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にゃんにゃん探偵チャーリーの冒険   ~ディスクール~・最終話『アルシーヴ』

2026.03.14 06:09

 今回は、このシリーズで展開してきた物語を総括してみようと思います。

 第1話では『山姥』という「捨てられた女神」。第2話では『鬼』という「まつろわぬ民」や「殺される聖王」。第3話では『狐』が象徴する「中世芸能民」。そして第4話では『動物報恩』とその背後にある「構造的差別」。

 これらはいずれも、表立って語られてこなかった、すなわち正史として記録されず、迫害されてきた人々の物語です。歴史からこぼれ落ちた、あるいは意図的に削除された事件は、寓話という形を借りて語り継がれてきました。それらを発掘し、現在の世界と比較検証することで、見えてこなかった真実が浮かび上がってきます。人間の行動パターンなど、結局はたかが知れているのですから。

 現在の世界情勢を見渡せば、イスラエルによるパレスチナへの虐殺や、米国によるイラク攻撃や、中東で繰り返されてきた軍事介入の背後には、優生思想や選民思想といった人種間の〝構造的差別〟が横たわっています。そこで行われているのは「まつろわぬ民」への弾圧や民族浄化であり、それはかつて「鬼退治」と呼ばれた行為の現代版に他なりません。

 私たちは、表立って語られてこなかった〝アルシーヴ〟を掘り下げることにより、人間の、あるいは権力者の愚かしさを知ることができます。それらを知ることは、私たちがいつの間にか組み込まれてしまっている権力構造から自由を求めるための、唯一の手段です。

 「知は力」であるはずです。

 ロバート・デ・ニーロやハリソン・フォードといったハリウッドの重鎮たちは、反トランプの姿勢を堂々と表明していますが、本邦の表現者の多くは沈黙を守ったままです。ネット右翼的な「大きな声」にかき消され、まともな意見や普通の人々の声が届かない現状には、かつての村落共同体における「村八分」を恐れているような趣さえ感じられます。

 今、日本では「スパイ防止法」の制定が危惧されています。もし言論が統制され、自分の言葉を発することが禁じられたなら、私たちはこれから起こる凄惨な事件をも寓話化し、メタファーの中に込めて語り継いでいくしかなくなるでしょう。

 けれど、まだ完全に希望が消えたわけではありません。

 絶望的な状況下で、当のチャーリーによる『動物報恩』的な何かが起こることも…… あるいは、あるのかもしれません。さてチャーリー、君の出番は近いのかな? あっ、どうも。岩崎(チャーリーの飼い主)です。