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圧巻のPKストップ 木稲瑠那

2026.03.01 04:39

90分間を1-1で終えたのち、PK戦を3-2で制してグループステージ突破に向けて貴重な勝ち点2を獲得したサンフレッチェ広島レジーナ。この激戦で木稲瑠那は守護神として圧巻のパフォーマンスを披露し、チームを勝利へと導いた。

後半3分(48分)、大宮の髙橋美紀にミドルシュートを決められ先制を許した広島。木稲は「相手がミドルを狙ってくる意図は把握していた。完全に枠外へ弾き出せなかった点が悔やまれる」と失点シーンを冷静に振り返った。しかし広島は後半に同点ゴールで追いつき、PK戦にもつれこむこととなった。


PK戦開始直前、キャプテンの柳瀬楓菜が木稲のもとへ歩み寄り、キャプテンマークを手渡した。木稲はそれを受け取り、自身の腕に巻いてゴールマウスへと向かった。「みんなの期待と責任を背負って立った」と、その瞬間の思いを語る。そしてこの時、木稲の心中にあったのは重圧ではなかった。「PK戦に入った瞬間、すでに勝ったと感じていた。自分が止めれば勝つという思いだけで、楽しくやれていた」——その言葉には、絶対的な自信と並外れたメンタリティが滲んでいた。


相手の1人目、木稲はコースを読み切っていたが、質の高いキックに阻まれ決められてしまう。しかし「自分の読みは合っていた」と確信した彼女に迷いはなかった。2本目以降、見事な反応で相手のシュートを次々とシャットアウト。味方のキッカーが失敗を重ねる苦しい展開となっても、木稲は「決められれば敗退という状況でも、プレッシャーは感じなかった」と語り、最後まで守り続けた。


この輝きの裏には、地道な準備の積み重ねがあった。前日の練習では4〜5本のPKをストップ。「PKを特段得意としていたわけではない」と本人は謙虚に語るが、日々の練習を通して相手の癖や蹴り方を掴む技術を着実に磨き上げてきた。


試合後、赤井秀一監督は「彼女が止めてくれるから、あとは全員ちゃんと決めてくれと選手に伝えていた。最後に止めてくれた」と、守護神への深い感謝を口にした。大宮の柳井里奈監督も「両キーパーが素晴らしかった。木稲さん、すごいなと思うところに尽きる」と、敵将の立場からもその凄みを認めた。


しかし、ヒロインとなった木稲自身は現状に満足していない。「次は無失点で、PK戦にもつれ込まずに90分で勝ち切りたい」——その言葉には、勝利の余韻よりも次なる戦いへの強い意志が込められていた。怪我で欠場していた木稲だが、復帰後チームは連勝街道を歩んでいる。大宮への苦手意識を払拭し、グループ突破へ向けて絶対に落とせない試合をものにした今、タイトル獲得を目指すサンフレッチェ広島レジーナにとって、背番号1の絶対的守護神はこれ以上ない最大の武器だ。


取材:Tomoyuki Nishikawa / SportsPressJP