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八木英語学習室

記憶(とAI)

2026.03.28 08:06

3月後半、卒業式の次は終業式と

節目の行事が続きました。

生徒の皆さんの表情にも、

さみしさと開放感の入り混じった

何とも言えない(今風に言うなら)vibesを感じます。

そこからつながる、一つのエピソードを😊


私が中学~高校時代(80年代初め)

レンタルレコード・ビデオショップが

町に次々と登場し、

終業式などの半日で放課になる素敵な日は

決まって学校帰りに寄り道をして、

ラジオで仕入れた情報を基に

お小遣いとにらめっこしながら

レンタルしたLPを脇に抱えて

ウキウキしながら帰ったものでした。

帰宅後はさっそくカセットテープに録音し、

友達同士交換し合っていました。

求めるレコードが無かったときは、さらにもう一軒、

さらにさらにもう一軒と探し回る。

今思えばゆったりした時間の中で、

文化に手を伸ばす方法が少しずつ、増えていっていたあの頃。


中学3年の卒業式の日も、

帰りに立ち寄ったレンタル・レコード屋さんで

Dennis De Youngの ‘Desert Moon”を借り、

帰ってすぐに2階の部屋で録音しながら聴きました。


Moments pass,

and time moves on

But dreams remain for just as long

As there's dreamers, all the dreamers

On Desert Moon, on Desert Moon

On Desert Moon, Desert Moon


この一瞬は過ぎ去っていく

時間は止まらない

でも、夢を追うものがいる限り、

夢はなくなったりしない

僕らはみんな夢を追い続けている

デザートムーンへ

デザートムーンへと

(筆者訳)


ちょうど今、卒業式を終えて

目の前が広々と空っぽで、

清々しくもあり心もとなくもある自分の気持ちに

ぐいっと入ってきたこの歌詞は、

英語でなんとなく聴いただけでも十分通じるものがありました。

なんで今、この曲を聴いているのだろう?!

ぴったりすぎて、コワいなあ!

誰か、空の上の方に自分専用のDJがいるのかなあ?


その時、窓から入ってきた風に混じった

何とも言えない春のいい匂い、

家の前を歩いて通る人たちのしゃべり声も一緒に

今も鮮明に思い出します。


その後、友人たちと

Desert Moon(地名?)という言葉についての解釈や

歌詞の主人公の立場について語り合う機会がありましたが、

結構受け取り方が違うのに驚きました。

Tちゃんは「デザート・ムーンって都会っぽいじゃ~ン、

なんかセレブとかが集ってそうな…」

と言っていて「ええ~、そ、そうなんか、な~?…(私)」


そして、面白いことに、

歌の歌詞や内容についてだけでなく

その時に私を取り巻いていた世界について、

思い出すたびに新たな発見があるのです。

本当に不思議です。





え~~、長々と書いてしまいましたが、つまりこれが

レッスン中にたくさんの生徒さんから聞かれる

「人間の記憶とAIの違い」

あるいは

「人間とコンピューターの違い」

の答えの一例です。

人間の記憶とAIで処理できるデータには、

このように何か質的に決定的に異なる部分があるのです~


昨今ではインターネットのおかげで

すぐに聴きたい曲は検索できます。

音源も歌詞も、調べ放題聴き放題。

データは着々と蓄積され、保存されて行っています。

凄いことです。まるで魔法のよう!


とは言え、

‘Desert Moon”という歌一曲をとっても、

この歌と出会う人間が10人いたら

10人それぞれに違う出会い方があるわけで、

解釈はもちろん

その記憶の持ち方も違いまして…


世界のものごとのすべてをデータ化するということは

やはり到底不可能と私は考えているわけです。



「世界中のデータを集めれば、やがてコンピューターは人間を凌駕する」

と考える方(生徒の皆さんの中にもいらっしゃいます)に

いつもどうやって説明しようかと思案しているのですが…




わかってもらえるかにゃ~?