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管理計画認定制度でチェックされる「長期修繕計画」のポイント

2026.03.12 23:48


マンションの管理状況を自治体が評価する管理計画認定制度では、管理組合の運営、管理規約、会計管理などのほか、長期修繕計画の内容が重要な審査項目となっています。

長期修繕計画は、将来の修繕工事や設備更新の計画と資金計画を示すものであり、マンション管理の将来性を判断する重要な資料です。

ここでは、管理計画認定制度の基準に基づき、長期修繕計画で確認される主なポイントについて解説します。

長期修繕計画や修繕積立金の問題は、単独では判断できません。管理組合としての考え方や制度上の位置づけについては、「長期修繕計画と修繕積立金の基本」で詳しく解説しています。



1 長期修繕計画は標準様式に準拠していること

認定制度では、長期修繕計画が

国の「長期修繕計画標準様式」

に準拠して作成されていることが求められます。

さらに、次の内容が総会で決議されていることが必要です。

 長期修繕計画の内容

 修繕積立金の金額

つまり、長期修繕計画は単に作成されているだけではなく、管理組合の正式な意思決定として承認されていることが重要になります。



2 長期修繕計画に必要な項目が記載されていること

認定制度では、長期修繕計画に次の内容が盛り込まれていることが確認されます。

主な記載事項

 修繕工事の内容

 修繕工事費の概算費用

 修繕工事の実施時期

 修繕積立金の㎡単価

 計画期間の修繕積立金総額

 修繕積立金残高

 駐車場収入などからの繰入額

 借入金の状況(ある場合)

これらの項目が整理されていない計画は、計画の実効性が低いと判断される可能性があります。



3 修繕工事項目(19項目)が網羅されていること

長期修繕計画には、マンションの主要な修繕工事が含まれている必要があります。

標準様式では、次の19の工事項目が示されています。

〈主な修繕工事項目〉

 仮設工事

 屋根防水

 床防水

 外壁塗装

 鉄部塗装

 建具・金物

 共用内部

 給水設備

 排水設備

 ガス設備

 空調・換気設備

 電灯設備

 情報通信設備

 消防設備

 エレベーター設備

 立体駐車場設備

 外構施設

 調査診断費用

 長期修繕計画作成費用

これらの工事が計画に含まれていることで、建物と設備の維持管理が総合的に計画されているかが確認されます。



4 計画期間は30年以上

認定制度では、長期修繕計画の

計画期間が30年以上

であることが求められます。

これは、マンションの大規模修繕や設備更新が長期にわたって発生するためです。

さらに、

残存期間に大規模修繕工事が2回以上含まれていること

も確認されます。



5 長期修繕計画は7年以内に見直されていること

長期修繕計画は一度作成すればよいものではなく、定期的な見直しが必要です。

認定制度では

長期修繕計画の作成または見直しが7年以内

であることが求められます。

建設費の上昇や建物の劣化状況の変化に対応するため、定期的な見直しが重要とされています。



6 修繕費と修繕積立金のバランス

長期修繕計画では、

将来の修繕工事費の総額が修繕積立金の総額を上回らないこと

が確認されます。

つまり、

修繕費 > 修繕積立金

となる計画では、認定基準に適合しない可能性があります。

長期修繕計画は、資金計画としても整合性があることが求められます。



7 将来の一時金徴収を前提としていないこと

認定制度では、

将来の一時金徴収を前提とした計画

は望ましくないとされています。

そのため、大規模修繕工事の前後で

修繕積立金の徴収額が急激に増えない計画

になっているかが確認されます。


8 修繕積立金の水準が著しく低くないこと

長期修繕計画から算出される

修繕積立金の平均額(㎡単価)

が、国のガイドラインの水準を著しく下回っていないことも確認されます。

もし水準を下回る場合には、

専門家による理由書

の提出が必要になります。



9 計画期間の最終年度に借入金が残っていないこと

長期修繕計画では、

計画期間の最終年度に借入金残高がないこと

が求められます。

これは、将来世代への過度な負担の先送りを防ぐための基準です。



まとめ

管理計画認定制度では、長期修繕計画について主に次の点が確認されます。

主なチェックポイント

 長期修繕計画が標準様式に準拠している

 計画内容と修繕積立金が総会で決議されている

 修繕工事項目(19項目)が計画に含まれている

 計画期間が30年以上である

 残存期間に大規模修繕が2回以上ある

 長期修繕計画が7年以内に見直されている

 修繕費と修繕積立金の収支が整合している

 将来の一時金徴収を前提としていない

 修繕積立金の水準が著しく低くない

長期修繕計画は、マンションの将来の維持管理を左右する最も重要な管理資料といえます。

管理計画認定制度の取得を目指す場合には、計画の有無だけでなく、内容の妥当性や資金計画の健全性を確認することが重要です。






《参考》

長期修繕計画19項目の実務解説

管理計画認定制度で求められる長期修繕計画には、国土交通省の長期修繕計画標準様式で示された「19の修繕工事項目」を基本として計画を作成することが求められています。

これらは、マンションの建物・設備を長期的に維持管理するための標準的な修繕対象項目です。


1 仮設工事

大規模修繕工事の際に必要となる足場設置や養生などの仮設設備です。

主な内容

 足場設置

 防護ネット

 仮設電気

 仮設トイレ

実務ポイント

 大規模修繕費用の15~25%程度を占める場合が多い

 建物形状や高さによって費用が大きく変わる



ー建物関係工事ー

2 屋根防水

屋上やルーフバルコニーの防水工事です。

主な工事

 ウレタン防水

 シート防水

 アスファルト防水

修繕周期目安

 約12~15年

実務ポイント

 防水性能の低下は漏水事故の原因になるため、定期的な更新が重要です。



3 床防水

共用廊下やバルコニーなどの床防水です。

主な工事

 長尺シート

 塗膜防水

 防滑シート

実務ポイント

 滑り事故防止や防水性能維持のため、外壁修繕と同時に行うケースが多いです。



4 外壁塗装等

外壁の劣化補修や塗装工事です。

主な工事

 外壁塗装

 ひび割れ補修

 タイル補修

 シーリング打替え

修繕周期目安

 約12~15年

実務ポイント

 大規模修繕工事の中心となる工事です。



5 鉄部塗装等

共用部分の鉄部の防錆塗装です。

主な対象

 階段手すり

 鉄扉

 フェンス

 パイプシャフト扉

修繕周期目安

 約5~7年



6 建具・金物等

共用部の建具や金物の修繕です。

主な対象

 共用扉

 ドアクローザー

 郵便受け

 手すり

実務ポイント

 設備更新と同時に実施することが多い項目です。



7 共用内部

建物内部の共用部分の修繕です。

主な対象

 エントランス内装

 共用廊下内装

 集会室

 管理室

実務ポイント

 劣化よりも美観向上の目的で行われることもあります。

 


ー設備関係工事ー

8 給水設備

建物の給水設備の更新です。

主な対象

 給水ポンプ

 受水槽

 加圧給水装置

修繕周期目安

 約15~20年



9 排水設備

排水管や排水設備の更新です。

主な対象

 排水ポンプ

 排水管更新

実務ポイント

 築30~40年頃に大規模更新が必要になる場合が多いです。



10 ガス設備

共用部のガス設備の更新です。

主な対象

 ガス管

 ガスメーター設備



11 空調・換気設備

共用部の空調や換気設備です。

主な対象

 駐車場換気設備

 集会室空調


12 電灯設備等

共用部分の電気設備です。

主な対象

 照明

 分電盤

 電気配線

実務ポイント

 最近はLED化工事が増えています。



13 情報通信設備

通信インフラ設備です。

主な対象

 インターホン

 TV共聴設備

 インターネット設備

修繕周期目安

 約15年



14 消防設備

消防法で定められている設備です。

主な対象

 自動火災報知設備

 消火栓

 非常放送設備



15 昇降機設備

エレベーター設備の更新です。

主な工事

 制御盤更新

 かご更新

 巻上機更新

修繕周期目安

 約25~30年

実務ポイント

マンション修繕費の中でも非常に高額な工事です。



16 立体駐車場設備

機械式駐車場の設備更新です。

主な工事

 モーター更新

 チェーン交換

 制御盤更新

修繕周期目安

 約15~25年


ー外構・その他ー

17 外構付属施設

建物周辺の施設です。

主な対象

 フェンス

 舗装

 駐輪場

 ゴミ置場



18 調査診断費用

建物の劣化診断費用です。

主な内容

 外壁打診調査

 建物診断

 設備調査

実務ポイント

 大規模修繕前に必ず実施されます。



19 長期修繕計画作成費用

長期修繕計画の作成・見直し費用です。

実務ポイント

通常は

 管理会社

 建築士

 マンション管理士

などの専門家に依頼します。






関連サイト>

管理計画認定申請時 基準適合確認用 簡易チェックリスト   マンション管理センター