一眼レフカメラと少し距離ができた話
2026.03.03 01:45
数年前にコロナ騒ぎがあって以来、一眼レフカメラを手にする機会がめっきり減ってしまった。
以前は、出かけるとなれば当たり前のようにカメラを肩にかけていた。季節の移ろい、街の小さな変化、ふとした光の入り方。そんな瞬間を切り取るのが好きだった。
シャッターを切るたびに「今」を残している感覚があって、写真は自分にとって日記のような存在でもあった。
けれど、コロナ禍で外出が減り、人と会う機会も少なくなった。加えて、自分自身が病気をしたこともあり、体力や気力の面で以前のように気軽に出かけられなくなった。カメラを持って歩くという行為が、かなり"面倒なこと"になってしまった。
スマホのカメラは確かに便利だ。
思いついた瞬間にすぐ撮れるし、そのままSNSに投稿もできる。でも、一眼レフを構えてファインダーをのぞき込む、あの独特の時間はやはり別物。ピントを合わせ、構図を考え、光を読む。ほんの数秒の中に、自分の感覚がぎゅっと詰まる。
あの集中した感覚を、最近は味わっていないことに気づく。
写真が減るということは、記録が減るということでもある。振り返ったときに「こんな日があったな」と思い出せる材料が少なくなっている気がして、ちょっとだけ寂しい。
写真は単なる画像データではなく、そのときの空気や匂い、感情までも思い出させてくれる装置だったのだと今になって思う...。とはいえ、今の自分には今のペースがある。ただ、また少しずつでもいいから、カメラを持って外に出てみたい。遠くへ行かなくてもいい。近所の公園でも、朝の光が差し込む自宅の窓辺でもいい。
もう一度、ファインダー越しに世界を見てみたい。そんな気持ちが、静かに芽生え始めている。