸実践をつなぎ合わせる包摂的で領域横断的な空間として、この新たなメディア・スペースを育てていくことをめざします。
《交界の羅針盤》の構成
《交界の羅針盤》は五つの「位相」から構成されています。
CHARTER ~旅の始まり~
理念と自己紹介のページです。現在の問題意識や今後の展望、プラットフォーム名やロゴに込めた想いなどを説明しています。
CHARTERは他の位相とは少し性格が異なり、いわばこのプラットフォームの序章に当たる位置づけとなります。
LOGBOOK ~海の路すじ~
《交界の羅針盤》で扱う諸分野の基礎知識や基本情報、および私自身の探究の軌跡を掲載していきます。
既存の学問分野の枠組みに慣れている目からすると、異なる領域のトピックが混在しているように思えるかもしれません。しかし私自身の探究では、それらは互いにつながっています。LOGBOOKでは、その接点を示唆しながら、思索のための基盤を整えていきます。
LIMINOSCOPE ~路の交わり~
思索や研究の中で見えてきた点と点をつなぎ合わせていくニュースレターです。思考ノート、トレンド解説、コーパス分析、概念事典の共創など、さまざまな内容を含みます。
異なる領域の議論や洞察がどのように交差しうるのかを、読者とともに考えていくことが、ここでの主眼です。私自身の発見や思考プロセスを共有しつつ、読者との交流を通じ、新しい観点や倫理的展望を育てていくことを目標とします。
今年の4月から無料配信を始める予定で、現在、初期購読者を募集しています。
PYXIS PORT ~港の集い~
発信の方法は文章だけではありません。音声や動画には、それぞれ独自の利点があります。このコーナーでは、そうした形式を活かした発信や交流を行なっていく予定です。現在はPodcastや動画配信を検討していますが、将来的にはライブ形式のオンライン講座や双方向的な企画も展開していきたいと考えています。
CODEX ~星の見取り図~
《交界の羅針盤》の資料アーカイブです。
このプラットフォームそのものの理論枠組みや立場を説明する「羅針盤の資料」と、このプラットフォームで扱うテーマや諸分野についての知識を整理する「探究の資料」に分かれます。
現在は特に後者の整備が進んでいます。その一つ、「用語集」では、《交界の羅針盤》で参照する各分野の基本概念を、対訳と簡単な解説付きでまとめています。複数の分野を横断して学びたい人にとって、参考資料として使えるものをめざします。また、「各論資料」では、このプラットフォームで扱うトピックや無料記事に関連する図解などを整理しています。
将来的にはこれらに加え、基本文献の紹介コーナーなども追加していく予定です。
Instagramについて
広報用としてInstagramのアカウントも作成しました。ここでは、プラットフォームで扱う理論やテーマへの簡単な入口を紹介しています。
Instagramはあくまで入り口であり、本体となる議論は《交界の羅針盤》に収録しています。
今後の活動について
書籍の翻訳 ・執筆は今後も行なっていく予定であり、本サイト「ペンと非暴力」では引き続き新刊情報や他のお知らせ(《交界の羅針盤》の更新情報も含む)を掲載していきます。また、拙著に対する批評への応答などもこちらで行なうことになるでしょう。
他方、発信や議論の中心は《交界の羅針盤》に移行したいと考えています。特にニュースレター「LIMINOSCOPE」はこのプラットフォームの中核的役割を担いますので、興味のある方はぜひ購読をご検討ください。