「宇田川源流」【大河ドラマ 豊臣兄弟】 直の死と竹中半兵衛の登場のクロスを描く
「宇田川源流」【大河ドラマ 豊臣兄弟】 直の死と竹中半兵衛の登場のクロスを描く
毎週水曜日はNHK大河ドラマに関して好き勝手に感想を書いています。今回は墨俣城築城で、羽柴秀吉(池松壮亮さん)の活躍するところで、非常に面白く見てきました。その内容は少しまあ後半に書くとして、今回まずはその重要な役割を果たした川並衆の頭領、蜂須賀小六正勝について、少し史実にある内容を見てみましょう。
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で描かれる蜂須賀正勝(小六)は、豊臣秀吉とその弟・秀長の飛躍を支えた最古参の盟友であり、まさに「豊臣政権の屋台骨」を築いた一人と言えます。
正勝と秀吉たちの出会いは、秀吉がまだ織田信長に仕えて間もない頃、尾張と美濃の国境付近で勢力を持っていた川並衆のリーダーであった正勝を、秀吉が熱心に口説き落としたことに始まります。その象徴的なエピソードが、永禄9年の墨俣一夜城築城です。信長による美濃攻めが難航する中、秀吉は正勝とその配下たちの高い機動力と土木技術、そして地元の土地勘を最大限に活用しました。正勝は、敵地での資材調達や迅速な組み上げを指揮し、短期間で城を完成させるという不可能に近い任務を成功させました。この功績によって秀吉は信長の信頼を勝ち取り、正勝もまた、単なる協力者から秀吉の軍師・副官的な存在へと立場を変えていくことになります。
秀吉の弟である羽柴秀長との関係において、正勝は「兄のような、あるいは頼れる実務家同士」としての深い絆で結ばれていました。秀吉が華々しい表舞台で采配を振るう一方で、秀長は内政や軍事の調整役として立ち回りましたが、正勝はその秀長の最も近くで実務を支えるパートナーでした。特に秀長が但馬や播磨の統治を任されるようになると、正勝は持ち前の交渉術を駆使して国人衆の調略にあたり、秀長の負担を軽減させました。秀長にとって、秀吉の気まぐれや無茶な要求を理解しつつ、それを現実的な作戦に落とし込める正勝は、組織運営において欠かせない唯一無二の理解者であったと言えます。
二人の連携は、その後の中国攻めや山崎の戦い、賤ヶ岳の戦いでも遺憾なく発揮されました。正勝は軍事のみならず外交交渉でも秀長と密に連絡を取り合い、毛利家との講和交渉など、豊臣政権の命運を分ける重要な局面を二人三脚で乗り越えていきました。秀長が「大和納言」として豊臣家の調整役を一身に背負う中、正勝はその右腕として、現場の指揮と家中を取りまとめる実務の双方で秀長を助け続けました。
物語の終盤、四国平定の軍功により、正勝はついに阿波国一国を与えられることになります。しかし、正勝自身は秀吉のそばで奉公し続けることを望み、領地を子の家政に譲って自らは大坂に留まる道を選びました。これは、生涯を通じて秀吉・秀長兄弟を支え抜こうとした正勝の忠義の表れでもあります。墨俣の野武士から始まり、阿波一国の主へと上り詰めた正勝の軌跡は、まさに秀長と共に豊臣の天下を裏から支え続けた「最強のナンバー2」たちの物語そのものでした。
<参考記事>
豊臣兄弟!:残り5分の悲劇! 「直! 直!」小一郎の慟哭&黒画面エンド→次回予告なし 視聴者も「情緒めちゃくちゃ」
2026年03月01日 20:45 MANTANWEB編集部
https://news.yahoo.co.jp/articles/c8b271622ac58b98ed729eee8db3734c915dc49f
<以上参考記事>
今回の見どころはやはり「直(白石聖さん)の死」であろうと思います。私のように歴史小説を書いている人からすれば、直のような「架空の人物」という存在は、最も簡単に様々な役割をさせることができますし、また、一方で最も簡単に殺せる存在なのです。基本的に歴史小説やドラマにおいては、「架空人物と忍者」は、ある意味でトランプゲームのポーカーでいう「ジョーカー」的な役割ができる存在で、その場にいなくても主人公がさまっざまなことを知ることができるし、移動も自由ですし、そもそももともと存在しないのですから、幽霊のようにどこにでも存在させて問題ありません。それは、物理的にその場所にいることができるというだけではなく、主人公やキャラクターの中において常に心の中にいるという存在にもなるのではないでしょうか。その様に考えれば、他のキャラクターではなかなかできない主人公の性格や考え方、心の中に大きな影響を与える存在になることができるということになるのです。
今回の直に関しては、まさにそのような存在であるといえるのではないでしょうか。
そもそも、今回の内容は豊臣秀長(仲野太賀さん)という、どうしても兄豊臣秀吉(池松壮亮さん)の陰に隠れてしまい記録などもあまり多くない(もちろん秀吉に比べてですが)ということになります。ある意味で、豊臣秀吉の天下取りに最も貢献したものでありながら、歴史上全く目立たない存在、そのような存在が何を考え、そして何ができるのか、何をどのように感じていたのかというのは、基本的には創造の範囲が非常に多くなってしまうということになります。そのような考え方の「基軸」に「直」がいたということなのではないでしょうか。
特に「幼馴染」ということは、子供のころからお互いの苦労や家庭環境などもすべてわかっているということであるし、また生活環境やトラウマも共有しているということになります。そのような「自分をわかってくれる人物」がいなくなるということで人間はどのように変わってゆくのでしょうか。そのことが非常に強く書かれる内容になります。
さて、もう一人今回から登場した人物がいます。それが竹中半兵衛(菅田将暉さん)です。ある意味で「直」の代わりに秀吉の名産棒がここで表れるということになります。ある意味で、後に出てくる黒田官兵衛を除き、前半の秀吉の名軍師や補佐役である秀長、蜂須賀小六(高橋努さん)そして竹中半兵衛、この三人が揃った形になります。
もちろんまだ竹中半兵衛に関しては視聴者の漢字から見れば何だかよくわからない人物という感じがしますが、しかし、線が細くあまり戦国武将らしい荒々しさがないということが興味深く書かれています。搭乗の場面であまり裕福とは思えない家に、書籍が山になって重なっているというような登場は、それまで武器や鉄砲などを持って登場する武将とのイメージに一線を画すものであり、なおかつ安藤守就(田中哲司さん)との相談などに関しても直接顔を合わせることなく策を見破るという形をとっていました。
ある意味で、「帷幕の中から一歩も動かずに戦場全体を把握する」ということができるということを初回の登場で出してしまうということになります。その能力を活かして行くということになります。
ある意味で、「直の死」と「半兵衛の登場」がうまく重なっているということが、今回のドラマのおもしろさかもしれません。