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「宇田川源流」【大河ドラマ 豊臣兄弟】 信長とお市の方の間にある本当の信頼

2026.03.17 22:00

「宇田川源流」【大河ドラマ 豊臣兄弟】 信長とお市の方の間にある本当の信頼


 毎週水曜日はNHK大河ドラマ「豊臣兄弟」に関して、適当な感想文を書いている。一緒に歴史を楽しむという感じでドラマを見るというのもなかなか面白いのではないか。単純に私にとっては連続しているドラマを見るのはこの大河ドラマだけなので、他のドラマに関しては何も見ていないので、何か続き物の創作物を見るのは、これだけということもある。

さて今回は、信長の京都上楽とお市の方の輿入れが描かれました。その内容を史実的に見てみましょう。

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の背景となる時代、織田信長が妹のお市の方を近江の浅井長政に嫁がせたのは、単なる政略結婚以上の、天下の趨勢を決める極めて高度な戦略的布石でした。

 当時の信長にとって最大の目標は、足利義昭を奉じて京都へ上洛し、室町幕府を再興させることで自らの権力を正当化することにありました。しかし、美濃を攻略したばかりの信長が尾張・美濃から京都へ向かうためには、どうしても北近江を支配する浅井家の領土を通過しなければなりませんでした。もし浅井家が敵対すれば、上洛軍は背後を突かれる危険にさらされます。そこで信長は、浅井長政と同盟を結ぶことで、京への「軍事回廊」を安全に確保しようと考えたのです。

 この婚姻において信長が提示した条件は、当時の常識からすれば異例なほど浅井側に譲歩したものでした。浅井家が古くから同盟関係にあった越前の朝倉家に対して、信長が軍事行動を起こす際は必ず事前に相談するという約束を交わしたとされています。これは、信長がいかにお市の方というカードを使い、長政の若き野心とプライドを尊重しながら、自らの上洛ルートを盤石なものにしたかったかを物語っています。お市の方は、戦国一の美女と称されるその容姿とともに、織田と浅井という二つの勢力を繋ぎ止める、平和の象徴としての重責を担って小谷城へと入りました。

 信長はこの同盟によって、東の斎藤氏(美濃)を滅ぼした後の後顧の憂いを断ち、一気に京都へと駆け上がることが可能になりました。実際に永禄11年の上洛作戦において、浅井長政は信長の援軍として活躍し、織田軍の快進撃を支える重要な役割を果たしています。この時期の信長にとって、浅井家は従属的な家臣ではなく、対等に近い「義弟」の家門であり、共に新しい時代を切り拓くパートナーであるという構えを見せていました。

 しかし、この戦略的な婚姻によって築かれた蜜月関係は、信長が朝倉家への侵攻を開始したことで、お市の方を悲劇の渦中へと突き落とすことになります。信長の戦略眼が生んだこの同盟は、上洛という大目的を達成させた一方で、後の浅井・朝倉連合軍との対立、そして姉川の戦いへと続く、凄惨な抗争の序章でもありました。

<参考記事>

【大河ドラマ豊臣兄弟】第10回「信長上洛」回想 “天下布武”は通過点 真の目標は天下一統 信長と市の「きょうだい」物語も熱く

2026.03.15 美術館ナビ

https://artexhibition.jp/topics/news/20260315-AEJ2859601/

<以上参考記事>

 正直な感想として、織田信長(小栗旬さん)の登場している場面の侵攻があまりにも早いということを感じています。実際に、前回は竹中半兵衛(菅田将暉さん)の調略から岐阜城の攻略迄一気に進んでいて、今回は、明智光秀(要潤さん)と足利義昭(尾上右近さん)が岐阜に来訪してから、京都上洛まで一気に進みました。間にはお市の方(宮崎あおいさん)を北近江の浅井長政(中島歩さん)に嫁がせ、今回はほとんどなかったのですが、六角承貞を滅ぼし、そのうえで三好三人衆を追い払って(正確にはまったく戦うことなく逃げてしまい、その三好が戻ってきて来週の本国寺の変につながるのですが)足利義昭を第十五代将軍の座につけたということになります。そのうえで天下の戦国大名に手紙を出し、京都に将軍の拝謁をするように命じたということになります。

さて、ではこの内容を通して今回のテーマは何でしょうか。

今回のテーマは、「市の覚悟」ではないでしょうか。もちろんお市の方を演じた宮崎あおいさんの素晴らしい演技によって素晴らしい内容になっているのですが、このドラマの中では、お市の方は織田信長の参謀役であり、そして最も信頼できる相談相手であったということになります。そもそも、「最も信頼できる」というのはどのようなことでしょうか。もちろん様々な人間関係がありますが、実際に、「信頼できる」というのは、お互いがお互いの考えていることをわかり理解し、そしてその理解の上で行動できるということ(もちろん反対するということではなく、理解してサポートするということ)になります。その意味では、織田信長にとって、その織田信長の考えを理解する数少ない人の一人がお市の方であったということになります。

もちろんお市の方は「自分が男だったら」ということを小一郎(仲野太賀さん)に言い、そのうえで、信長の役に立つことができる政略結婚は、むしろ彼女にとって歓迎すべき節目でした。「この婚礼は(私の)初陣じゃ。これほどめでたきことはない」という言葉も文字通り本当に信長の役に立つための初陣と思ったのでしょう。

そして、ドラマとして伏線もしっかりとまいてあります。何しろ、小谷城を去る柴田勝家に対して「本当ならばあなたのような人の嫁になればよかった」というようなことを言うのです。まさにその内容が後に本当にお市の方は柴田勝家と結婚することになり、そして北の庄の城で最後を迎えることになるはずなのですが、ドラマではどうなるのでしょうか。

人の信頼というのは、まさにそのようにして行われる。一方、明智光秀と織田信長の間には、始めからそのような信頼は全くなかったということになります。そのことが今回よく表れていたことになるのではないでしょうか。

ある意味で、そのような対比をしながらドラマをうまく書いているのではないでしょうか。