失念ではなく、不知かも? <追記>
地方自治法及び地方自治法施行令並びに福山市の条例では、1億5千万円以上の工事又は製造の請負契約については、市議会の議決が必要だとされているにもかかわらず、議決を経ずに2億4千万円の工事の請負契約を締結していたことが発覚した。
本来、市議会の議決をもらうための議案を起案しなければならないのだが、下記の記事によると、「担当課の職員が起案をせず、上司も見落としていた」そうだ。記事には「担当の市民局が手続きを失念していた」とある。
しかし、失念以前に、そもそも市議会の議決が必要であることを知らなかった可能性がある。なぜならば、福山市は、仮契約を結んでいるのだが、なぜ本契約ではなく仮契約を締結するのかが分かっていたら、当然議案を作成するはずだからだ。
市議会の議決を得るまでは契約(本契約)を締結できないので、とりあえず落札者と仮契約を結んでおいて、議案を起案し、市議会に議案を提出して、議決を得たら、本契約を締結するという手順を踏まざるを得ないのだ。
議会の議決を経ずに締結された契約は、無効になるが、「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。」と定める民法第116条本文を類推適用して、追認の議決により遡及的に有効にすることができると解されている。
これまでもこのブログで何度も取り上げているように、毎年、全国の自治体で同様のミスが発覚している。
そこで、改めて条文を確認しておこう。
地方自治法第96条第1項第5号は、「その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。」について、議会の議決が必要だと定めている。
地方自治法施行令第121条の2の2第1項は、「地方自治法第九十六条第一項第五号に規定する政令で定める基準は、契約の種類については、別表第三上欄に定めるものとし、その金額については、その予定価格の金額が同表下欄に定める金額を下らないこととする。」と定めている。
別表第三(第百二十一条の二の二関係)を見ると、「工事又は製造の請負」については、「市(指定都市を除く。次表において同じ。)」の場合には、 「一五〇、〇〇〇千円」とある。
自治体の規模によって金額が異なるので、一般市以外の方は、別表第三を別途参照すること。
そして、広島県の福山市の「議会の議決に付すべき契約に関する条例 (昭和41年5月1日 条例第24号)」第2条は、「地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第1項第5号の規定により議会の議決に付さなければならない契約は、予定価格1億5,000万円以上の工事又は製造の請負とする。」と定めている。
高額な契約には、議会の議決が必要だとさえ覚えておけば、間違うことはなかろう。
私は、下4桁に0が4つ並ぶと、ビビってしまうほど貧乏だけど、職員さんたちは、高額な金額を扱いすぎて、金銭感覚が変わってしまうのだろうか。
どうでもいいことだが、亡父の話を思い出した。昔、20億円の商談をするため、先輩に営業をかけたら、先輩が「久保、俺の決裁金額は100億だ。20億の仕事なんか俺のところに持ってくるな。まあ、話はつけておくから、安心しろ。」と言われたと苦笑いしていた。扱う金額が大きくなると、金銭感覚が常人と違ってくることには間違いなさそうだ。
<追記>
下記の記事によると、まちづくり推進課の職員は、「他の課が議案をつくるものだと勘違いしていた」そうだ。
とすると、失念でもなく不知でもない。法令を正しく認識していたけど、他の課が議案を作るものだと勘違いしていたとしても、責任感が強ければ、議案作成の進捗状況が気になるだろうから、その課に対して、「議案作った?」と確認すれば、勘違いに気づいたのではなかろうか。