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美術館・博物館の採算問題について

2026.03.18 13:00

そもそも美術館・博物館は「展覧会ビジネス」だけの存在ではなく、研究・教育の施設(定義)である。展覧会チケット収益(+物販利益)だけで測るのが間違いというか、偏っている。

美術に携わる者として「展覧会収益」のみで測るべきではない、という事は言いたいが、「ではどうすれば良いのかの提案」が難しい。

「文化というかけがえのないものを大切にしていく、という理想」は皆持っている。でもどうしたら良いのかは小さな戦術しかないのが現状だろう。


貴族のコレクション(ヴンダー・カンマー、キャビネット・オブ・キュリオシティーズ、脅威の部屋、美術品や工芸品や標本や学術資料を貴族同士で見せる部屋)を一般公開(着想は15世紀くらい)する「近代の美術館・博物館の形式」はルーヴルが1793年からだから、たかだか200年位の事業、日本で活性化したのもここ100年程度の事業なので、その仕組みをどうするかわからなくてもしょうがない。

戦後、高度経済成長からバブルまで、各地に美術館や博物館を建てたは良いが、どう維持していくかは見切り発車だったのだろう。

フランスでもイタリアでもイギリスでもアメリカでもスペインでも、美術館や博物館に力を注いでいる事はわかるが、約200カ国ある世界のどれだけの国がそうであると言えるだろう。

地域の現状や習慣の差などもあり、先進国の一部の話をどこにでも応用できるわけではない。


何事も、「政治や旧世代や体勢側に文句を言う・敵対する事=正義、という幼稚な正義気取り」の脳内快楽物質中毒は避けるべきだ。

大人だからこそ、自分の実力で出来る事で社会に価値提供・課題解決、前向きな提案とサポートに尽力すべきだと思う。

(広告業界にて企業のお金でカルチャー展示を何度かディレクションしてきた身としても、まずは人が喜ぶ価値提供及び現実的な課題解決の大変さを知っている分、安易な事は言えないのだ)


とはいえ、収蔵品の保管だけでもランニングコストは大きいし、公共(国立や地域)の施設は赤字運営も見込んでいるし、企業や学校の事業でも採算取れなきゃ永続できないし、宗教運営の所はさておき、これ以上お上にお金を求めても税率上げる等の可能性あるし。

美術史(西洋美術史)でも、美術は長年、王侯貴族の発注や宗教備品的な側面で成り立つ産業であり、近代以降の表現や自発的創作に価値や居場所を作るには、「コンテクストを踏まえた美術史的価値か、大衆人気の商品的価値」が必要だ。

美術史的(博物史的)価値があっても、大衆人気が無ければその展覧会の収益は低いし、大衆人気(例えば美人画、今の萌え絵等)あってお金は動いても研究・教育的に価値が低いとされるものもある。

(※個人の魂の発露としての創作・表現にはそれだけで価値があるが、社会的・ビジネス的な視点で今回は記している)


義務教育では、郷土の博物館で名産品や武家の歴史的な品を遠足で見る機会はあるだろうが、ピカソを観に行く、専門博物館へ行く、という体験は少ないだろう。

教科書の延長(地理、歴史にまつわる博物史)、写実的巧さ(風景の写生等)か工作キットで手順通り(試行錯誤なく完成図もあるもの)作る美術の授業では、観て感じる事、美術史やコンテクストで読み解く面白さ、等は触れる事はない。

例えば私は興味がないスポーツ観戦には行かないし、それと同じ様に、美術に興味ない人は時間とお金のコスト払ってまで美術館に行く動機がない。(子ども向けに博物館行くとかはあるだろうが)

それで興味がないまま忙しい大人になり「美術館・博物館へ行こう」と自発的に行く人は少数派だろう。


日本人は美術館によく行く方だと聞く。海外で一部の先進国の美術館・博物館のある都市部以外は、あまり行かないらしい。

現に、美術館へ行くと混んでいる(高齢者が多く見えるのは休みがあるかどうかだと思う。現役世代は忙しすぎるのだ)。(博物館も同様な感じがする)

お金持ちのパトロンシステムは企業がやっているし、サブスク会員的な会費集めも結局美術や博物館に興味ある層しかターゲットがいないだろう。


結局、今私にできる事は、美術館や博物館の面白さを伝えることしか、思いつかないな。