映像ライター・コラムニストの林永子様から「あいゆうえにい」に応援メッセージをいただきました!
2016年3月4日に初のエッセイ本『女の解体 nagako's self contradiction』(サイゾー)の発売が控えている、つるうちはなが以前から大ファンを公言している映像ライター・コラムニストの林永子様から、2016年3月9日に全国発売・つるうちはなの「あいゆうえにい」に向けた応援メッセージをいただきました。『女の解体 nagako's self contradiction』の発売情報も合わせて、ぜひご覧ください!
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"とにかく、突然、つるうちはな。"
「女という幻想をぶっ壊す本音情報サイト『messy』」にて、有象無象の社会に蠢くヒト・コト・モノを、超自分勝手な目線で記録するコラムを連載していた2014年某日。新宿区大久保で生まれ育った私が、子供の頃より身近に遭遇して来た人種差別や性商売について綴ったコラムに対し、突然、見知らぬ女性より、熱烈長文ファンメッセージを頂戴した。
WEBコラムの場合、サイト内のコメント記入欄やSNSにて賛否両論のご意見を頂戴することは、度々ある。とはいえ、そのメッセージは群を抜いて熱烈な長文であり、あまりの勢いを前に、『WEBで読むには長過ぎる文章を書く、長文鬼女』の異名を取る私でさえ圧倒させられたほどだった。
あまりにも印象が強烈だったせいで、すぐに名前を覚えた。彼女の名は、つるうちはな。同郷生まれ、香港育ちのシンガーソングライターである。
私と彼女には、猥雑な喧騒やアジアの人種の坩堝感に親しみを覚えるという、出自由来の共通点がある。よって、お互いの主張を理解する速度は元より早い。以降、SNSを介したやりとりを続けた年の瀬、突然、「飲みにいきましょう、ホームで」という話になり、新大久保のネパール居酒屋『MOMO』で初対面の盃を交わすに至る。
その時、異なる人種・文化・宗教、ひいては個人的な価値観が、カオスのごとく渦巻く状況を「当然・普通」と受け止める者同士として、「人間は全員別人であり、自分のみに都合の良い社会など存在し得ない」と語り合ったことを覚えている。いわく、お互いの違いを許容・尊重し合いながら、共生のルールを重んじる。それがアジアのカオスにおける、愛ではないか、と。
それから数ヶ月経った2015年某日。突然、つるうちはなより「納得のいく作品が出来ました」というメッセージとともに、『あいゆうえにい』と題された楽曲が送られて来た。
本作にて、彼女は「私=I(あい)」や「君=YOU(ゆう)」や「誰も=ANY(えにい)」に、いくつもの疑問を投げかけている。
『私はいつから 私ですか? ほんとうの私はどこですか?』
『そもそも、ほんとうってなんなんですか? そうですか』
『人種・宗教の違いですか?ヒーローはどっちの人ですか?』
『Yesは神ですか? そうですか』
『戦争はなんでやるんですか? 国境はなんであるんですか?』
『「きっと、最初は誰かを守るため。」そうですか』
自らの問いに対する他者の答えを、彼女は否定も肯定も明記もせず、『そうですか』と受容する。自答としては『答えは一生でないです』。つまり、人間社会には誰もが共有する『ほんとうの』答えなど存在しない。『だから』、「あい」も「ゆう」も「えにい」も『好きにしなよ』。『君のイメージは君のもの 私のイメージも私のものだよ』。
自他の同一化を求めない。あくまでも別物として割り切る。そのような人物は、他者と同じ価値観を共有したい者や、同価値観を持つ者が大多数を占める環境に生まれ育った者の目には「排他的で冷たい人間」として映ることもある。だが、自他ともに異なる価値観こそをまずは受容するという活動は、我々が育った人種の坩堝の共存感覚において、異なる他者に寄り添うために必要不可欠な「愛」に他ならない。
だからこそ、『あいゆうえにい』は『愛ゆえに』。『これでいいのだ』と、つるうちはなは、言い切った。
人間は全員、異なる。時代の思想や社会情勢、生活環境や年齢によって、人間の価値観は変化する。変わらないものは、己が己として生まれたことのみだ。そんな己の集合体には、反発も尊重も摩擦も引力も斥力も生じる。そうした、個々にとってはままならない有象無象のカオスを、カオスとしてまるっと引き受けた暁に、『できればさ、しょーもないギャグで笑いたいの』。そう、それができたら、超平和である。
我々はカオスにおいて、つねに「えにい」だ。ゆえに「あい」にしっかりと寄り添わなければ、自分を見失ったりもする。そんな「個と集合の感触」がにじみ出た本作は、「とにかく、ANYWAY、これが私である」と宣言する、つるうちはなウェイの最たるものである。
と、書き連ねるにあたり。1年ぶりに会った彼女と共に代々木ヴィレッジ内の『代々木カリー』にて、しょーもないギャグで散々笑った翌日、突然、「昨日、肝心なことを言い忘れました。『あいゆうえにい』について、一筆書いてください。5日以内に」とのメッセージが届いた。
だから、とにかく、いつも、突然なんだよ、つるうちはなは! 無論、それでいいのだ。あなたも、私も、『幸せだ!って笑えるなら、好きにしなよ』。
2015年12月 林 永子
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<林永子(はやし・ながこ)>
1974年東京都新宿区生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業後、映像制作会社勤務を経て、2002年MVを中心とした感覚映像専門のライターとして独立。以降、様々な表現者が集うサロンイベント『スナック永子』を主宰。映像上映展のプロデュースやストリーミングサイトの編集長等、映像文化を支援する活動を行う。2013年よりコラムニストとしても活動中。
林永子『女の解体 nagako's self contradiction』
2016年3月4日よりamazonにて販売開始!
映像ライターとして活躍し、一流カメラマンや映像作家から絶大な信頼を勝ち取った林永子(はやし・ながこ)の待望の初エッセイ。独立独歩の40代独身女性である自らの立場から、女たちを取り巻く日本特有のいくつもの問題に、舌鋒鋭く果敢に挑み、複合的な諸問題を「解体」しまくった怒涛の288ページ。
社会と女性、そして自らを切り刻む渾身のメッセージ集!女性のみならず「男/漢」にも響く、戦い続ける孤独な魂の叫び。(下記リンクより抜粋)
つるうちはな「あいゆうえにい」2016年3月9日全国発売!
2016年3月9日より全国のタワーレコード・HMV・ヴィレッジバンガード・amazonにて販売開始!!
*タワーレコード、HMV、ヴィレッジバンガードでご予約・ご購入頂くと特典CDR「一緒にいようよ」付きとなります。(通販も可)
タワーレコード http://tower.jp/item/4184385/あいゆうえにい
HMV http://www.hmv.co.jp/productitemstock/stock/6846533
ヴィレッジバンガード http://vvstore.jp/i/vv_000000000098746/