HOMEという名の場所 / 愛が触れたときに変わるもの
何故か、胸の奥底を優しく掴まれる
ふとしたときに思い出して、また聴きたくなる
そして・・何度聴いても心のどこかに触れてくる
皆さまにもそのような楽曲が
おありではないでしょうか。
音楽はひとの心を豊かにしてくれます。
ときには寄り添いながら慰めてくれたり
ときには、ひとかけらの勇気を与えてくれたり
メロディーは言うまでもありませんが
歌詞(言葉)の持つ力も決して見過ごせません。
今回は、皆さまの希望にそっと光が灯るような
私の大切な楽曲のひとつをご紹介させて頂きます。
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先日、宝塚コラムとして
愛を求めているのに孤独なひと を綴りました。
このコラムをお読み下さったリピーターさまより
「久し振りにベルばらを読み返したくなりました!」
との嬉しいお言葉を頂戴致しました。
ご存知のように、宝塚歌劇は女性だけで構成されており
女性が男役を演じています。
一見すると、少し特殊で
どこか古い世界のように感じられるかもしれませんし
そのまま通り過ぎてしまう方もおられるかもしれません。
ですが実際の宝塚は
時代の流れを巧妙に取り入れるバランス感覚があり
ひとの心の機微を繊細に描く舞台を繰り広げています。
誰もが知っているような文芸物語や映画
歴史的人物を題材として扱うことも多々ある宝塚。
代表的な作品としては・・
「エリザベート」
「ベルサイユのばら(マリーアントワネット)」
「花舞う長安(楊貴妃)」
「風と共に去りぬ」
「カサブランカ」
「All for One(三銃士)」
原作が漫画の「エル・アルコン - 鷹- 」
「はいからさんが通る」「シティハンター」
などの舞台も人気を博していました。
今回お送りする楽曲は、前回のコラムでも取り上げた
「ファントム」の劇中歌である『HOME』です。
パリ・オペラ座の舞台に立つことを夢見ながら
雑用係として下積みに勤しむクリスティーヌ・ダーエ。
オペラ座の地下に潜む仮面を着けた男エリックは
作業中に口ずさむクリスティーヌの美しい歌声を耳にして
一瞬で彼女に心奪われます。
そして、自分の心情を言葉に乗せて歌で返すのです。
『Home / 私の夢が叶う場所』
作詞作曲:Maury Yeston
とても素晴らしい歌唱力で
『HOME』を歌い上げておられるのは
元星組娘役の星乃(Hoshino)さんです。
男役と娘役では歌のキーが異なりますので
音階を使い分けるのはかなり難解だと思いますが
星乃さんは華麗にクリアされています。
クリスティーヌのパートから入り
後半ではエリックのパートへと移って
そして、ふたりのデュエットでラストを締める流れ。
「ファントム」は何度か再演されていますが
私は初演にあたる2004年の宙組公演を
母親と一緒に観劇しました。
エリックとクリスティーヌが
初めて心を通わせ合う美しい伝説のシーン・HOME
舞台と客席が一体となりながら
ふたりの愛の芽生えに心を震わせました。
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クリスティーヌのHOMEとは
華やかなオペラ座の舞台。
エリックのHOMEとは
顔の傷を隠すため、俗世間から逃れるために
ひとりだけで生きているオペラ座の地下深い空間。
ふたりのHOMEは実に対照的ですが
閉ざされた地下の空間の中で
エリックがクリスティーヌに歌の指導を始めると
少しずつ、その場所は別のものになっていきます。
クリスティーヌにとっての地下空間は
音楽的才能を持つエリックから指導を受けられる
正に「夢が叶っていく場所」へ。
また、エリックにとっての地下空間は
「孤独だった魂に愛と光が宿る場所」へ。
いつしか希望が生まれるのです。
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ふたりのHOMEを見ていると
どこか、ツインレイの関係性にも
重なるものがあるように感じられます。
特にエリックが紡ぎ出す言葉の数々
「いつも待っていた暗闇の中で
天使がささやくその時を」
「僕にならば出来るだろう
彼女を可憐で素敵なブーケに変える」
これらはまるで
男性レイの切なる願いのように響いてきます。
「相手レイとの愛が重なり合う温かい空間」
男性レイの心の暗闇に
一筋の光とやすらぎを与えられるのは
女性レイのしなやかな愛情なのかもしれません。
* 必要な方にだけ、そっと届きますように *