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哲学対話

ヒント/「苦労とはなにか」ギリシャ悲劇の本質と人生の意味

2026.03.13 01:02

アリストテレスによる悲劇の定義

「悲劇とは、一定の大きさ(長さ)で完結している、高貴な(高められた)行為のミーメーシスであり、そのミーメーシスには、劇の構成部分の各々に従ってそれぞれ別々に用いられる、様々な種類の快い味付け(効果)を与えられた言葉が使われるのであるが、しかし、(言葉が使われているとはいえ)朗詠によってではなく、役者の演技によって、その行為はミーメーシスされるのであって、そして、あわれみ(同情)とおそれ(恐怖)を喚起しながら、このような諸感情のカタルシス(浄化)を、その行為のミーメーシスはなしとげるのである。」

引用:青山昌文『芸術史と芸術理論』p72/ 原典:今道友信『アリストテレス全集』

「高貴な(高められた)行為のミーメーシス」が、あわれみとおそれを喚起して、その諸感情を浄化(カタルシス)する。ということだ。

ミーメーシスは、「模倣」という意味。真理を見えるようにする表現(芸術表現)と理解してもいいだろう。

つまり、悲劇において、観客が日常的に体験しているあわれみやおそれの感情を、高貴な表現に向き合うことで思い起こし、カタルシスによってその感情から観客自身が開放されることが、悲劇というタイプの劇のすばらしさである。ということだ。

あわれみやおそれは、不快な感情で、それから解放される過程で快感情を得られる。これは、単純に「落として」「上げる」という演出の問題ではない。観客は悲劇を見る前に、日常生活の中であわれみやおそれを感じているのだ。

少し話を飛躍させると、人は生活(人生)において、苦難を超えることである解放感を得られ、快感情を味わうことができる。

そこで、哲学のヒントとしては、

あわれみやおそれ、苦難や苦労は、人生にとってどんな意味があるのだろうか?

と問うことだろう。

【深く考えるヒント】

田坂広志『運気を磨く』p127

(いくらポジティブな意識をこころがけても、ネガティブな想念がそれを打ち消してしまう。)従って、問題は、表面意識と無意識の世界にあるネガティブな想念を、いかにして消していくかである。→つまり、悲しいからといって、喜劇で笑っているだけでは本質的な解決にならない?


写真:『アリストテレス』15c/ルーブル美術館蔵

© 2019 GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Mathieu Rabeau