Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

杉山貢大農園

トレンドを追わない。新品種「ゆめするが」に見る「逆張り」戦略

2026.04.01 23:00

皆さんは「ゆめするが」というお茶をご存知でしょうか?
2023年に品種登録されたばかりの、お茶界の「ピカピカの新入生」です。
 今、お茶の世界は空前の抹茶ブーム。どこもかしこも「色の濃さ」や「旨み」を重視する中で、自分はあえて、全く異なる特徴を持つこの「ゆめするが」を選びました。
なぜ、あえて流行の真逆を行くのか。
その理由を話してみたいと思います。


「スミレのような香り」の魅力

「ゆめするが」最大の特徴は、何といってもその「香り」です。
お茶でありながら、どこかスミレの花を思わせるような、華やかで透き通った香りが特徴です。
 最近の主流は、色の鮮やかさや、出汁のような強い旨みが重視されがちです。
自分がお客さんに届けたいのは、飲んだ瞬間に心がふわっと軽くなるような「香りの体験」も届けたいです。
香りは、一度体験すると忘れられない魅力を持っています。


流行を追わない「逆張り」の生存戦略

現在、「つゆひかり」のような、抹茶や向く品種が爆発的な人気で、苗木が予約で埋まるほどです。
 しかし、自分のような個人農家が、大手と同じ土俵で「生産量」や「トレンド」を競っても勝てません。
だからこそ、みんなが旨みを追うなら、自分は「香り」を追求する。
「逆張り」が、皆さんに選んでもらうための、大切な個性になると確信しています。


煎茶・ほうじ茶・和紅茶。一粒で三度おいしいポテンシャル

「ゆめするが」を選んだもう一つの理由は、その変幻自在なポテンシャルです。
・ 煎茶: 1番茶で「スミレの香り」をダイレクトに楽しむ。
・ ほうじ茶: 焙煎することで、他の品種にはない独特の芳醇さが生まれる。
・ 和紅茶: 香り成分が発酵と相性が良く、華やかな和紅茶に仕上がる。
まだデビューしたての品種なので、試してみなければわかりませんが、 一つの品種でこれほど多様な楽しみ方を提案できるのは、農家としても非常にワクワクします。


育てる苦労は、未来の「エモさ」のために

実は「ゆめするが」はまだ新しすぎて、通常よりも小さな「1年生苗」しか手に入りませんでした。
雑草に負けやすく、管理は非常に大変です。
それでも、3年後、5年後にこの木が育ち、茶畑のテラスで風を感じながら、皆さんにこのスミレの香りを届けられたら……。
その「エモい」瞬間を想像するだけで、今の苦労も悪くないと思えるのです。



自分にとって、お茶作りは「作品作り」です。流行に乗るのではなく、自分が「これだ!」と信じた品種で、最高の一杯を作る。
「ゆめするが」が皆さんの手元に届くのはもう少し先になりますが、市場には出回らない、農家直送ならではの「驚きの香り」を楽しみにしていてください。