在り方と選択 / 鉛を飲み込んだ後に広がる世界
それまで当然のようにあったものが
ある日、突然なくなるとすれば?
信じて疑わなかったものが
実は、思っていた形ではなかったとすれば?
人生を生きていく過程において
幸せな出来事ばかりではなく
ときには悲壮な出来事も起こります。
その最たるものは
『当然のようにあったものが突然消える』
『信じていたものに裏切られる』
このふたつ(喪失)のように感じます。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
当ブログを長くお読み下さっている読者さまは
私が影響を受けている人物をご存知かもしれません。
そうです、ポーランドの映画監督である
故クシシュトフ・キェシロフスキです。
彼の描く世界は・・
どこまでも悲しいのと同時に
どこまでも美しく
また、愛と希望が音もなく静かに流れています。
私が最も深く共鳴している部分は
『言葉にならない痛み』
『目には見えない何か』
これらを丁寧に表現しているキェシロフスキの視点です。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
彼が晩年に情熱を注ぎこんだ三部作のひとつ
【トリコロール / 青の愛】の主人公・ジュリーは
『当然のようにあったものが突然消える』
『信じていたものに裏切られる』を経験します。
ストーリーの最後で
ジュリーが選んだ在り方とは、いったい・・?
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
愛する夫とひとり娘とのドライブの最中
3人の乗った車は爆発音を上げて燃え盛ります。
搬送先の病院で
意識を取り戻したジュリーに待ち受けていたのは
夫と娘の死というあまりにも残酷な報せだったのです。
衝動的に自殺を図ろうとするジュリーですが
口に含んだ大量の錠剤を飲み込むことが出来ません。
巡回中の看護師に見つかり
意に反する形でジュリーは薬を吐き出します。
病室のベッドで横たわるジュリーの目に映るのは
テレビで報道されていた夫と娘の葬儀の様子。
著名な作曲家であった夫の死を悼む人々の姿でした。
所有していた屋敷を処分し
これまでの交友関係と思い出を断ち切ろうとするジュリー。
『言葉にならない痛み』を必死に抑えるかのように
ジュリーは硬く握ったこぶしを外壁にこすりつけながら
屋敷のある場所から足早に立ち去ろうとします。
その後、ふと立ち止まり
悲痛な表情で、血が流れ出たこぶしに唇をあてます。
私が強く心を打たれたシーンです。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
愛娘の部屋に飾られていた青いモビールだけを手元に残し
パリの下町のアパルトマンにひっそりと移りますが
ジュリーには気掛かりなことがありました。
それは、夫が未完で遺した協奏曲の存在です。
迷った末、夫の友人だったオリヴィエと共に
ジュリーは協奏曲の完成に取り組んでいきます。
オリヴィエは長年にわたり
ジュリーへ密かな想いを抱いていました。
その頃、夫に愛人がいたことを知り激しく動揺しますが
彼女が身ごもっている小さな命に思いを馳せます。
そしてジュリーは、処分する予定だった屋敷を
愛人の女性と、生まれてくる夫の子へ託すことを決意します。
怒りや絶望を通り越して
『同じ男性を真に愛したこと』に共鳴したからです。
悲しみとも喜びとも取れる涙を流すジュリーの隣には
オリヴィエがいました。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
悲しく痛みを伴う出来事があったとしても
自分の在り方と選択次第で
未来はいかようにも変わる
キェシロフスキは
この真実を静かに語りかけてくれます。
そして、セッションで
ご相談者様たちのお悩みに寄り添わせて頂くとき
私はキェシロフスキのような視点を
忘れないように心掛けています。
ツインレイにまつわる発信をしていますので
自分の世界観を綴るような内容は控えてきました。
ですが、私が大切にしているこの感覚も
読者の方々にお伝えしていきたい。
そのような思いが、少しずつ芽生えています。
皆さまの感性に触れることを願いながら
今後もコラムの場所で
キェシロフスキについて綴ってまいります。
* トリコロール / 赤の愛 に触れています *
語られない人生にも意味がある /「貴女だけの物語を生きる」ということ
* 必要な方に、そっと届きますように *