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幻燈館

「殴り込み艦隊」

2026.03.26 07:25

高倉健さん主演の戦争映画で、戦後の自衛隊の戦艦やミニチュア特撮で表現している。

原作は日活の「零戦黒雲一家」(1962)と同じようだ。

松竹配給の「駆逐艦雪風」(1964)と似たような雰囲気で、須藤健さんや柳谷寛さんなどは両作品とも出演している。

駆逐艦の艦長役は田崎潤さんで、「海底軍艦」の神宮寺大佐とはまた違ったタイプの艦長を演じている。

本作での田崎さんはほぼ準主役と言ってよく、彼の代表作の一本になるだろうし、儲け役だと思う。

儲け役といえば、料亭の女将役の清川虹子さんも出番は少ないながら印象に残る役である。

和田二水役の水木襄さんは、まだこの当時はテレビの「忍者部隊月光」(1964)の時ほど太った感じがなく、ほっそりして可愛らしい。

戦争ものとは言え、前半は駆逐艦内部に棲息する破天荒なキャラクターたちの紹介が面白く描かれており、戦闘シーンがなくても飽きさせない。

戦闘シーンは、自衛隊艦、ミニチュア特撮、戦争記録映像などを織り交ぜて表現している。

ラバウルの日本人街を三機の敵機が銃撃と爆撃する所は、合成とセットのタイミングがうまく、特撮の名シーンとなっている。

興味深いのは、劇中、南兵曹が歌っているのは、ペギー葉山さんが1959年にヒットさせた「南国土佐を後にして」の歌詞なのだが、この歌は元々「歩兵第236連隊の歌」らしいので、映画公開の前年にヒットした曲を劇中で歌わせ、観客が最近の流行歌じゃないか!と突っ込みたくなったところで、由来を劇中で披露して感心させる趣向なのだろう。

波島進さんが珍しく憎まれ役を演じているのが貴重な気がする。

作品としては、なかなかの佳作になっていると感じる。

【以下、ストーリー】

1960年、東映、萱沼洋「駆逐艦黒雲一家」原作、北村勉脚色、島津昇一監督作品

軍艦マーチと戦争中の記録フィルムを背景にタイトル

スタッフ、キャストロール(自衛隊艦らしき実写映像とミニチュア特撮が混合した背景)

昭和17年末 ラバウル(ラバウルの絵)

日米海戦後ー、わずか一年にして、日本海軍初戦の華々しい戦果はすでに夢、南方ソロモン戦線はガダルカナルの攻防をめぐって、次第に米軍の厖大な物量に圧倒されつつあった。(自衛隊艦を使った役者の演技を背景にテロップ)

港で郵便物を駆逐艦「黒雲」に運ぶ小舟に乗っていた松本二水(柳谷寛)が呑気にだんちょね節を歌っているので、同乗していた大野兵曹(関山耕司)は嬉しそうに調子を合わせていたが、同じ船に乗り合わせていた新入り制服組が、うるさい!貴様、たるんどるぞ!と叱るが、松本は、何をガミガミ…、なんとしょっと?と返し、からかったので、なんだこの野郎!この馬鹿者!と言いながら、松本の胸ぐらを掴むと顔を殴りつける。

それを見かねた大野が、おい新入り!やめんか!と立ち上がって注意したので、相手は殴ろうと身構えるが、慌てるな、黒雲には黒雲の掟がある、歴戦一度も負けたことがない黒雲だ、新入り提灯は大人しくしていろと大野は相手の制服についた腕ワッペンを引っ張って言う。

相手は、調子に乗りやがったな、じゃあ貴様が相手だと言いながら、制服を脱ぎ始める。

一丁殴ったろかいと大野が言いながら隙を見せると、相手が先に殴りかかってきたので、拳骨の応酬が始まる。

今まで無視してきたが流石に見かねた石山中尉(高倉健)が、2人の間に割って入り、よさんか!と言いながら話そうとする。

しかし2人が喧嘩を辞めないので、馬鹿野郎!と言いながら、石山は制服召喚の方を海に突き落としたので、落っこちやがった!と松本は驚く。

その後、小舟は戦艦に近づいたので、乗っていた兵隊たちが嬉しそうに声をかけてくる。

ひげの 先任伍長(山本麟一)は笛を吹いて、騒いでいた兵隊たちを黙らすと、良し!郵便物を受け取れ!と指示する。

石山中尉が軍艦に乗り込み、その後から郵便物を持った松本が乗り込むと、船員たちは待ってました~!と大喜びで郵便物を奥へ運ぶが、それを見た石山中尉に、石山注意でありますかと水平が敬礼して聞いてきたので、そうだと答えると、私は和田二等水兵(水木襄)であります、周囲の担当従兵を命ぜられましたと敬礼して挨拶してくる。

そうかと石山が答えると、お持ちしますと言って石山のカバンを受け取ると、修兵は初めてでありますので、よろしくお願いしますと頭を下げてくる。

良しと答えた石山も、俺だって初めての一戦勤務だ、お前からもいろいろ教えてもらわなきゃならんこともあると告げる。

部屋に案内される途中、下着姿の男が浪速節を唸りながらすれ違ったので、石山はその後ろ姿にちょっと睨みつける。

修兵がここでありますと部屋を教えたので、中に入った石山は、石山中尉、ただいま着任しましたと、部屋にいたものたちに挨拶をすると、一斉にオッスと返してきたので、石山は面食らう。

さらに、こらっ!黙っとる奴があるか!と砲術長(安部徹)が怒鳴ってきたので、隣に座っていた水雷長(中山昭二)が、鉄砲さん、お客さんにいきなり雷はいかんなと注意すると、いやあと砲術長は照れる。

立ち上がった水雷長は、私が水雷長の栄大尉だ、みんなを紹介すると言い出し、砲術長熊本大尉、渾名は雷だ、寺田大尉(花澤徳衛)、君の直属の機関長だ、航海長山下中尉(増田順司)、軍医長北村中尉(殿山泰司)、通称先生と呼んでいると名前を教えてゆく。

よろしくお願いしますと石山が頭を下げると、機関長付き!ホテルからの転勤だと本艦は辛いぞと砲術長が言ってくる。

ホテルですか?と石山が聞くと、大和ホテルに武蔵屋旅館、我々は戦艦大和や武蔵をそう四ドルんよと水雷長が教える。

おい、あそこじゃ、飯食う時でもあんな格好しなきゃならんそうだなと砲術長が石山の方を見ながら、機関長に話しかける。

雑巾ごたる神宮着て食堂へ飛び込んでがなられたそうじゃと愉快そうに機関長は答える。

しかし1ヶ月くらいでホテルを追放されたぐらいだ、きっと見込みのある男らしいぞ、機関長…と砲術長は言う。

あげな天然記念物みたいな船をおん出て、良かったたい、運の良い男じゃと軍医長が将棋を指しながら言う。

水雷長も笑い出し、これはまたきついことを言いますなと言う。

将棋でピンチになった軍医長は、きつか!とぼやくが、俺たち駆逐艦乗りから言わせるとだな、あの7万トン6サンチ砲と言うのじゃ今や無用の長物だ、天然記念物とでも言うほかないんだと砲術長が指摘すると、とにかくあれは屑鉄の山じゃと軍医長も続ける。

砲術長、あれをぶっ潰すと駆逐艦何杯くらいできるかのう?と聞くと、先生、なかなか辛辣だなと水雷長が笑いながら指摘する。

それまで黙って聞いていた石山は、しかし大和の悪口を叩いているだけでは、現在の戦況は立ち上がらんと思います、どうすべきか、我々みんなで真剣に考えるのが大事だ思いますと言い返す。

すると、砲術長が、だまれ!貴様自分が参謀とでも思ってるのか!と怒鳴りながら立ち上がる。

我々みんなとは何だ?我々みんなとは!駆逐艦は怠けているとでも言うのか!と言いながら石山に迫ってきたので、そうは言っておりません、しかし…と石山が反論すると、このままじゃな、我々駆逐艦を輸送船代わりに、立民輸送や物資を補給にまで駆り出されとるんだ!いわば丸通だ!今じゃこのソロモンも駆逐艦の蟻地獄だぞ!と砲術長は説明する。

アメシャンは、東京急行便と言っとるらしいと軍医長も言う。

そうだ、世界中の残存魚雷が夜泣きしとるよと砲術長が言うと、わかっとりますと石山も答える。

すると砲術長が、貴様、真っ赤な小便出したことがあるか?と聞いてくる。

何週間もぶっ続けに空襲と砲撃、魚雷攻撃に身をさらした経験なんかあるまい?と挑発してくる。

すると石山は、我々軍人は戦局はそれを命じればやむをえないと思いますと答える。

バカ言え、俺たちだって生身の人間だ、作戦部の無能は貴様如きはわかってないよと砲術長は主張するので、いや、わかっております!わかりすぎるほどわかっております!腹の立つことだらけです、だから私は…と石山は言い返したので、だからもクソもあるか!と砲術長は石山の胸ぐらを掴むが、鉄砲さん!雷は禁制だぞと水雷長が止めに入る。

部屋の壁には、「東郷平八郎」の写真額の隣に、「館内禁制 一切の死闘を厳禁する 右に違背する者には金太郎訓練を実施する 艦長」と言う張り紙が貼ってあった。

栗雲の掟をお忘れになっちゃいかんなと水雷長は笑う。

それを見た砲術長は、いやあ、金太郎訓練はくわばらくわばらですよと頭を掻いて笑いながら、石山のそばから離れる。

機関長付き、変わった連中ばかりだが、そのうちみんなの良さもわかるだろうと、水雷長が石山を慰める。

その頃別室では、松本二水が持参した郵便物を個別に読み上げ、受取人に渡していた。

次は野呂金太郎様…と松本が宛名を読み、差出人の名を見て、その時、彼女は言いました…と小芝居をやったので、集まっていた水平たちは大笑いする。

すると、その手紙を奪い取った野呂兵曹(曽根秀介)が、浮いた話じゃねえやい、ガキが3人もいる糠味噌の母ちゃんからだい!といったので、またその場にいた水兵たちは笑い出す。

機銃分隊、和田平助殿!ひさよりと松本が読み上げると、和田が嬉しそうに姿を現したのえ、坊や、ママのおっぱいの匂いだよと言いながら松本は手紙を渡す。

そこに降りてきたヒゲの先任伍長が、聞け!と叫んだので、全員沈黙する。

紹介する、本日中支長公立戦より本艦に転属となった南兵曹であると先任伍長が言った背後に立っていたのは、先ほど内火艇から海に突き落とされランニングシャツ姿になった南兵曹(直木明)だった。

室内にいた大野兵曹は気まずそうに顔を背けるが、おい熊公!当分機関課に配属するから面倒みちゃれと伍長から指名されたので、面白くなさそうに、はい!と答える。

その直後、また松本が手紙の宛名を呼び始める。

寺田機関長に案内されて部屋を移動していた石山は、道の絵じゃちいっと変わっとるけん、驚かんことぞ、ばってん、海戦の名人じゃと機関長から教えられる。

部屋の前に来ると、寺田大尉、入ります!と声をかけ、カーテンを開いて部屋の中に入ると、艦長、石山中尉、只今着任しましたと報告する。

俺は艦長の剛田中佐だとベッドの上にあぐらをかき、うちわで仰ぎながら、水虫の手当てをしていた下着姿の男こそ剛田艦長(田崎潤)だったと知り、石山は愕然とする。

石山中尉です、先程は存じませんで…と、石山は頭を下げ、先程の非礼を詫びる。

剛田は寺田大尉と呼びかけ、多大の官僚から君に来てくれ言うとったぞと告げる。

昨日の至近弾でやられたタービンの検査に幸田くんが来るので、君も立ち会ってくれ、奴さん、内地開港とラバウル脱出を狙ってきりきりまいしとるんだと剛田が言うので、ところがそれが一向に上手ういかん、運の悪か、運の悪かの電波んでしたと機関長は苦笑するので、まあそう言うな、こんな蟻地獄みたいな戦場だ、神経衰弱になるのも無理のない話さと剛田は言う。

じゃあ、行ってまいりますと機関長は礼をして出ていったので、石山だけが部屋にもコルト、ベッドから立ち上がった剛田は、その白手袋は何だ?戦場ではそんな儀礼はいらんぞと指摘してくる。

石山は、はっ!ここはホテルではありません!と答えたので、さあ、これを飲んで、親分、子分の盃だ、今日から君の命は俺が預かったんだからなと言いながら、剛田はウィスキーの瓶とコップを差し出してくる。

石山も、はっ、お願いしますと会釈し、剛田は、しかし暑いな~と言いながらコップを渡しながら、いつまでも与礼を着とらんで裸で座ったらどうだ?と勧める。

失礼しますと言いながら服を脱ぎ始めると、石山中尉は駆逐艦は初めてか?と剛田が聞くので、はい、初めてでありますと石山は答えると、居心地は良いぞと剛田は教える。

しかし少し規律がたるんどるようでありますが?と石山が指摘すると、たるんどる?と剛田が答えたので、その点、私の部下には十分間t区するつもりでおりますと石山が言うので、まあ、たるんどるかどうか、おいおいわかってくるよと剛田は答える。

しかし艦長!と石山が反論しようとすると、それより君は何でこんな駆逐艦に飛び込んできたんだ?と剛田は聞く。

実戦の経験はありませんでしたが、第一線勤務は私のかねてからの希望でありましたと石山は答える。

すると剛田は、嘘つけ、飛ばされてきたんじゃろうがと言い、笑いながら立ち上がって、手紙を取り出し、大和ではしばしば副長の命令に反抗し、その前は繰り返しだったとその内容を読み上げ、笑いながら、謹慎をくらっとるなと指摘する。

石山は正直にはあ…と答えたので、まあ、そりゃええ、ところで、どうして前線に行きたいなんて気を起こしたんだ?と改めて剛田は問いただす。

石山は、はい、私は軍港に行って目の当たりに参謀や高級士官のファイターぶりを見せつけられて…と言うので、評価を一発やったんか?と剛田は聞く。

はい、派手な勝ち戦の時には勲章や軍港にありつこうとしたくせに、今じゃまるっきり…。この調子では戦争に勝つどころか、戦争を続けることすら難しいと思います。

あんなやつの尻を叩いたところでどうにもなりゃしないよと剛田が指摘すると、そうであります、自分は少なくとも軍人である、軍人の道に徹すべきである、自分自身戦場に出て、体当たりで生死の問題に対決し、国を守る真実を示すべきである、これが人の道でもある、そのためには厳しい統制と厳粛なる規律を…と石山が力説していると、良し!貴様の言うことはよく分かる、しかしまだ若いな…、上着は脱いだが、まだ裸にはなっちょらんと剛田は指摘する。

裸?と石山が聞き返すと、日本海海戦の直前に、木内機関総監が東郷司令長官の逸物をギューっと握った、だら~っとしとった、よかよか、この一戦は勝ちじゃ、これは有名な話だな?と剛田は言う。

危機に臨んだ時に我々の球は縮み上がる、そいつをグーっと伸ばしてやらんといけん、その余裕が明快なる判断を生んでくれる、戦争は理屈じゃない、鎧兜を脱いで生身でぶつかるしかないんだ、実戦のカタログはどこにも売っちゃいないからなと剛田は説kて、また笑い出す。

カタログですか?と石山が聞くと、そうだ、さ、もっと飲めと剛田はウイスキーを勧める。

松本二水は、自分の息子が書いた父親の絵を見ながら、上手く描いたもんだな~とニヤついていたが、春子~!俺の手紙はないのか?俺かて彼女いるんやでと水兵(岡部征純)がやってくるが、けっ!のぼせるな!ジャガイモ鉄板に手紙が来るはずがない!と松本が無視すると、そんなことあらへんわ、良う見とくんなくれやと水兵は訴えてくる。

なんぼ言っても、ねえものはねえよと、癇癪を起こした松本が立ち上がって文句を言うと、郵便袋を逆さに振って見せるが、その時一通の手紙が落ちたので、水兵は空見ろと言ってそれを拾い上げるが、別人宛だった。

それを奪い取り宛名を見た松本は、あらら、あららのら、ラバウル松の家にて、タカより…と言うと、はえ公、出鱈目言うなよ、ラバウルからラバウルへ、松の家の若女将からだって言うのかよ?

この手紙、散々あちこち回って苦労してきたんだと説明した松本は、お前とならばどこまでも~おてて繋いでいそいそと、ちょうど時間となりました♩と突如即興のなにわ節のようなものを披露し出し、相場にいた兵隊たちが調子を合わせる。

そんな中、お前、いい加減にしろ!と怒鳴ったのは、新任の南兵曹だった。

一瞬にみんな黙り込むが、大野兵曹だけは松本に、ほっとけ、ほっとけと指示する。

松本二水も、場違いな人間が飛び込んできたもんだなと聞こえよがしに言うので、何を!このやろう!と南兵曹が飛んできて、また松本を殴り飛ばす。

よせ!と大野が南を突き飛ばすと、やったな!さっきの続きと来るか?柳沢軍隊から陸戦を流して歩いた神様の南を知らないな!と南も興奮して大野を突き飛ばしたので、あっという間に喧嘩が始まり、そこにいた水兵たちは、大野、がんばれ!と声援を始める。

そこに来たのが先任伍長で、呼び方やめ!と命令したので、水兵たちは、喧嘩していた大野と南を両方とも押さえ込んでやめさせる。

石山が自分の部屋に戻ってくると、和田二水が手紙を読んでいたので、ラブレターか?と揶揄うと、いいえ、母からですと和田は律儀に答える。

会いたいだろう?と石山が聞くと、はあ、母親が1人きりなもんですからと和田は答える。

先任伍長は、金太郎訓練の許可ばお願いします?と艦長らに頼みに来たので、何やりゃ良いんだ?と水雷長が聞くと、この石山とか言うやつに来た女子の手紙ですが…と先任伍長は封筒を手渡す。

そうかと言いながら手紙を受け取った水雷長は、中身を読みながら、石山と言う奴を呼べと命じると、おかしな手紙だなといい、艦長、ラバウルの松乃屋の若女将さんからですと言って剛田に手渡す。

しかし、そりゃおかしいですな?石山は今日着任したばかりですがね~?と砲術長が横から口出しする。

そこにやってきた石山が、何か御用ですか?と聞くので、君は松の家のたかさん知っとるのか?と水雷長が尋ねる。

石山は、いえ、知りませんと答えると、これが原因で下士官が喧嘩をおっ始めたんでと水雷長が手紙を見せて教える。

自分で開けて読んでみ?と剛田がが命じるが、手紙の裏面に書かれた「タカ」…と読むと、知らない女からの手紙は読む必要がありませんと拒否する。

それを聞いた軍医長が、ああ、勿体なか、ラバウル一の美人ばい、あんた…と言う。

若い奴は羨ましいよ、女にモテてなあと砲術長がまぜっ返す。

すると剛田が、良し!金太郎訓練を実施すると言い出したので、上官たちは、はっ!と答える。

良いか?南兵曹、本館ではビンタを頼り、一切のリンチ及び人を禁じられとる、全ての懲罰と争いは、金太郎訓練という競技を持って裁かれる、正々堂々勝つように努力せい!と、先任伍長が肝斑状に呼び出した南と大野を前に説明する。

南がはいと答えると、これが黒雲の掟じゃと先任伍長は言い、ええか?ではこれより金太郎訓練を実施する!と宣言する。

そして、おおい、野呂金!野呂金はおらんか?と先任伍長は、野次馬の中を探す。

やがて奥から金太郎に仮装した櫟木が「金太郎訓練」と書かれたまさかりを担いで登場したので、ええか南、これから2人ともクマになるんじゃと先任伍長が説明する。

31貫の野呂金兵曹、16貫のまさかり…、合計…と先任伍長が言うと、すかさず47貫!と大野が答えたので、そう!それがまたがり、簡単同じような分なんで愛するか、それによって勝敗を決める!と先任伍長が言うと、懐中時計を取り出して時間を見る。

南はまだ新人だから、熊公から先に回したいと言うので、はいと答えた大野は四つん這いして熊になったので、その上に金太郎役の野呂金がまたがる。

先任伍長が、よ~し、始め!というと、松本二水が太鼓を叩き出し、それに合わせて野次馬水兵たちが、まさかり担いだ金太郎~♩と童謡を唱和しだす。

そして、金太郎役の野呂金を載せた大野兵曹は、甲板上を進み始める。

これを艦橋部分から艦長らとともに見ていた石山は、これは変わった懲罰法ですなと感心しながら、思わず笑いだす。

館内の規律を守るには何らかの懲罰が必要だ、やられるものの身になってみいと剛田艦長は言う。

金太郎懲罰が行われている中、和田二水ら修兵は愉快そうに洗濯に勤しんでいた。

やがて、大野がへたばって倒れ込んだので、良し!最終タイム3分47秒!と先任伍長が時計を読み上げ、南兵曹、熊になれと指示する。

しかし南が躊躇しているので、何をぐずぐずしとる、早くやらんかい!と先任伍長は急かし、野次馬の中からも、早くやれよと声がかかる。

そんなヤジに押される形で、南も渋々その場に四つん這いになる。

南兵曹の金太郎懲罰が始まった途端、通信室が慌ただしくなる。

空襲警報発令!と通信員が伝声管に呼びかける。

配置につけ!との号令と進軍ラッパを聞いた水兵たちは一斉に持ち場に走る。

洗濯をしていた和田二水も、慌てて持ち場に帰る。

配電盤良し!と聞いた大野は、良しと答え、石山も緊張する。

電話を聞いた部下も、第2課配置良~し!第1、第2課配置良~し!と大野に報告する。

大野は隣で構えていた石山に、機関課配置良し!と報告、石山が良し!と返事をすると、大野は伝声管にも機関課配置良し!と繰り返し、相手方の返事を聞くと、艦長了解!と石山に伝える。

双眼鏡を除いていた監視員は、飛行機編隊200度、向学3度、距離一万!と叫んだので、剛田もその方向に双眼鏡を向け、右対空戦闘!と指示を出す。

24ノット、即時待機を出せ!と剛田は続ける。

10度左、10度左、撃ち方始め!と、敵機グラマンに対し、砲撃が開始される。

出航用意!と剛田艦長が命じ、それを大野が復唱する。

面舵一杯!と剛田艦長が命じる。

敵機が爆弾を投下するが、機銃掃射で敵は退却したので、ざまあみやがれ!と松本二水が喜ぶが、すぐに反対側から新たな敵機が迫ってきたので、右70度!と指示する。

取り舵一杯!と剛田艦長が指示する。

機銃の弾倉を運びかけていた和田が銃撃されて倒れたので、松本二水が元気を出せ、和田、しっかりしろ!と仲間が艦内に運び込むのを見ながら声をかける。

機銃掃射を続けていた松本二水だったが、遠方に機影が見えると、あ、味方機だ!と喜ぶ。

その後、駆逐艦は投錨する。

撃たれた和田の様子を見にきた石山が、どうですか?と聞くと、手遅れだった、たった今…と軍医長が手を拭きながら教える。

そうですか…と答えた石山は、帽子を脱いで、松本二水が付き添っていた和田の遺体のそばによると、かわいそうなことをしましたと同情し、介護助手が和田の顔にかけようとした白布を受け取ると、自分が顔にかけてやる。

そして、和田の胸ポケットに入れられていた母親からの手紙を取り出し、母の写真と手紙をじっくり読む。

「今年は蕎麦も小豆も良う採れた、近ければお前の好きな蕎麦がきでもおはぎでも、お腹いっぱい食べさせてやれるのに…と残念に思っております、何と言っても母1人子1人のお前なので心配ばかり先に立って…」

いやあ、どうも、艦長、えらい目に遭いましたと、早雲はやられました…寺田機関長が剛田に報告に来ていた。

そうか…、タービンはどうだった?と剛田艦長が聞くと、機械はどうにもなりまっしぇんなと機関長は答え、それより今の空襲で早雲の艦長が戦死しましたと教える。

そうか、あの艦長には勿体無い機関長だったが、気の毒なことしたな…と剛田は悔やむと、良し、じゃあ明日の出撃は君は残って早雲の面倒見てやってくれ、今回のことは石山に任せておく、奴には初めての経験だと機関長は指示する。

椅子から立ち上がった機関長が帰りますと挨拶すると、ご苦労さんと剛田は労う。

直後、石山中尉入りますと声がしたので、おう、入れと剛田が答える。

艦長、和田二水がただいま戦死しましたと石山が報告すると、やっぱりダメだったか…と剛田は無念がる。

はい、母からの手紙をポケットに大切に閉まってました、母1人子1人だったようですと言いながら、石山は手紙を差し出す。

良し、後で遺髪と遺品をこの部屋に届けさせろ、俺の手で遺族に送ることにしてやると、手紙を受け取った剛田は命じる。

はいと答えた石山は、艦長、たった1日の急兵でしたが、和田の死に顔を見て、艦長に裸になれと言われた意味が少しわかったような気がします、実戦は理屈じゃない、悲しいが厳しい事実があるだけだということは…とと石山が話しかけると、戦争は厳しい!今日の戦闘など実戦に入っておらんと剛田は言い返す。

それを聞いた石上は、はいと答えるしかなかった。

その後、出港した駆逐艦の艦橋で、前方を双眼鏡で見ていた剛田のもとに、艦長、食事ですと握り飯が運び込まれたので、剛田はそれにかぶりつく。

艦内でも、水兵たちの休憩交代が行われ、春樹!春公!と先任伍長が呼びかけるが、寝ていた松本二水が起きないので、ハンモックを緩め、床に落ちて目覚めた松本に、交代じゃと命じる。

機関室でネズミを発見した石山は、ネズミが多いなとぼやくと、はあ、昔からネズミの逸船は沈まないというジンクスがあるんですよと大野兵曹が教えたので、ネズミ様様というところだな?と石山は冗談で返す。

その後、敵襲!と偵察班が叫び、配置につけ!落ち着け!と号令がかかる。

甲板では持ち場についた水兵たちが、待機良し!、待機良し!と先任伍長に報告

機関室では、668ノット最大機関完成まで後5分!異常なし!と大野が石山に伝えていた。

爆雷戦用意!と先任伍長が通達。

敵襲で炎上した先行の船を見て、航海長が、艦長、青雲を救援しますというが、剛田は待て、容易に青雲に近づけば敵潜水艦の思う壺だ、本艦はこのまま敵船を包囲する、青雲の救援は後だと指示する。

おい、油が出るぞというと水雷長は、はあと言いながら、苦い顔をしながら自分の右手を叩いて見せたので、艦長は笑い出す。

偵察班が、魚雷、右30度!と報告する。

面舵一杯と剛田が指示を出す。

せんぼう今日、左20度!との報告を受けた剛田は、敵襲は二隻だ、良し、前進一杯!と指示を出す。

機関室でその指示を聞いた石山は、良し、一杯に回せ!と指示するが、機関長付き、そんなことしたら蒸気圧が下降して失速します!と大野が反論する。

しかし石山は、どっちにしても同じことだ、窯役に頑張ってもらえと命令する。

窯役、窯役、一杯!頑張ってくれよと連絡係も伝達する。

石山は、一杯回せ!と命じる。

2万、5万、急げ!と窯役の野呂金太郎兵曹が指示通り張り切る。

蒸気圧が下がってきますと大野が石山に報告。

機関室、蒸気圧が下がってるぞと野呂から連絡がある。

大野は機関長付き!と指示を待つ。

石山は「危機に臨んだ時、俺たちの球は縮み上がっている、そいつをグッと締めて伸ばしてあげる、その余裕が明快なる判断を生んでくれる」と言う剛田艦長の言葉を思い出し、その言葉を実行したので、横にいた大野は唖然とする。

魚雷、左40度!の報告があり、左前進一杯と!と指示を出す。

機関室では、大野が蒸気が上がってきました!と驚く。

魚雷が接近してくる中、取り舵一杯!と剛田艦長は冷静に指示を出す。

魚雷、右40度!と監視班が報告。

剛田艦長は、面舵一杯!と命じる。

あ、速力が上がってきましたと大野が報告したので、石山もうんと頷く。

探知班では、探知!右40度、距離1200!敵潜水艦探知!と伝声管に報告

左10度3000!左270!とさらに報告

距離400!

投下始め!と剛田が明治、水雷長が爆雷投下始め!と復唱

駆逐艦から爆雷投下し、海中で大爆発が起きる。

水雷長と砲術長が艦橋部分に出て海面の様子を見ていると、油が浮いてきたので、敵船撃沈!と監視係が言う。

おい、一丁上がりだと砲術長が水雷長に握手を求め、剛田艦長も満足げに笑い出す。

船室内では、やあ、ご苦労、ご苦労!もう直ぐラバウルだ、飲みすぎるなよ!と言いながら、専任伍長が一升瓶を二本差し入れしてくる。

その酒を飲みながら、松本二水が、大野や和田に、青雲をやられた時はゾーッとしたな、うちの艦が1間と離れてない所を魚雷がスルスルだったもんな~と話しており、そのおかげで敵船二隻爆沈じゃと仲間が応じる。

期間科が張り切ったからなと松本が指摘すると、石山中尉が偉い、グッときん玉握ってなとジェスチャー付きで大野が教える。

すると南が、嘘つけ!貴様の敵は後ろ向きだ、あれをじっと見とったのは俺だけじゃい!と茶々を入れたので、何?変に絡むじゃねえかと大野はまた怒り出す。

おう、どう悪いっちゅうだい?と南が言い返してきたので、この野郎!と言いながら大野は飛びかかっていったので、コラ待て!黒黒も掟を忘れたか!と松本二水が髭の専任伍長のモノマネをして見せ、制止する。

大野は松本の額を指先で押しながら、よしやがれ!と苦笑して、喧嘩をやめる。

得意げに専任伍長の真似をしていた松本二水は、目の前に専任伍長本人が睨んでいることに気づく。

一方、艦長からお聞きした東郷元帥の逸物の話を思い出しましてと、砲術長や水雷長と一緒に酒を飲みながら石山が打ち明けるすると、聞いた艦長は愉快そうに笑い飛ばす。

お陰で魚雷も艦尾スレスレに突っ走ってくれたよと艦長も応じる。

幸い被害は出ずに済んだものの、ご心配かけて申し訳ありませんと石山は詫びる。

いやいや駆逐艦の真髄は敵の隙につけ込むところにある、しかし敵には一分の隙も見せてはならん、静に動々、動に静々、進退二刀流!駆逐艦は全て進退二刀流だ、明快なる行動と果敢なる行動が必要だと剛田艦長は持論を展開する。

分かりました!と石上が答えると、慌てるな、そう簡単に体得できるわけではない、海戦はやってみなくちゃわからんもんだ、勝負があっけない陸戦のように感覚が麻痺してしまわない、恐ろしくないと思えば何も恐ろしくないし、恐ろしいと思えばこんな恐ろしい経験もないだろうと剛田は釘を刺す。

それを聞いた砲術長は、酔っ払いの喧嘩ってところですな~と茶々をいれる。

そうだ、だから俺はどんなに飲んでも、常に正常なる頭脳で死と対決しとるんだと剛田は笑いながら言う。

さ、石山中尉の初陣を祝って乾杯だと剛田は湯呑みを差し出し、砲術長や水雷長もおめでとうと湯呑みを差し出したので、石山は、ありがとうございますと礼を言う。

ラバウルに着き、水兵たちは港に向かう小船に乗り込んだり、散髪をしていたが、小船に乗り込んだ松本や大野は、甲板に出てきた石山に気づくと、中尉!行って参りますと声をかけてきたので、石山も笑顔で手を振りかえす。

そこへ、石山中尉!艦長がお呼びですと伝令が来たので、良し!と石山は答える。

ラバウルの酒場「敷島屋」に来た水兵たちは、ホステス相手に盛り上がる。

相変わらずお調子者の松本二水が、踊っていて、他の水兵の持っていたコップを落としてしまい、怒った相手から殴られたので、また大野兵曹が相手をしに行き、たちまち酒場は大喧嘩になる。

カウンターでその騒ぎを見た南兵曹は、ふん、馬鹿者!と嘲るだけで立ちあがろうとはしなかった。

しかし、松本や大野が別の軍の兵隊たちに負けていると気づくや、酒瓶片手に相手の兵隊を殴りに向かう。

喧嘩相手の兵隊の首根っこを掴んでいた大野は、南も同じようにしていると気づき、南がウィンクしてきたので、その意図を悟り、笑顔ですまねえ!と礼を言いながら、互いの喧嘩相手の頭頂部をぶつけ合う。

和田金太郎が痛めつけられているのに気づいた大野はすぐさま援軍に向かう。

喧嘩は店の外までにおよび、道路で喧嘩をし始めた大野に気づいたのは、そこにやってきた石山で、やめんか、熊公!と言いながら大野に組みついていた相手を振り払うと、大野を殴り倒してしまう。

殴られた相手に気づいた大野は、ああっ!と頭を抱える。

石山はさらに南兵装も見つけ殴って喧嘩をやめさせると、空襲!の呼び声が聞こえてきたので、全員兵隊たちは散り散りになって逃げ出す。

店の下の防空壕に入りかけた石山は、まだ道路上で喧嘩相手を殴っていた松本二水に気付き、慌てて2人の元に駆け寄ると、春樹!空襲だ、早くしろと叱りつけ、近くの防空壕に入らせると、自分も店の下に潜り込む。

その直後、三機の敵機が飛来し、銃撃と爆弾を投下していったので、敷島屋の前の通りは爆発していく。

防空壕の中で、その爆撃をなんとか避けた石山だったが、その時、石山さん!と呼びかける声がしたので、そちらを見ると、自分に手紙を出していた タカ(久保菜穂子)だと気づく。

石山さんじゃ?と言いながら、石山のいる方へ鷹が移動しようとした時、また爆撃があったので、動いちゃいかんぞと石山は声をかけると、自分の方からタカに近づき、タカの体を庇う。

空襲警報、解除!の号令が聞こえ、外に出た石山は、驚いたな~、千鐘楼の染香姉さんにこんな所で会えるとはと感激する。

するとタカは、私、染香じゃないわ、千鐘楼の女将さんのお世話で松の家の幼女にもらわれてきたのよとタカは打ち明ける。

ほお…と驚いた石山は、そういえばお静婆さん元気かな?と聞くと、ええ、↓ういぶんお達者なようよとタカが教えたので、いや、呉時代には随分お世話になったなと石山は懐かしがる。

タカは嬉しそうに、それより私、やっと思いが叶ったわ、あなたが転勤なさった後、どんなにお会いしたかったか…、お手紙何度も差し上げたのに…と言うので、ああ、それでわかった、変な手紙だと思ったよ、タカなんて本名知らないもんなと石山は答える。

ちょっとお寄りにならない?冷たいおビールでも?とタカが勧めると、いやそうもしてられない、公用なんですよ、じゃあ、又!と腕時計で時間を見て石山は答える。

立ち去ろうとする石山を呼び止めたタカは、私、ここには後2~3日しかいられないのよ、せっかくお目にかかれたって言うのに…と、恥じらうように言うので、引き上げですね?と石山が聞くと、ええ、それまでにぜひお遊びにいらして、ぜひ!とタカはせがむ。

石山は、できたら、じゃあ、さようならと言って敬礼すると立ち去って行く。

夜、酔った機関長が、さらばラバウルよ~♩とご機嫌で歌いなから帰船すると、石山を見つけて、よお、機関長付き!色おとこ!と話しかけて来たので、石山も笑顔で良いご機嫌ですなと挨拶する。

ああ、良い機嫌じゃ、正直今夜は嬉しか~と期間長は打ち明ける。

何か良いことありましたね?と石山が聞くと、良いこと?今夜は2人で徹底的にやり抹消隊!と機関長がノリノリになったので、石山は、いや…と頭をかかえる。

新人黒雲機関長石山中尉!と言いながら機関長が敬礼したので、機関長?と石山は驚く。

実はですな、これはまだ内緒なんで人に言うてもろうたら困るばってん、今度内地に帰ることになった早雲の旗艦長の後任がこのわしじゃ、従って君は昇格して本艦の機関長ちゅうわけじゃ、わしゃ、本当はこの黒雲を去りとうなか、内地に帰るのは嫌じゃ、嫌じゃの一点張りやったけんな~と寺田機関長は打ち明ける。

機関長が時々ぶり返されるマラリアを心配しての艦長のお取り計らいですよと石山は答えるが、いや、そんこったい、老兵はただ消えうるのみですかな?と機関長は自嘲する。

娘ももう結婚する年頃じゃしの~と機関長が言うと、そこに寺田大尉、石山中尉、艦長がお呼びですと伝令が来たので、寺田は良し!と答え、なんごとですかな?と石山に聞く。

剛田艦長は、やって来た寺田機関長や水雷長たちに洋酒を注いでやりながら、実は弱ったことになっているんだと打ち明ける。

艦長でも時には弱ることがあるとですか?と機関長が揶揄うと、グラスの洋酒を飲み、うまか~、艦長、今夜は一つ酔っ払ってもよかでしょうか?と許可を得る。

やるのは良いが、実はな…、君が早雲へ行くという話は急に取りやめになったんだと剛田は打ち明ける。

寺田は、ええ!と…と驚くが、本当に気の毒をしたなと剛田が言うと、一旦君を内定していた花村艦長が、急に石山が欲しいと言い出した片片タービンの航海だから、頑張りのきく若い方が良いと言ってな…、それを俺はうっかり承知しちゃったんだと剛田は説明する。

さっきも会議中の水雷長と相談して、話を元に戻そうとしたが後の祭りだった、すまんと剛田は謝る。

水雷長も、花村艦長は頑として受け付けないんだと横から口を出す。

それを聞いた寺田機関長は、仕方ありまっしぇん…と落胆する。

それを聞いていた石山は、艦長、この話は私がご辞退したいんですが…と申し出ると、辞退する?と剛田は驚き、はい、機関長をやってあげてくださいと石山は頼む。

しかし、もう内定してしまったことだと水雷長が答えると、私は当分、本艦を離れたくないんで

すと石山は訴える。

と言って、花村艦長は、7冊部の内務を盾にしとるから、今更どうにもならんとおにど王がね~と水雷長は言う。

しかし私はご辞退したいんです、艦長、寺田機関長を帰してあげて下さい、お願いします!と石村は主張する。

剛田は、良し分かった、この問題は艦長として、この俺が善処すると答える。

その後、甲板に戻った寺田に、機関長失礼しましたと石山が詫びたので、機関長は、ありがとう、ありがとうと礼を言いながら頭を下げる。

石山は、お礼は私が言わなきゃ、私は今回残れるんですからと言い返して笑う。

機関長は、全く有難い艦長ですな~、おかげで娘の結婚式に出られそうじゃと機関長は喜ぶ。

良かったですねと石山も一緒に喜ぶ。

昭和19年

北ボルネオ ヴルネイ

駆逐艦「黒雲」に小舟が接近し、乗っていた水兵が、お~い、郵便物だぞ~、マニラに溜まっとったのを飛行艇が回してくれたんだぞ~!と呼びかける。

甲板に集まった松本や大野たちは1年ぶりだな、おお、ラバウルを離れてからもうすごく経ったからの~、あれからまるで追い回される車引きみたいだったもんなと松本は思い出す。

郵便袋が甲板に持ち込まれると、ご苦労、ご苦労!と労った専任伍長が、みんな渡すから取りに来い!と水兵たちに呼びかける。

石山が寝台で書類を読んでいた時、南兵曹入りますと声がしたので、おお、入れ!と返事する。

すると部屋に入った南が、機関長、奢ってもらわなくちゃいけません、3べん回って、ワンと言ってもらいたいですなどと言うので、自信を持って何だ?と言いながら身を起こす。

南が取り出した手紙の裏には「海安丸船上にて タカ」と書かれていた。

女性からの手紙、どうしても奢っていただきますと南が言うので、大袈裟だなと石山が答えると、機関長が照れるとは…と南は笑いながら部屋を出る。

手紙を読むと、せっかく3年ぶりにお目にかかったのに、あのような儚いお別れ…ととタカは書いていた。

お待ちした三日間も虚しく、今は引き上げせんです。(2人が料亭で出会った回想シーンを背景に)

男嫌いで通した昔の染香、この方と生まれて初めて心から燃えた火をじっと抑え続けているの、切なく苦しいことなの…、いつの日か、またお目もじの日が来れば、どんなにか嬉しいことでしょう、その日は茶断ちして、貴方様のご武運を祈り上げます。

甲板に出た石山は、読み終えたその手紙をその場で破り捨て、海に捨てる。

その直後、1人夜空の元でよさこい節を歌っていた南兵曹に気づく。

タバコを吸い出した石山は、おい南!良い声だな~、貴様にそんな隠し芸があるとは驚いたよと下から声をかける。

いや~、そうでもないですと、照れ笑いながら上の階から降りてきた南は、みんなが手紙を見て喜んでいるのを見て、私も国が恋しゅうなってきましたと南は言う。

貴様、国は土佐か?と石山が聞くと、高知の近くの浜ですと南は言う。

その歌は?と石山が聞くと、中支の共同舞台で誰が歌い出したかわかりませんが、好評だった歌ですと南は教える。

貴様、神様文太上がりだと言っとったな?と聞くと、はあ、あそこは大連事務所を出てきた無法者の集まりでしたと南が言うので、原因は酒か?女か?と石山が聞くと、南は苦笑して、まあ両方で…と言うと、機関長、女って奴は怖いですよ、自分のしくじりも元は色気の失敗です、娑婆では薄情な女に惚れて、そいつに一途に打ち込んでしまい、飲んで暴れて、とうとう殺人未遂までやってしまったんです、へへ…、女にゃ弱いんですねと南は自嘲する。

大戸じゃ出てから、陸戦隊ではなかなか良い成績あげてたそうじゃないか、何で分隊長なんか殴ったんだ?と石山が聞くと、自分の落ち度を棚に上げて部下のせいにして叱りつけるだけの男でしたから…と南は打ち明ける。

その時、貴様、酔っ払ってたのか?と石山が聞くと、いえ、一滴も飲んでおりませんと立ち上がって姿勢を正した南は即答する。

そうだったのか…と事情を知った石山は、貴様、今日から海軍刑務所のことなんて忘れろ、過去に負いを感じとると何もできんぞ、貴様、黒雲一家の南じゃないか、大手を振って歩ける人間だ、自信を持てよ、鉄板一枚で仕切られた世界だ、もっとみんなと仲良くなれよ、なっ!と石山は言い聞か背、南を励ます。

南は目を輝かせ、はいっ!私も本艦に来て気持ちを聞かせてもらいました、死のうと生きようと、黒雲のためなら力一杯の働きをしてみたい、そんな気にど落ちになっておりますと言うので、そうだ、その意気だ、しっかりやれよ!と石山は笑顔で答えると、深呼吸をして、やっぱり海は良いなというと、おい南、さっきのもう一節やれよと言うので、そうですか?じゃあ、もう一丁!と答えた南はまたさっきの歌を歌い始める。

その時、全士官、士官室に集合!全幹部、士官室に集合!という艦内放送が聞こえる。

士官室では、本日受け取った作戦命令を伝達すると、剛田艦長が発言する。

米軍は本10月17日、ついに米帝内スルワン島に上陸開始、これに対し、連合艦隊司令長官は昭一号を作戦警戒を会令された、本艦は第一遊撃部隊第3部位、明朝午前2時スリラオ海峡付近に突入!米帝の敵共闘砲を急襲する!終わり…と剛田は指示する。

これに対し、ちょっと質問がありますが…と砲術長より声が上がり、なんだ?と剛田が聞くと、差し出がましい質問でありますが、味方飛行機の援護はどうなっておりますか?と聞く。

陸上より飛び立った航空部隊は、全機体当たりを持って敵を攻撃することになった、これを神風特別攻撃隊と呼ぶと剛田は答える。

なお、機動部隊祭3艦隊は北方より敵を牽制し、敵機動部隊を誘い出し、その隙に我々は米帝に実現すると説明する合田に、しかし第三艦隊には、満足に着艦できるパイロットがいないそうじゃないですか?と水雷長が聞く。

機を見て敵を攻撃したら、ルソン島の基地に着陸する、つまり母艦は裸の囮艦隊だと剛田は言うと、そんな無茶な!丸腰になってしまったんじゃ、一歩間違えれば全滅ですと砲術長が異議を唱え、作戦部はそんな作戦しか作れないんですか?と石山も問いかける。

それに対し剛田は、今度は食うか食われるかの殴り込みだ!この戦争の天王山だ!直ちに出撃準備にかかると言い返したので、士官たちは、はいと答えるしかなかった。

機関長、だいぶん機関には無理をさせてるが踏ん張ってくれ、どんな時も一応とても速力が欲しい時が来ると剛田は頼む。

こうなりゃ、敵の真ん中に殴り込んだ方が塔ですからな~と砲術長が言い出す。

それに頷いた剛田は、水雷長、今夜は魚雷にも磨きを入れてくれよ、人間様だけでは不公平だからなと冗談を言ったので、全員笑い出す。

良し!こうなったらやるぞ!殴り込みだ!と砲術長が張り切る。

深夜、艦隊は出撃する。

左30度、敵!狙撃開始!と偵察班から連絡がある。

深夜の砲撃戦が始まるが、砲術班、敵が近づくまで撃つな!と剛田が命じる。

艦上より、砲術長、敵に近づくまで撃つな!と復唱がある。

砲術長はオーライ、オーライと照準を見たまま答え、砲術長了解との答えがある。

砲術長は、白砲と予想照射機予選確保!と指示。

余丁4000!との報告がある。

取り舵一杯!

良し、面舵一杯!と剛田が指示。

魚雷発射始め!と剛田。

魚雷が発射されると、撃ち方始め!と剛田が命じる。

左40度反抗の撃ち方始め!と砲術長も復唱

南兵曹が大砲の弾込めで働く。

魚雷が敵艦に命中、やった!轟沈と水雷長が喜ぶ。

左30度、敵艦らしきもの多数!との報告を聞いた江田は、何!と驚くが、来隻多数、数え切れません!と偵察班は答える。

良し、前進一杯!と剛田は命じる。

前進一杯!と復唱する機関室の中で、石山は、窯長!がんばれよ、窯が割れてもかまわん!と連絡したので、窯長の和田金太郎は、良し!前進一杯だ、頑張れよ!と張り切る。

やがて擲弾が当たり、海水が吹き出してきたので、防水!と声が上がる。

第一海士に擲弾命中、浸水!との連絡を受けた機関室に緊張が走る。

試験管命中のため、ただいま、故障応急修理中!との報告が入る。

操舵、どうした、今度は前から来たぞ!との報告で、応急操舵に切り替えましょうと大野兵曹が提案するが、いやだ、速力が落ちる!10ノットも出ないからな、応急操舵は最後の手段だ!と石山は拒否すると、補機長!故障はどうだ?状況を知らせ!と電話に呼びかける。

現場にいた補機長(轟謙二)は、もっか復旧の見込みありません!と答える。

それを聞いた航海長は、応急操舵に切り替えますと提案するが、剛田艦長は待て!そのままにしとけ、その方が命中する率は少ないぞと指示する。

攻撃を受けた機関室は一瞬停電し、大野兵曹が、艦長!と呼びかけるが応答がない。

故障ですとの大野の報告に、艦橋に行くと言い残し、石山は機関室を出る。

環境に向かう途中、攻撃を受け船が爆発が起きたので、石山は転倒する。

そも着弾に気づいた剛田艦長は驚き、全甲板、配置に付け!との指令が出る。

その時、南兵曹が機雷を抱え甲板に得たところで転倒したので、立ち上がりかけた石山は、あ、南!と呼びかけながら、南のそばに近づくと、まだ甲板城に転がっていた3つの爆雷を海に投げ、直後に海中で爆発が起きる。

石山は、負傷した南を抱え甲板を移動、そこに消防ホースを持った水兵たちがやって来て、すれ違う。

世が明けて、「黒雲」の船内では水兵たちが疲労の限界に来ていた。

剛田艦長も疲労し切った顔で外に出ると、おいしっかり見張ってくれ、どうせ侵害だ、できるだけ生存者を拾っていきたいからな、良いな!と監視班に声をかける。

「戦時治療室」と化した士官室に来た石山は、どうだ?と南の容態を見ていた大野兵曹に聞くと、大野ははあと言うだけで、横にいた軍医長が、さっきまでここは艦上の過ぎちゃうから下ろしてくれって言って聞かんかったじゃと石山に教える。

石山は寝ていた南に、南!南!と呼びかけ、うっすら目を開いた南に、黒雲はお前が救ったと艦長も行っとられたぞ、艦長の顔見たいだろう?と言葉をかける。

すると南はかすかに頷いたので、もうすぐだ、頑張るんだと石山は励ます。

甲板では、夜の海に落ちた兵隊たちに浮き輪を投げて救う作業をしていた。

甲板に引き上げた兵隊に、しっかりしろと声をかけていた剛田艦長だったが、そこに駆けつけた石山が、南兵曹、息を引き取りましたと報告する。

そうか…、南は死んだか…、あいつのおかげで生き残ったのに…と剛田は嘆く。

ラッパが鳴り、専任伍長が敬礼!と叫ぶ中、大野兵装や松本二水の手で旭日旗に包まれた南の棺が海に投ぜられる。

剛田艦長、石山を始め士官総員、野呂金太郎兵層らも敬礼して水葬を見送る。

なあ石山、所詮は多勢に勝てん、海戦は厳しいに立っている、だが海戦はまた一発勝負でもある、「黒雲」が今日まで戦い生き抜いて来たのは、戦艦260の意思が、この剛田を中心に集中してくれたおかげだと剛田艦長が言うので、わかります、それにしても犠牲が大きすぎますと石山は答える。

戦争を引き起こして掛け声ばかり、逃げ回ってる指導者たちに今辞める責任があると思いますと石山が訴えると、そのきっかけを与えるために俺たちは戦っているんだと剛田は指摘する。

そこへ、艦長、レポートをお届けしますと伝令が来たので、良しと剛田は答え、受けとる。

それを読んだ剛田は、周囲に集まった士官たちに、連合艦隊命令だと伝え、全員緊張したところで、急に破顔した剛田は、内地に帰れると教える。

石山、みんなに知らせてやれと剛田から言われた石山は、はいと嬉しそうに敬礼する。

その直後、みんな聞け!本艦はこれから、内地に帰投する、内地へ帰投する!と石山がアナウンスすると、それを聞いた大野は大笑いして喜び、他の乗組員たちも、帰れるぞと全員大喜びする。

こうして比島を失い、硫黄島も敵の主柱に落ちた、そしてB29による本土空襲は日毎に激しくな理、更に敵は沖縄に上陸を開始した。その間、僅かに残った我が連合艦隊は瀬戸内海に逼塞して遂に敵の前に姿を現し得なかった。(空襲の記録フィルムにテロップ)

昭和20年4月 神奈川県日吉の連合艦隊司令部

数日間、諸君と論議を尽くした菊水特攻作戦について、作戦の性格上、諸君の書簡を聞いた上、遺漏なきようにしたいと思うと会議で司令長官(柳永二郎)が発言する。

作戦要旨を繰り返すと、各艦沖縄に突入の上、海上より味方部隊への援護射撃を行うのであるが、生きて生還を期せざるがゆえに、楠公湊川の故事に倣って、菊水特攻作戦と呼ぶことにしたいと司令長官が説明すると、末席に座っていた剛田が、申し上げますと発言する。

剛田大佐、何か?と上官が聞くと、数日来私が、あるいは諸官からも反対意見の具申があったと思いますが、なけなしの最後の切り札を持って敵空母54隻を取り巻き、敵空の絶対制圧下にある沖縄突進は無事果たされると司令部は本気で信じておられるのですか?と剛田は問いかける。

続行も結構ですが、敵に一撃も与えることができないような作戦計画には、私は同意できません。

剛田君!と参謀長(斎藤紫香)は諌めるが、連合艦隊の全滅は明らかであります、もちろん全滅を恐れて申し上げるのではありません、今や駆逐艦一隻でも貴重な時です、全滅のための作戦で大切な艦を失って、一体日本は誰が守るんですか!と剛田は訴える。

司令官が何も答えないので、参謀長が、剛田君、言葉がすぎるぞと諌める。

それえも剛田は、連合艦隊の全滅を持ってこの戦争が終結するものでない限り、本作戦に反対いたしますと主張する。

すると司令官は、剛田君のご意見はご意見として承っておくと答えると、一応これで意見も出尽くしたものとして採血する、菊水特攻作戦は連合艦隊命令を持って、4月6日以降、適時発令すると述べる。

それを聞いた剛田は、命令下…と呟き、無念の表情で目を瞑る。

呉軍港

「呉鎮守府御用 千松楼」という料亭で、石山の座敷に来た志津(清川虹子)は、寒いね、若いものがどんどん戦死してしまったから寂しいねと言い、コップ酒を飲んでいた石山に熱燗を注いでやる。

制服姿を飲んでいた石山は、戦争だから誰か死ぬさとあっさりと答え、元気だしなよ、肩でも揉んでやろうか?と言い出したので、あら、私には店にいらした若い人は息子のように可愛いんですよと志津は言い、石山に肩を揉んでもらう。

そして、石山さん、あんた、帰ってきたタカに会った?と志津は聞く。

いやと石山が答えると、どうして?横須賀行ってやりゃ良いのに…と志津は言うが、その時、女将さん、清田下士官さんが1人で来んさって…と女中(谷本小夜子)が困り顔でやってくる。

暴れてるのかい?と志津が聞くと、いいえ、玄関でも丁場でも良いから、1本飲ませろ言うとってんじゃけんと女中は言う。

困ったね〜、今夜はまたうるさい方が見えてるんだし…と志津が困惑すると、良いじゃないか、飲ましてやれよと石山は言う。

でもねえ〜と志津は呟く。

港には専任伍長をはじめ、「黒雲」の乗組員たちが上陸してくる。

「黒雲戦没勇士の霊」への供養と「日本一駆逐艦黒雲 再出撃自祝壮行会」が「千松楼」で開かれるからだった。

座敷で出迎えた志津は、さあ、みなさん、そんなところでもじもじしてないで、どうぞどうぞと、部屋の前で入りかねていた乗組員たちに声をかける。

それでも戸惑っていた大野や野呂に、お前らさっさと座れよと石山が来て声をかけたので、水平たちは我先にと席につき始める。

良し、みんな座ったな?と確認した石山は、ええ〜、今日は無礼講だから、訓示めいた面倒な挨拶は抜きだ!というと、拍手火災が起きたので、それを手で止めて、黒雲の再出撃は近いぞ、どこへやられるかそれはわからん、しかし、今度こそ2度と帰れないと思わにゃならん、だから今日はお互いに自らを励まし合おうと壮行会をやることにした、幸いにしてここの大女将お志津さんのおかげで、やっとこれだけのご馳走をこしらえてもらった、酒は飲み放題だ、大いにやってくれ、但し、時間は6時までの3時間、良いな!と言うと、全員がおお!と答える。

艦長が出張中でご不在なのが残念だが、まず艦長のために乾杯しよう!専任伍長!と石山が指名すると、おうと言って専任伍長が立ち上がり、黒雲艦長剛田大佐バンザイと音頭を取ると、船員たちは全員乾杯と答えて盃を干す。

その後は芸者の三味線で、さらばラバウルを歌ったり踊ったりの無礼講になる。

松本二水はいつもながらの戯け役で、女装をして踊っていたので、みんなから大笑いが起きる。

野呂金太郎兵装も、お馴染みの金太郎の扮装で、熊役の専任伍長にまたがって金太郎ごっこを披露するが、その時、腕時計を見た石山がやめいと声をかける。

全員が静まると、立ち上がった石山は、もう時間だ、お開きにしようと言い出す。

すると松本二水が、あの〜、黒雲の歌でお開きにしたいと思いますと提案し、みんながそれに喜んだので、良し、春樹、貴様が音頭を取れ!と石山は命じる。

はい!と答えた松本二水が、では黒雲の歌、1、2、3!と音頭を取って、全員歌を歌い出す。

そんな「千松楼」に車で乗りつけたのが宇田少佐(波島進)と白井少将(宇佐美淳也)で、玄関先に靴が整列したように脱がれているのを見て驚く。

玄関先に入った宇田少佐が、何だこれは?と靴を指し、何だ、あの騒ぎは?と聞くので、出迎えた女中が、黒雲の人達じゃけんと答えると、下士官の連中だろう?けしからん!と宇田が靴を脱いで上がり込もうとするので、宇田君、ほっとけ、良いじゃないかと白井少将は諌めるが、いけません、海軍士官の対面に関わりますと宇田は聞かなかった。

座敷に乗り込んだ宇田少佐は、貴様たち、何事だ!と叱責したので、騒いでいた黒雲の乗組員たちは一瞬凍りつく。

ここは貴様ら下士官の来るところではない、責任者は誰だ?責任者、前に出ろ!と宇田少佐が怒鳴ると、専任伍長が前に出ようとしたので、専任伍長!と呼び止めた石山が、貴様は下がってろと言い、自分が前に出ると、責任者は私ですと一礼する。

何だ、貴様?と宇田少佐が聞くと、駆逐艦黒雲機関長石山大尉ですと答える。

貴様、こんな無茶して良いと思うのか?と宇田少佐が聞くので、下士官兵は「千松楼」にあがってはならんと言う鎮従規定でもあるんですか?と石山は聞き返す。

何?規定とかの問題ではない、常識だ!海軍士官としての体面の問題だと宇田少佐は主張する。

常識とか体面とか、そんなものはこの戦争にそんなに大切なんですか?と石山が聞くと、戦争がどんな状態になろうと、海軍士官としての誇りは鉄則だ!と和田少佐は主張する。

とんでもない、そんなこと言いながらあんたらが参謀面して毎晩飲み歩いているうちに、我々は前線で戦死をかけて踏ん張っているんだ!と石山は言い返す。

貴様、上官に反抗するのか!と宇田が叱責すると、反抗じゃありませんと石山が答えたので、宇田は石山を殴りつける。

貴様!といきりたった石山を、他の乗組員たちが、機関長!と止める。

そこにやってきた白井少将が、参謀よせ!大尉もよさんかと止める。

石山は、はいと答え、すぐに怒りを収める。

それでも宇田少佐が、司令閣下、こいつらはとんでもない奴らです、軍法会議ものです、集団暴行ですと訴えると、集団暴行?と石山が驚く。

そうだ!集団暴行罪だ!と宇田少佐が息巻くと、宇田さん、およしなさいと言いながら姿を見せたのは女将の志津だった。

このお席もうちの立派なお客様、だいたいお前がいかん、なぜこんな奴を上げたんだ?と宇田はイキるので、石山大佐が向こう半年の自分の給料と戦時完俸を前部前借りした金で今日この2階を貸り切りなさったんですと志津は打ち明ける。

婆さんもおいぼれたなと宇田があざけると、嘲笑ってその場に正座した志津は、馬鹿馬鹿しい…、二千や三千の端金で、今頃どこでこんな宴会ができますか?と志津は言い返す。

苦労をかけた部下を労る石山大尉の心根が可愛かったもんだから…と志津が言うと、つまらん理屈を言うな!と宇田は遮るが、良いじゃないか、お互い、言い分もあるだろうが、こういう次節だ、荒ぶれてはいかん、大尉も良いな?と白井少将は宇田と石山の両名に言葉をかける。

石山は、はっ!閣下、失礼しましたと頭を下げると、おい、みんな、引き上げる!敬礼!と号令をかける。

全員、宇田少佐たちに頭を下げて、素早く座敷を後にする。

走る機関車の中、車掌が客席に来て、間もなく要塞地帯に入ります、窓を閉めてくださいとと指示する。

座席でそれを聞いた剛田艦長は、窓の覆いを下ろし、隣に座っていたタカに、後1時間もすればクレに着くよと話しかける。

機関室で働いていた石山は、この後ごろはネズミの姿を見ねえな?と騒音の中、大野兵曹に聞くと、そういえば出てきませんな?と大野も言うので、今度の出撃はなんか予感がするよと石山が冗談めかして言うので、機関長らしくないですよ、今回はそんなジンクスは通用しませんと大野は否定する。

石山も、それもそうだなと答えて二人で笑い合う。

その直後、機関長!と砲術長が呼ぶので、石山が返事をすると、貴様、何かやらかしたか?と砲術長は聞く。

どうかしましたか?と石山が聞くと、衛兵隊が来とるんだ、艦長も不在だし、弱ったよと相手はいう。

石山は笑って、あれだな?馬鹿馬鹿しいと言うので、とにかく貴様は出てくるな、俺たちがうまくやっとくさと砲術長は言うが、良いっすよ、ただ参謀に反抗しただけですからと答え、石山は笑うので、砲術長は、本当か、おい!と呆気に取られる。

衛兵隊付少尉(亀石征一郎)の相手をしていた水雷長は、本艦には石山なんて男はおらんと言ったらおらんよと言っていたので、しかし…と憲兵は抵抗するので、一体何が理由なんだと水雷長が聞くと、上官侮辱、集団暴行罪容疑ですと衞兵は言うので、水雷長たちは困惑する。

そこにやってきた石山が、上官侮辱はともかく、集団暴行とは何だ?と憲兵に聞いたので、水雷長は慌てて、石山!と注意する。

その言葉で、石山大尉ですか?と憲兵が聞くので、そうだと答えると、衛兵隊本部にご同行願いますと衛兵はいうが、石山は、同行する理由はないと拒否する。

同行が得られなければ、本官の召喚状を用意しています、強制的に行動いたしますと衛兵は言うので、石山は良し、行こうと言って立ち上がる。

「千松楼」で車から降り立った剛田が、お〜い、婆さん、いるか?剛田が横須賀からタカさん連れて帰ってきたぞ!と玄関口で呼びかける。

出迎えた女中が、ああお帰りなさい、女将さん!女将さん、黒雲の艦長さんが!と奥に声をかけると、出てきた志津が、ああ艦長、タカ!と驚き、えらいことが起こっての、石山大尉が衛兵隊にと教えたので、石山大尉が何かしでかしたんか?と剛田もタカも驚く。

呉鎮守府に来たタカだったが、衛兵司令室では、剛田が、どうあっても石山大尉を出さんと言うんだな?と衛兵隊司令(須藤健)掛け合っていた。

衛兵隊司令は、はあ、司令部の命令でありますから、いかんとも…と答えるだけだった。

おい、衛兵室司令少佐!俺は第二艦第三部隊所属駆逐艦「黒雲」艦長動画大佐だ!と伝えるが、相手ははあと言うだけなので、いかなる理由にせよ、駆逐艦艦長たる剛田大佐の承諾なくして部下の一員たる石山大尉を強制拘置するという法はない!と剛田は主張する。

いやしかし…と衛兵司令が立ち上がると、いわんや「天一号」の最終段階たる「菊水特攻作戦」により石山大尉明朝出陣はすでに内定しておる!全ての責任は剛田大佐が負う、即時石山を釈放した前と剛田が迫ったので、石山は釈放されるが、司令部の外に出た石山は、石山さんと車の横から呼びかけたタカに気づくと、やっとお目に…と会釈してきたタカと対面する。

いつも手紙をもらいぱなしで、申し訳ありません!と石山は敬礼して詫びる。

そんなこと…と、この日をどんなにお待ちしていたか…とタカは恥じらう。

そこに玄関から出てきた剛田が、どうだ、俺のお土産は?と話しかけてきたので、あ、艦長!と石山は驚いて、タカの顔と剛田の顔を見返す。

全く貴様は世話を焼かせるやつだな〜と言いながら近づいてきた剛田は、たかさんのこともそうだが、今度のことではよっぽど俺は貴様をおっぽり出して出撃しようと思ったんだと言う剛田の言葉を聞いた石山は、出撃?と問いかける。

おっぽり出されたら、私は一生艦長を恨みますと石山は主張すると、おっぽり出すわけにはいかんのだ、黒雲にも貴様にも重要な使命がある、俺は黒雲を降りることになったと剛田は告げる。

驚いた石山に、俺は降りたくないと頑張ったんだが、命令とあらばやむをえんと言いながら鷹に近づく剛田に、艦長と呼びかける石山だったが、タカさん、あんたの想いを語るには短すぎる一時だが、思い切って君の石山にぶちまけるんだなと言いながらタカを石山の前に押し出すと、石山、帰艦時刻に遅れるなと言い残し先に帰って行く。

一人車に乗り込む剛田に向かって敬礼する石山と会釈するタカ。

海辺に歩いてきた石山についてきたタカは、まるで夢見たい…と気持ちを表す。

生きて帰って、ぜひもう一度お目にかかるつもりですと石山はいう。

首を横に振ったタカは、そんなこと言ってくださらなくても、お会いできただけでも胸がいっぱいとタカは感激する。

その時、小舟で石山を待っていた船員が笛を吹いたので、帰艦時間と知り、石山は頷く。

じゃあ、お元気でと石山が最後の挨拶をすると、ご無事でとタカが頭を下げたので、ありがとう、あなたも!と石山は礼を言い、敬礼をして小舟に向かいかけるが、戻ってくると、今日の思い出にこれを、さようならと再び敬礼して去る。

出発した小舟の上で手を振る石山に、タカもつい手を振り返すが、その手に握られた、今渡された桜のマークが三つ付いた階級章を見て、胸に抱き締める。

黒雲の士官室では、去り行く剛田と他の士官たちがビールで最後の別れを惜しんでいた。

着席した剛田は、石山、覚えてるか?俺の駆逐艦戦術の動き!と問いかける。

はい、進退二刀流、戦局の流れに従って柔軟敏速、果敢たる判断と行動!と石山が答えると、そうだ、君たちはまだ若いんだ、生きてせにゃならん仕事が山ほどある、もちろん今度は全滅覚悟の出撃だ、しかし連合艦隊は全滅してはならんのだ、心外の使命をくれぐれも忘れないようにと剛田が言い聞かしたので、全員、はいと答える。

専任伍長が笛を吹き鳴らす中、水平たちは船を降りる剛田を敬礼で見送る。

小舟に乗り込んだ業がが出発すると、乗組員たちは全員帽子を振って見送る。

かくてー、昭和20年4月7日、惨憺たる最後の決戦が展開された。(記録フイルムにテロップ)

敵艦に特攻をかけるも撃墜される日本機。

海には、船から落ちて浮いた乗組員たちがサメの襲撃に怯えながら、救援は来てくれるでしょうか?と聞いていた。

きっと来る、おい、冷えたら、小便を小刻みに出せ、あったまるぞ、おい、みんな元気を出して軍歌を歌うんだ!と剛田は浮いている兵隊たちに呼びかける。

123!守も攻めるも黒金の〜♩と、浮いていた兵士たちは歌い始める。

数時間後、本当に助けに来るんでしょうか?と別の兵隊が聞くと、来るとも、きっと来る!おいみんな、頑張るんだ!俺はな、土手っ腹を抉られてるが、こうして頑張ってるんだと剛田は答える。

その時、一人の兵隊が、あ、あそこに!と指差す方に船影が見えたので、海面に浮かんでいたみんなが手を振って呼びかける。

黒雲だ!と気づいた剛田は力尽き沈みかけるが、そばにいた兵隊たちが掴んで浮き上がらせる。

駆逐艦黒雲の中で人を探していた石山は、剛田大佐は?と聞くと、艦長室ですと兵隊が答えたので、船長室に向かった石山は、ベッドに寝かされた剛田に注射をしていた軍医長に、先生、容体は?と聞く。

軍医長は、気力だけで生きておられるんじゃ、明け方までもてば良かばってん…と教える。

すですか…と答えた石山は、軍帽を脱いで剛田に近づくと、艦長!と呼びかける。

石山か…と目を開いた剛田に、はいと答えると、ここは?と聞くので、艦長の元の部屋ですと教える。

そうか…、今部屋で往生できるとはありがたいなと剛田は言宇野で、そんな…と石山が言い返すと、戦況は?と聞くので、残念ながら…全滅とのことです…と石山は答える。

そうか…、黒雲が生き残ってくれただけで俺は満足だ、タカさんは良い人だ、仲人をしてやれなかったんが残念だ…と言って目を瞑ったので、艦長!と石山は狼狽するが、軍医長は剛田の脈をとって、最後まで努力してみる、無駄かもしれんが…と言って、また注射を用意する。

その時、船の近くで爆発があり、黒雲が浸水する。

左60度!と聞いた新艦長永野艦長(神田隆 )は、対戦戦闘用意!と命じる。

先生、あとは頼むと軍医長に託した石山は艦長室を飛び出して行く。

撃ち方始め!と永野艦長

命中との報告にほっと息を吐いた永野艦長だったが、その直後、黒雲も被弾して炎上していることに気づく。

補機隊、急げ!と歌詞感が命じる。

もうこれまでだ、総員に退艦用意を命じろと補機長が支持する。

総員、退艦用意用意!と航海長が伝声管に叫ぶ。

甲板に出てきた兵士たちに、艦橋に出た永野艦長は、昨夜からの諸君の努力で本艦はここまで持ち堪えてきた、が、万策尽きて、ここに最後の時が来たようである、ただいまより、諸君に全員体感を命ずると発したの大野兵曹や、野呂、松本二水らは愕然とする。

そこに駆けつけた石山が、艦長、待ってくださいと環境で呼びかけたので、何か?と永野艦長が聞くと、退艦をもうしばらく待ってください、我々はもう一踏ん張りしてみたいと思います!と願いでる。

しかし今は退艦の時期だ、この時期を逃したら、総員艦と運命を共にする羽目になると永野艦長が言う。

しかし…と石山は抵抗するが、石山大尉、命令だと永野艦長は言うので、石山は、艦長!と言うしかなかった。

そこにやってきた軍医長が、おい、剛田大佐が持ち直したぞ、石山大尉、奇跡だ、もう大丈夫だと言うではないか。

そうですかと答えた石山は、艦長!剛田大佐は無事なようです、黒雲も不死身のはずですと訴える。

永野艦長がうなづくと、どうだみんな、頑張ってみないか!と石山が周囲の兵隊に呼びかける。

助かるかもしれんな?と砲術長が言うと、そうです!一踏ん張りです!と石山は答え、艦橋から甲板にいる仲間たちに、どうだみんな、もう一踏ん張り頑張るか!と呼びかける。

大野が良し!と拳を振り上げ、やろう!と全員が応じる。

その様子を見た水雷長も、よ〜し、やってみるか?と乗り気になり、艦長、お願いしますと声をかける。

他の兵隊も一斉にお願いしますと声をあげたので、考え込んだ永野艦長は、良し、総員配置につけと命じる。

はいと艦橋の全員が答え、水雷長が甲板に向かって、総員配置につけ!と復唱する。

喜んだ乗組員たちは直ちにそれぞれの持ち場に戻っていく。

水雷長ら上官も消火を手助けする。

翌朝、まだ黒雲が浮かんでいた。

みんなご苦労と砲術長が兵隊たちを労い、みんなが万歳!と喜び合う。

もう大丈夫だ、良かった、良かったと水雷長も航海長も笑顔で集結する。

そこに、いや〜、やっぱり黒雲は不沈ですよと言いながら石上も合流する。

じゃあ、そろそろ期間の準備を始めますと石山は言って現場に戻る。

大野が窯に火を灯し、蒸気圧が上昇するのを確認する。

艦長室に来た石山は、砲術長、水雷長、軍医長が見守る中、ベッドで剛田が目覚めたのを知り笑顔になる。

石山らが艦橋に戻ると、出航用意!の命令があり、出航用意!と復唱する。

永野艦長の元に伝令が駆けつけ、艦長、電報をお届けしますと言うので、うんと答えると、連合艦隊命令!今払暁から巡洋艦一隻並びにおよび駆逐艦若干、四国沖を西進中、帰投中の「菊水特攻作戦」残存駆逐艦は直ちにこれを要撃せよ!と伝令は読み上げる。

それを聞いた航海長、砲術長、水雷長たちの表情が曇る。

良し、機関長、油は?と永野艦長が聞くので、はい、余力はありますと石上が答えると、うん、魚雷は?と永野艦長は確認する。

水雷長が、まだ三発残ってますと答え、砲術長が弾もまだありますと付け加えると、よろしいと答えた永野艦長は、返電、黒雲いまだ健在なり、直ちに敵撃滅に向かうと伝令に伝え、伝令ははいと答え電報を打ちに戻る。

進軍ラッパが鳴り響いたので、それを聞いた乗組員たちは驚く。

本艦はこれより、四国沖敵巡洋艦撃滅のため、反転する、総員戦闘配置につけ、総員戦闘配置につけ!との艦内アナウンスを聞いた乗組員たちの表情が引き締まる。

松本二水が、よ〜し、もう一丁やるか!と声をかけると、他の兵隊も乗り気になる。

よし来い!こうなったら投げ頃だい!と大野兵曹も張り切る。

野呂金太郎も、良し、もう一踏ん張りだと部下たちに伝える。

前進一杯!

面舵一杯!と永野艦長は命じ、面舵一杯!と復唱がある。

終(海の向こうを遠ざかる駆逐艦黒雲の船影を背景に)