牡丹
おはようございます。
民藝と発酵をモノサシに食を通して健やかな暮らしを提案する、古民家セレクトショップ&カフェ『テマヒマ』、プロデューサー,バイヤーの太田 準です。
一昨日取材頂いたのは、今年7月に増補改訂版が出る某民藝系書籍で、著者は萩原健太郎さん。ライター兼フォトグラファーで予定を超えてかなりのロングインタビューとなりました。お店を始めたきっかけを聞かれて、一つは会社の方向性や自分のあり方への違和感とその反動で、ということ。もう一つは鳥取の岩井窯、山本教行さん房江さんご夫妻との出会いを挙げました。まだ趣味で窯元さんを回っていた頃、ご自宅にお招き頂いたり、クラフト館に泊めて頂いたり、うちの奥さんが毎月房江さんの料理教室に通ったり。「暮らし」の豊かさということについて考えるようになったのがきっかけです。ちなみに8年前に書いたブログ、書き始めて2日目のブログにも書いていましたが、11月に会社を辞める決断をして、12月にはご夫妻にその報告に行きました。
ちなみに、物販と飲食を併設する店というアイディアもまた岩井窯さんの影響。工房・売店・参考館・喫茶HANAがあるクラフト館岩井窯。モノを観る、モノを買うだけでなく、器を実際に使って、体感することが出来ること。岩美町のあの広いスペースを都心部でコンパクトに実現したらどうだろう?という構想。鳥取民藝美術館、鳥取たくみ、たくみ割烹の3つが並び建っているというのも同様ですね。
岩井窯さんからの影響を話した時に萩原さんからは、富山の林ショップさんや飛騨高山のやわい屋さんとか山本さんの影響を受けた人多いですよね?というリアクションでした。沖縄旅で金城次郎館の松井健さんに話した時は「山本さんの人間力にやられた一人やね」と言われました。
昨日、大阪日本民芸館で土曜日から始まったばかりの「眼のわざ 手のわざー山本教行•西洋工芸コレクションよりー」展に行ってきました。比べる必要もありませんが、ここ数年観に行った展示の中でも最高だったと思います。最後に塩窯の記録映像(90分強)放映があったこともありますが一番滞在時間も長く、濃密な時間、空間でした。実際にいつもの展示に比べて物量も多かったと思います。一階は山本教行さんの膨大な蒐集品の中から西洋工芸に絞った展示(眼のわざ)。山本さんのコレクションは洗練されていてどこか可愛らしさを感じます。2階はそんな蒐集品を参考(≠模倣)に、咀嚼して生まれた山本さんの60年の作陶の記録(手のわざ)。1人の作家の作品とは思えないほどのバリエーションの広さに驚かされます。共通するのは「洗練」でしょうか。前述の萩原さんがテマヒマの品揃えをご覧になって「洗練」ということを仰っていて、岩井窯さんの器こそ扱いは無いもののそこにも山本さんの影響?と展示を見ながら思ったりもしました。
展示も山本さんご自身が手掛けられたそうですが、国を超え時代を超え共鳴し合っていて、大阪日本民芸館のあの大きな空間だからこそとても生き生きして見えました。鳥取でも観ていたモノがあるはずですが、モノの印象を超えるぐらい山本さんとの会話・時間が感動的でどうしてもそちらの印象の方が残ってしまいます。今回は集中して見れることが出来ました。ちなみに今回の展示は撮影OKでした。インスタにアップもしましたが、写真を撮り過ぎてなかなか選ぶのが大変でした。そしてなかなか写真では魅力が伝えきれていない気がします・・・。この展示は会期は7/14迄ですので是非お運び下さい。僕もまた行きたいと思います。
さて、テマヒマでは出版されたばかりの山本教行さんの「眼のわざ」、「手のわざ」をお取り扱いさせて頂いています。編集は前著「暮らしを手づくりする 鳥取•岩井窯のうつわと日々」同様澁川祐子さん。前者は山本教行さんの蒐集品の数々を紹介していて、後者は山本さんご自身の幅広い作品を紹介しています。“わざ”は技であり業であるというコピーが痺れます。「眼のわざ」の表紙の朝鮮の民画の中の牡丹と、「手のわざ」の表紙の山さんの掻き落としの牡丹文の器とが象徴的なように、山本さんにとって蒐集と作陶は不可分で、蒐集したモノを参考にして、咀嚼して、作品へと昇華してらっしゃいます。
「眼のわざ」では一点一点山本さんによる解説があります。一点一点のモノに文字通り「物語」があって山本さんのモノへの愛、蒐集への執念が溢れています。ご本人からも聞いたことのある、個展の売上全部をつぎ込んで買ったスリップウエアとかエピソード。でもやって来るべくしてやってきた、集まるべくして集まってきた、そんな気がします。
「手のわざ」では作品とともに語られる山本さんによるモノ作りの考え方が滲み出るエッセーも必読です。2冊をお手元に置いておかれるのをおススメします。是非お手にとってご覧下さい。
テマヒマは昨日今日火曜日水曜日で定休日です。
明日木曜日11時オープンで皆様のお越しをお待ちしております。
それでは好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。
今日も好い一日を。