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RELATIVITY

プラセンタ

2019.03.10 06:33

〈前置き〉

プラセンタとは、哺乳類の胎盤のことです。妊娠中の母体と胎児の臍帯さいたいをつなぐ器官で、胎児へ酸素や栄養素を供給したり、母体へ老廃物を渡したりする機能や、血液やたんぱく質をつくる、ホルモンを分泌する、などの働きがあります。最近、「海洋性プラセンタ」「マリンプラセンタ」「植物性プラセンタ」など、プラセンタと同じような名前の成分が宣伝されていますが、海洋性プラセンタは魚の卵巣膜、植物性プラセンタは植物の胎座から抽出した成分ですので、今回取り上げる、哺乳類のプラセンタとは異なります。


プラセンタの中でもヒト由来のものは、「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」とされており、医薬品成分ですので、食品に使うことはできません。健康食品やサプリメントに使用されているプラセンタは、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマのプラセンタで、ブタあるいはウマ由来のプラセンタエキスが多く使用されているようです。

 プラセンタ製品の販売サイト等では、「ウマの方がいい」、「ブタの方がいい」など、それぞれ、自社製品中のプラセンタの優位性を宣伝していることが多いですが、「どの動物のプラセンタが最も効果的か」を調べた文献は見当たりません。


プラセンタは動物の臓器ですので、感染のない健康な家畜から採取して衛生的に製造加工されていることなど、原材料や製品としての衛生管理がとても重要になります。そこで、日本健康・栄養食品協会(JHFA)は安全性を重視し、「プラセンタエキス」および「プラセンタエキス純末」の品質規格基準を設定しています。それによると、健康な家畜(ブタおよびウマ)の満期出産時に、後産として得られる食用の胎盤を用い、それを酵素あるいは塩酸などを使った方法により分解後、抽出工程を経て得られた液状またはペースト状で加熱殺菌されたものを「プラセンタエキス」、これを凍結乾燥、噴霧乾燥などの方法で水分を除去した粉末状のものを「プラセンタエキス純末」、それらを原材料として用いた食品を「プラセンタエキス含有食品」としています。

 細菌、加熱処理をしていないプラセンタが生プラセンタとして販売され、加熱処理済みのものよりも効果があるかのようにうたわれていますが、この生プラセンタは、JHFAの規格基準に合致していないことがわかります。製品を選択する際には、安全性を重視して選択することをお勧めします。


〈ディアナチュラの成分〉

サプリメントでおなじみ、ディアナチュラのプラセンタサプリです。プラセンタを十分に配合し、さらにコラーゲンやヒアルロン酸、ビタミン類が含まれているのが特徴です。


《総括》

インターネット上では、プラセンタエキスは、「更年期障害によい」「冷え性によい」「貧血によい」「美容によい」「強壮・強精によい」などといわれています。ヒトを対象にプラセンタエキスを食べた時の効果を検討した研究報告は、更年期症状に対するものがいくつかありますが、その他の効果に対するものは見当たりません。更年期症状に対する効果を検討した研究報告は、全て同じグループの研究者による報告で、研究の対象人数が少ないことや、試験デザインが十分ではないことが、報告者自身によって指摘されています。プラセンタを食べて、更年期症状の軽減効果が得られるかどうかは、今後、他の研究グループからの報告がたくさん出てきてから、判断できるようになると思います。

 プラセンタには、アミノ酸、ペプチド、たんぱく質、グリコサミノグリカン、核酸など様々な有効成分が含まれているとされていますが、それぞれの含有量は明確になっていません。また、プラセンタの中のどの成分が効果を発揮するのかも、明らかになっていません。プラセンタの成分の中には、健康食品やサプリメントとして口から摂取しても、消化管で分解される成分もあります。食べて意味があるのか、冷静な判断が必要です。さらに、プラセンタ中のアミノ酸、ペプチド、核酸などは、普段食べている様々な食材からも摂取していますので、食事からの摂取量がプラセンタから摂取する量に比べてはるかに多い場合は、わざわざプラセンタから摂取する意味はなさそうです。