技術者・技能者の地位向上について(一般質問より)
京葉臨海コンビナートをはじめとする製造業や、県内各地を支える建設業など、多種多様な産業が本県の経済を牽引しています。
これらの産業を根底で支えているのは、他でもない、高度な技術・技能を持つ「人」でありますが、少子化に伴う労働力不足は深刻であり、とくに現場を支える技術者・技能者の高齢化と若手入職者の減少は、本県産業の持続可能性を揺るがす喫緊の課題です。
私は、人材確保の根本的な解決策は、単なる求人支援に留まらず、「技術者・技能者が社会的に正当に評価され、憧れをもって迎えられる社会」を構築すること、すなわち「地位の向上」にあると考えます。
若者や教育現場に対し、技術・技能職の「カッコよさ」や「社会への貢献度」を伝えるための、戦略的な広報が必要ではないでしょうか。そこで伺います。
技術者・技能者の人材確保に向け、その地位向上にどのように取り組んでいるのか?
本県産業の基盤を担うものづくり人材を確保するためには、ものづくりの素晴らしさや価値を社会に発信していくことで、技術者・技能者の地位 向上を図ることが重要であると認識をしています。
そこで、県では、職業能力の高さを可視化する技能士資格の取得促進や、卓越した技能者の功績を称える表彰等により、技能者の経済的・社会的地位の向上及び技能尊重の機運醸成に取り組んでいます。
また、本県の将来を担う若者に向けては、優れた技能や豊富な経験を持つ「ものづくりマイスター」を工業系高等学校等に派遣をして、ものづくりの魅力を伝えるなど、技能の重要性の周知を図っているところです。
今後も、関係団体等と連携し、本県産業の更なる発展に向け、その担い手となる技術者・技能者の社会的地位の向上を図ってまいります。(知事)
技能士資格の取得促進や「ものづくりマイスター」の派遣など、一定の取り組みについては理解しました。しかし、これらは主に「業界内」や「教育現場」に向けた施策であり、一般県民の皆様、特に進路決定に大きな影響力を持つ保護者層に対し、技術者・技能者の価値が十分に伝わっているとは言い難い状況です。
技術者や技能者が正当に評価され、子供たちが「あんな風になりたい」と憧れる存在になるためには、「業界内での評価」から「社会的な評価」へと段階を引き上げることが不可欠であると考えます。そこで伺います。
技術者・技能者のさらなる地位向上に向け、ものづくりの素晴らしさを広く県民に周知すべきと考えるがどうか?
県では、ものづくりの素晴らしさについて、県民だよりやSNSなどの媒体を活用し、広く県民に向けた広報を行うことで、技術者・技能者への 理解を深め、その地位向上を図ってまいります。
また、今後新たに、県立テクノスクールのオープンキャンパス等の会場において、小・中・高校生向けに「ものづくりマイスター」による匠の技を実演するなど、若者に対する周知を強化してまいります。(商工労働部長)
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技術者・技能者の地位向上に向けた取り組みに加え、将来の社会を担う子どもたちに向けた取り組みも重要です。
本県の地域産業を支えるのは、他ならぬ地元で学び、技術を身につけた若者たちです。地元企業は、専門分野に特化した高校生の採用に極めて意欲的であり、技術者・技能者の確保を強く望んでいます。
工業高校など、専門高校に対する地元企業からの期待が高い一方、中学生やその保護者、さらには進路指導を担う中学校の教員の間では、こうした技術職への道や専門高校での学びの魅力が十分に理解されていないのではないかと思っています。
本年の4月より、私立高校の授業料無償化が見込まれる中、いわゆる公立離れや、公立高校の定員割れといった課題が懸念されています。
先日、文部科学省より、高校教育改革に関するグランドデザインが公表されました。2040年には、文系人材の余剰と理系人材の不足、さらには地域社会を支えるエッセンシャルワーカーの圧倒的不足が懸念される中、産業イノベーションを担う人材の育成は急務となっています。
この機を捉え、専門高校の教育内容をさらに充実させ、中学生や保護者にとって魅力ある選択肢としていくことが、公立高校の競争力を高めるだけでなく、県内産業の持続的な発展につながるのではないでしょうか。
専門高校への進学につなげるためにも、子どもたちが様々な職業への理解を深めるとともに、将来につながる学びを選択できる環境の整備が求められます。そこで伺います。
県教育委員会では、子どもたちに対して、技術者の職業理解促進のため、どのような取り組みを行っているのか?
少子化や社会のデジタル化が進む中、地域やものづくり産業を支える 技術者などの人材が不足しており、子供たちがこうした職業について理解を深めることは重要と認識しています。
このため、県教育委員会では、中学生や保護者向けに地元企業等から仕事内容や採用後のキャリアパスなどについて、直接聞くことができる講演会を市原市で実施したほか、県内企業の技術職の魅力や必要な資格等を紹介する冊子を作成し、授業等での活用を進めることとしています。
また、来年度は、中学生を対象に、技術者が活躍する県内企業の情報や 魅力をわかりやすく伝えるイベントを実施することとしており、一人一人が自分に合った進路を選択 できるよう、技術職をはじめとした職業理解の促進に取り組んでまいります。(教育次長)
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新潟県では、地域の経済を支えるものづくりの技能・技術を大切に守り、次世代に引き継いで行くことを目的に「新潟県優れたものづくり条例」を制定し、技能者等の地位向上を県政の柱に据えています。
技術者や技能者の尊さを再認識し、県・事業者・県民が一体となってこの財産を守り育てるためにも、千葉県版「ものづくり条例」の検討を要望しました。
また、県教育委員会ではこれまでも、働く人々の姿を紹介する動画の公開や、技術職の魅力を伝える冊子の作成など、キャリア教育に取り組んできたと承知しています。しかし、中学生の専門高校への進学意識は依然として高いとは言えず、職業に対する理解が十分に浸透していない現状があります。 とくに課題となるのは、生徒の進路指導に大きな影響力を持つ中学校教員の理解です。多くの教員が普通科出身であり、専門高校の現状や、進学・就職の両面におけるメリットを十分に把握できていない可能性があります。
例えば、専門高校は就職に強いだけでなく、近年の入試制度においては、指定校推薦等を通じて多様な大学進学の道が開かれている面もあります。こうした専門高校ならではの強みを、教員が自信を持って生徒に伝えられるようにするべきと考えます。
専門高校への理解を深めるため、生徒だけでなく中学校の教員を対象とした専門高校への視察や研修の実施、さらには保護者を含めた普及・啓発に努めていただくよう要望しました。
【参考資料】
千葉県の技能振興策