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桜楓会 Ohfukai Society

変容する植物 その2 「グロテスク」

2026.03.25 18:37

暴君で名高い第5代ローマ皇帝ネロは、ローマ市内に「ドムス・アウレア」(黄金宮殿)と呼ばれる広大な宮殿を建設しました。ネロの死後、その痕跡を消し去るため歴代の皇帝たちは宮殿を埋めて上に新たな施設を建設したため、古代の文献に言及はあるものの、全容は知られていませんでした。
15世紀末、コロッセウムにほど近いオッピオ丘斜面にトンネルを掘って宮殿内部を見ようとする試みがなされ、そこで発見されたのが見事なフレスコやモザイクの装飾でした。ミケランジェロ、ラファエロなど当代きっての画家たちは競ってここを訪れ、その意匠を自作に取り入れたのです。建築モティーフ、植物、動物、人体などが自由に組み合わされた奇想的な装飾は、「グロテスク」と呼ばれました。これはイタリア語で「洞窟」を意味する「グロッタ」(grotta)に基づき、地下に埋もれた宮殿を「洞窟」とみなしたことに由来します。1508年からヴァティカーノ宮の壁画制作に携わっていたラファエロとその協力者ジョヴァンニ・ダ・ウディネによるグロテスク装飾は、ルネサンス期の古代ローマ美術への関心を示す代表作です。


ドムス・アウレアのグロテスク装飾(AD64 – 68年)

ラファエロのロッジア、ヴァティカーノ宮


ラファエロ工房、グロテスク装飾(ヴァティカーノ宮ラファエロのロッジア、1517-19年)

ビビエーナ枢機卿の小ロッジア、ヴァティカーノ宮

ジョヴァンニ・ダ・ウディネ、グロテスク装飾(ヴァティカーノ宮ビビエーナ枢機卿の小ロッジア、1516-17年)