「古志」深川句会(3月)を終えて
3月11日(水)は「古志」深川句会でした。
特選句からいくつか。
おはぐろの祖母ゐますかに官女雛 神戸秀子
三人官女のうち、中央の一人だけが、お歯黒、眉無しです。
これはこの官女が既婚女性であることを意味します。
お歯黒は平安時代から続いた風習で、女性は結婚すると、
漿(かね)と呼ばれる黒い染料で歯を黒く染めるのが習わしでした。
明治時代に入って、近代化政策により丁髷や帯刀とともに廃止され、
大正時代にはほぼお歯黒をする人はいなくなったと言われています。
お歯黒の理由としては、
当時の美意識とも、虫歯予防とも考えられており、
また、江戸時代には「黒は他の色に染まらない」ことから、
「貞女二夫にまみえず」の意味を込めて、お歯黒をいていたともいわれています。
神戸さんのご祖母様がお歯黒だったとのことですが、
私の曾祖母もお歯黒をしていたと聞いたことがあります。
あらためて思うと、お歯黒もそう遠くない昔のことですね。
鯛めしを炊くよろこびも桜どき 小林昌子
桜の時期に旬を迎える真鯛。
ちょうど産卵期にあたり、体色が桜色になることから、
「桜鯛」と呼ばれ、季語にもなっています。
そういったことを踏まえれば、
掲句はなんの捻りもない句ですが、
季節とともに生活をする喜びが、
過不足なく表現されているのを見逃すわけにはいきません。
素直で大きな一句です。
ひとりでは惜しみきれざる春惜しむ 三玉一郎
だれかと分かち合いたい、
そんな春なのでしょう。
それは美しい春の光景かもしれないですし、
充実した春の日々の生活のことなのかもしれません。
いずれにせよ、自分一人では惜しみきれない、というのですが、
背景として、ひとりであるということが、より一句を切ないものにしています。
「古志」深川句会は毎月第2水曜日に開催しています。
次回は4月8日(水)13:30〜
会場は江東区芭蕉記念館です。
「古志」の会員の方はどなたでもご参加いただけます。
会員以外の方は体験参加が可能です。
初心者の方も歓迎いたします。
詳細は「古志」公式サイトを御覧ください。